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軒の出がない住宅は要注意!結露による野地劣化事例!
みなさま。こんにちは。
屋根から人の笑顔を作りたい!!!
神清(かみせい)のDr.神谷です。
軒の出がない住宅での屋根の葺き替え現場がありましたので、ご紹介いたします。
木造2×4住宅で、築15年の現場でした。
スレート釘の錆
化粧スレート屋根を剥がしていたところ、スレート留め付け釘の先端が酷く錆びてボロボロになっていました。
亜鉛メッキ釘の先端がこのように錆びていました。
釘の錆びている位置から考えると、スレート屋根材から下の位置(野地合板部分)に水が常時あったと推測できます!
野地合板の染み
ルーフィングをはがして、野地合板を観察しました。
野地合板には、スレート釘孔廻りに黒く染み痕が見られました。
また、合板を垂木に留めている釘頭が錆びてボロボロになっていました。
こちらにもスレート釘孔廻りに黒く染み痕がありました。
ふかふかになった野地合板
ルーフィングを剥がしてみると赤丸部分の野地合板が変色していました。
その部分を足で踏むとふかふかとしていて、野地合板の強度が低下していました。
この部分は野地合板の北面・ケラバ付近でした。
ケラバからの雨水浸入も加わって、長期に渡って、結露していたと思われます。
換気棟は付いていた!
棟には換気棟は設置されていました。
野地の開口は2×4の構造であるため、直径3cmの穴が16個開いていました。
野地合板と棟木が上部で密着する構造であるため、野地合板を開口するのではなく、棟木まで貫通する形で穴が開けてありました。(工夫されていました。)
面積を概算で計算しますと、現在の金融支援機構の基準より開口面積は少し不足していましたが、他に結露した原因がないか検討しました。
なぜ?結露したの?
すると、軒の出がないデザインの住宅だったため、軒先・ケラバ部に吸気孔がありませんでした。
棟部には換気棟による排気孔はあったのですが、吸気孔がなかったことで、換気が十分に行えなかったようです!
★軒の出がない住宅の問題点★
①小屋裏換気・野地通気などの吸気孔を設置することがむずかしい。
②壁の雨掛かりが多くなり、雨漏りが発生しやすい。
③壁が通気構造の場合、その排気がむずかしい。(出口を設けると雨漏りしやすい)
つまり、住宅の外皮(屋根・壁)の耐久性を雨漏り・結露などで低下させやすい構造の住宅と言えます!
◇軒の出がない住宅の対策◇
1.軒先部に特殊な吸気孔を設置する。(雨を入れず、空気を通す通気部材)
2.壁は通気構造とする。(壁内に雨水が浸入しても排出できる構造が必要)
3.通気構造の出口を必ず設置する。(雨仕舞を考えると小屋裏側へ)
つまり、軒の出がなくても、換気・通気できる構造・部材を採用することが必須です!
屋根野地の先端から吸気できる商品も開発されています。
まとめ:軒の出がない住宅の注意点
狭小地での住宅や住宅デザインにより、軒の出がない住宅は人気となっています。
どうしても軒の出がない住宅とする場合は、吸気孔の専用部材なども使い、必ず換気・通気構造とする!
雨漏りの発生確率が高くなりますので、壁などの塗装やシーリングの経年劣化に対しては、定期的にメンテナンスを行うこととする!
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