瓦がいつ、どこで造られるようになったかは、現在のところ明らかではありません。
現存する最古の瓦は、中国の陝西省岐山県にある西周初期の宮殿遺跡から出土したもので、今から約3000年も前のものということになります。
では、日本で瓦が造られるようになったのはいつでしょうか?
それは西暦588年以降のことと考えられています。『日本書紀』の崇峻元年(588)のところに、「百済国が仏舎利や僧などとともに、寺工(てらたくみ)2名、鑢盤(ろばん/仏塔の相輪の部分)博士1名、瓦博士4名、画工1名をおくってきた」という意味の記述があり、彼ら(およびその指導を受けた日本の職人)の手により、法興寺(飛鳥寺)が造営されたこと(完成は596年)が、考古学的な研究からも明らかになっているからです。
さてここで、驚きの事実があります。法興寺は飛鳥から平城京に都が移った際(710年)に、現在の奈良市に移転され、名も元興寺と改められました。このとき建造物の一部や瓦もこちらに移されています。昭和30年代にこの元興寺の極楽坊本堂と禅室の解体修理が行われましたが、このとき確認された事実が驚くべきものだったのです。屋根から降ろされた4413枚の瓦のうち、法興寺から運ばれたものが約600枚、 そのうち法興寺創建時の(つまり百済からやって来た瓦博士たちが造った瓦)が、なんと約170枚も使われていたのです。
1400年にもわたって現役であり続けた瓦! 当時の瓦製造技術がいかに優れたものであったかが分かるというものです。
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