高崎市の屋根改修工事補助はホントにいいの? 瓦の補強も選択肢の中に!!

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高崎市の屋根改修工事補助は本当に耐震なの?

こんにちは~。

屋根・雨漏りの調査員、神谷昭範です。

今日、とてもショックな話を聞きました。

群馬県高崎市で、10月17日から高崎市緊急耐震対策事業が開始されたそうです。

目的は地震による住宅等の倒壊は、居住者への被害にとどまらず、避難、救命及び消火活動の大きな妨げとなるので、安全で安心な市民生活を早期に実現するため、建物等の耐震化に資する取り組みに対して、補助をするというものです。

具体的な内容は?

いくつかの工事に関して補助があります。

①木造建築物の耐震事業補助

これは、さまざまな自治体で行われているものと同じです。

対象建築物は、旧耐震基準(昭和56年以前)の木造建築物に対して、

制度1.耐震診断補助

制度2.補強設計補助

制度3.耐震改修工事補助

となっています。

②塀除去・改修工事

ブロック塀等の安全性を確保するため、損傷、腐食等の劣化が確認できる塀に関して、工事を実施する場合、その費用を一部補助するものです。

制度5.塀除去・改修工事補助

 

③広告塔改修工事

広告塔の安全性を確保するため、損傷、腐食等の劣化が確認できる広告塔に関して、工事を実施する場合、その費用を一部補助するものです。

制度6.広告塔改修工事補助

 

④擁壁改修工事

擁壁の安全性を確保するため、損傷、腐食等の劣化が確認できる擁壁に関して、工事を実施する場合、その費用を一部補助するものです。

制度7.擁壁改修工事補助

 

ここまでは、耐震性の低い建物及び損傷・腐食等の劣化が確認でき、地震時に道路を塞ぐ怖れのあるものを早期に対策することですばらしいと思います。

 

屋根改修工事?

しかし、この事業には、もう1つ補助制度があります。

⑤屋根改修工事

建築物の耐震性を高めるため、屋根を軽量化に関して、工事を実施する場合、その費用を一部補助するものです。

制度4.屋根改修工事補助

 

もう少し詳しい要件を見てみると、

1.住宅の屋根面積の半分以上について、瓦から金属板等の軽量な屋根材へ葺き替える工事であること。

となっています。

制度7までの流れから、極端に言うと「損傷・腐食等の劣化があるもの」と「瓦であること」は同じ扱いに読み取れます。

瓦というだけで、劣化物的な扱いをされていることに衝撃を受けました。

建築物の耐震性は当然、屋根材だけでは決まりません。

そのために、制度1~3で診断・設計・改修が行われます。

さらに、その制度1~3の前提は旧耐震基準の建物です。

耐震性能の基準を満たない建物を満たす建物に改修するために補助を受けるというものです。

一方、制度4の屋根改修工事補助は建物の条件がありません。

屋根材を軽量化するだけで、耐震基準を満たすと勘違いしてしまいます。

非常に誤解を生む制度だと言えます。

 

住宅の屋根の性能は?

住宅の屋根の性能は重量だけではありません。

日本建築学会の建築工事標準仕様書・同解説JASS12 屋根工事では、屋根の性能は防水性・耐風圧性・耐震性・耐久性・耐衝撃性・防火性・断熱性・防露性・防音性・発生音遮断性・対熱伸縮性が求めらいます。

瓦から軽量屋根材へ葺き替える場合は、上記性能も瓦の時の性能とは異なります。

例えば、耐久性は低減するので、最近の長寿命住宅の流れからは逆行します。

維持しようとすると定期的に高額なメンテナンス費が発生します。

屋根での断熱性、遮音性も大きく低減します。(住環境の快適性が低下します。)

これらデメリットもあることをお施主さまにしっかり伝えた上で屋根の葺き替えを提案する必要があります。

しかし、「この補助制度ができたから葺き替えしなければなりません」的な悪徳リフォームが横行するのは、容易に想像がつきます。

 

屋根の軽量化だけでは安全ではない!

さらに、旧耐震基準の住宅は、屋根の軽量化だけしても全く安全ではありません。

詳しくは下記記事をご覧ください!

軽い屋根なら巨大地震でも大丈夫?実は建物の強度の見直しの方が重要です!

壁量が足りませんので、だまされないように注意が必要です。

新耐震基準以降の住宅は、瓦に適した壁量はあります。

耐震補強するのであれば、壁量バランスや耐震補強金物の設置等、比較的安価で効果の高いものが優先となります。

耐震補強を検討するのであれば、当然、建物全体で検討を行うことが必須ですよ~。

そこで、ご提案があります。

「瓦から軽量屋根材へ葺き替え」というだけではなく、「瓦の棟耐震補強」もしくは「瓦への葺き替え」も選択肢の中に入れてください。

 

築年数が経過した瓦屋根は、下図のように瓦屋根の棟部が耐震性の低い大回し工法(旧工法)となっています。(数多く存在しています。)

(冠瓦が建物躯体と葺き土だけでつながっているので、大地震で葺き土がひび割れして、冠瓦などの棟部が倒壊する旧工法の断面図)

地震時、建物に大きな損傷がなくても、瓦屋根の棟部が倒壊して、瓦が道路に飛散することもあります。

瓦から軽量屋根材に葺き替えることは大幅な費用が必要となります!

瓦屋根の棟耐震補強(下図)はそれほど費用が高額とはならないので、補助対象となることによるPRによって、改修希望者も増えるのではないでしょうか?

費用対効果が高く、多くの方が検討でき、瓦屋根の安全性を高めることになり、目的である安全・安心な市民生活に直結に違いありません!

 

まとめ:制度4の屋根改修工事補助の運用を変更してほしい!

①瓦から軽量屋根材へ葺き替え

②瓦(旧工法)から瓦棟耐震補強改修

③瓦(旧工法)からガイドライン工法による瓦屋根へ葺き替え

の以上3つを市民の方が選択できると本当にいい制度だと思います!!

 

 

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