屋根断熱での結露は大事故になるよ! 家を守る屋根通気・換気8つのポイント!

Dr.神谷
Dr.神谷
  • みなさま。こんにちは。
    屋根から人の笑顔を作りたい!!!神清(かみせい)のDr.神谷です。

    弊社は、高浜市・半田市にある創業150年老舗三州瓦の生産・販売・工事を行っている会社です。
    年間200棟以上の雨漏り調査・修理を行っています。
    建築業界誌「日経ホームビルダー」の連載記事「新次元!雨漏り対策」を執筆しています。

本記事はこんな人にお勧めします。

屋根断熱住宅で、天井に水垂れや染みなどの不具合が発生している人。

計画している新築の断熱仕様が屋根断熱と書いてある人。

新築の住宅を検討している人。

 

この記事で伝えたいこと

最近の住宅では、屋根断熱の家が急増しています。

また、ほとんどの新築は、高断熱・高気密仕様の住宅になっています。

そのため、設計・施工の知識が追い付いておらず、設計・施工のミスによる不具合のご相談をいただきます。

天井断熱は、小屋裏点検口が設置されているため、容易に確認できるのですが、屋根断熱は、点検口もなく、不具合(結露・けつろ)が発覚したときには、はげしい木の劣化が発生していることが多いです。

屋根断熱の不具合は、改修するポイントが多く、費用もかかります。

この記事では、屋根断熱の不具合事例とその8つ対策をご紹介します。

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この記事は動画でも解説しています!↓

屋根断熱での結露は木部の腐朽劣化を引き起こします!気になる方はチェックしてね!

最近の住宅では、屋根断熱の家が急増しています。

平成19年度のデータでは新築の21%だったのですが、平成29年度では、37.4%にまで増加していて、新築の約4割が屋根断熱となっています。

屋根断熱の施工自体は大工さんが行うのですが、結露などの不具合が生じた場合、雨漏りと勘違いされ、屋根屋が呼び出されます。

そんな時、目にした結露事例は雨漏りよりも木材の腐朽劣化が著しいので、ホントに恐ろしい住宅の不具合と言えます!

是非、新築をご検討の方には、頭の片隅に入れていただけると後悔しない家造りの一助になると思います。

内容自体の理解は難しい所もありますので、イメージを抱いていただくだけで十分ですよ!

また、すでに、屋根断熱の家にお住まいの方で、屋根に不具合が生じて、お困りの方には、できるだけわかりやすく表現しますが、ご質問などありましたらご連絡くださいね~。

 

屋根断熱の家とは?

屋根断熱とは最上階の部屋に水平の天井がなく、屋根なりに傾斜した天井(勾配天井)の上に断熱材が設置している仕様のことです。

2階、3階の屋根裏(小屋裏空間)を室内・ロフトとして使用できるため、増えています。

断面図で見るとこんな感じになります。

ピンク色の部分が傾斜した天井上の断熱材を示しています。

結露発生事例

この屋根断熱の家で結露が発生した事例を簡単に!

築後10年未満で、短期間でこのように野地合板が腐朽してしまいます。

天井断熱では、ここまで急激な腐朽劣化は発生しないので、屋根断熱特有の現象といえます。

屋根断熱の結露原因

屋根断熱の家における結露発生原因は以下が考えられます。

◎天井面での防湿層不備

◎断熱材上の通気層不備

天井面での防湿層不備

天井面での防湿層不備はこんな感じです。

外壁断熱材では、断熱材に付属している防湿フィルムを木部の上に重ねて施工してあります。(防湿層の連続性ありで正しい〇)

一方、屋根断熱材は垂木の中に押し込められています。(防湿層の連続性なしで間違い✖)

ちょっとしたことですが、この施工間違いによって、湿気が屋根断熱の上に浸入してしまうのです!

(新築を建設する場合、お施主様はこの断熱材の施工をチェックされることをお勧めします!写真を撮り、「防湿層の連続性は大丈夫ですか?」と一声かけるだけで、効果はありますよ!)

また、施工間違いがなくても、端部や配線などがあり、完全に防湿層の連続性は実現できないので、屋根での通気が必須となります。

断熱材上の通気層不備

断熱材上の通気層不備の事例で多いのは、通気層の出口(排気孔)がない場合です。

 

この通気層不備は、お施主様がチェックすることはむずかしいので、仕組みを簡単に説明します!

屋根断熱の通気層とは?

もう一度、屋根断熱の断面図です。

断面図から通気層を見る

一般的な仕様書には次のように記載されています。

◎小屋裏がないため、小屋裏換気は必要ありません。

◎断熱材上に通気経路が必要です。

◎棟から排気してください。

以上から、この断面図を見て、通気層を考えますと、

通気層=①通気経路+②吸気孔+③排気孔

の3点セットが必要だとわかります。

 

斜視図から通気層を見る

しかし、断面図のため、詳細な注意事項がわからず、不具合が発生する場合がありましたので、さらに斜視図も見てください。

さらに、次の3つのポイントが重要です。

④断熱材上の通気は屋根全面で行ってください。

⑤各垂木間の通気を棟換気に連通させてください。

⑥棟換気から排気してください。

つまり、通気層があるだけではなく、入口(吸気孔)・出口(排気孔)へ連通させ、外気へ排湿させることが重要です!

建物の構造・形状によっては、出口(排気孔)へ連通させることがむずかしい場合もあります。

その場合は、出口(排気孔)の数を増やして、対応してください。

ちなみに、イギリスでは、棟の端から端まで出口(排気孔)を確保することが義務付けられています。(この場合、アンダーコンポ換気棟などの安価なものがお勧めです。)

換気棟をご購入したい方はこちらからどうぞ!

⇒カミセイショップPRO アンダーコンポ換気棟

 

小屋裏換気を施工してみた!安価で安心できる必需品ですよ!

寄棟屋根図から通気層を見る

また、寄棟についてはさらに、以下を注意してください。

⑦寄棟(外断熱)の場合、垂木を切欠き、上図の矢印のように排気孔(棟換気)へ連通させてください。

 

さらに安心を求めるなら、透湿ルーフィング!

屋根では、壁際部、隅棟部や谷部等などがあり、切妻のような単純な屋根形状ばかりではありません。

そのため、仮に、隅角部などで通気が阻害されても腐朽劣化しない工夫も必要です。

そこで、さらに安心できるような工夫として、ルーフィングの変更があります。

⑧透湿ルーフィングを使用して、室内の湿気を透湿ルーフィングから屋外へ排湿してください。

この断面図は壁の通気層と同じ構造です。

昔、壁の防水紙は透湿性のない仕様だったのですが、結露が多く発生して、現在は透湿防水シートになっています。

屋根断熱も同様に透湿ルーフィングだと安心です!

ちなみに、屋根断熱住宅の多いドイツは透湿ルーフィングが標準です!

透湿ルーフィングについては、詳しくはこちらをご覧ください。 

【新築前に知っておこう】屋根「ルーフィング」の重要性⇒材料指定がお勧めです!

 

以上⑧項目が、屋根断熱における屋根通気層の注意点となります!

 

まとめ:屋根断熱の家は後悔しないようにお施主さまもチェックしましょう!

お施主さまが新築現場で、できるチェック方法

◎屋根断熱材を施工するときは、写真撮影および「防湿層の連続施工に注意してください。」と一声かけましょう!

◎屋根通気層は大事なので、「8項目を注意してください。」と一声かけましょう!

8項目について、工務店さんと話をするだけで、慎重に施工していただけると思います。

 

専門用語もあり、わかりにくい所もあったかと思います。

ご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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