【新築時に役立つ】ルーフィング種類別メリット・デメリットを屋根プロが徹底比較しました!

Dr.神谷
Dr.神谷
  • みなさま。こんにちは。
    屋根から人の笑顔を作りたい!!!神清(かみせい)のDr.神谷です。

    弊社は、高浜市・半田市にある創業150年老舗三州瓦の生産・販売・工事を行っている会社です。
    年間200棟以上の雨漏り調査・修理を行っています。
    建築業界誌「日経ホームビルダー」の連載記事「新次元!雨漏り対策」を執筆しています。

本記事はこんな人にお勧めします。

新築の屋根を検討している人。

長寿命な住宅の屋根を検討している人。

屋根から雨漏りを絶対させたくない人。

この記事で伝えたいこと

今回は、屋根の防水シート「ルーフィング」!
家を守るうえで、じつは重要な資材です。
選択するポイントについて、書きたいと思います!
防水性・耐久性・メンテナンス費用など。
あまりなじみのない製品ですが、分かりやすく解説していきます!
大切な我が家を守る屋根!
じっくり読んで、素敵な屋根と我が家を作ってください

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サクッと概要を知りたい方は動画でどうぞ!

【新築時】屋根の「ルーフィング」は知られていないけど、とても重要です!

屋根の防水シート!「ルーフィング」って、どれがいいの?

住宅を雨から守る屋根の防水シート!

それが、「ルーフィング」!

 

まさに、「ルーフィング」は、雨から家を守る生命線なのです!

 

しかし、新築を検討するにあたって、「ルーフィング」って言葉を

1回も聞かなかった方も多いのではないでしょうか?

 

現状、新築を検討する上で、お客様には

「ルーフィング」の選択権がありません。

建築側の暗黙のルールとして、

「新築後10年間の雨漏りは保証しているから、こちらに任せなさい」

ということだと思います。

しかし、「ルーフィング」の種類によって、

耐久性、防水性、排湿性という

屋根を守る上で重要な性能が大きく異なっています。

 

ここは重要です!

築後10年を経過し、保証期間が外れた雨漏りは、

その補修費用がお客様負担となります。

だからこそ、積極的にお客様が検討してほしい部材なのです!

それが、「ルーフィング」!

 

特に、屋根の補修時は足場などが必要となり、補修費用も高額となります!

 

一般の方には全く知られていないけど、

住宅にとって、とても重要な部材である「ルーフィング」!

わかりやすくご紹介いたします!

 

「ルーフィング」ってなに?それは屋根の防水シート!

住宅のどこに使用されるの?

屋根に使用される部材です。

屋根の下地となる野地板(野地合板)の上に施工され、

屋根材が施工されると隠れてしまうものですが、

家には、とっても、とっても重要な防水材です。

 

厚み・わずか約1mmのシート!

これが、野地板への雨水浸入を防ぎます!

 

屋根と聞いて、フーンと半分興味を無くした方もいるのでは・・・?

でも、「チョット待ったー!」

皆さんにも関係ある興味深いデータをご紹介します!

(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター 住宅相談統計年報2017)

2016年、戸建住宅の相談で、もっとも多いのは

雨漏り(屋根・壁)!!

 

自動車が自動運転できる時代でも、屋根からの雨漏りは相変わらず多いのです。

 

この雨漏りを防ぐため重要な役割を果たすのが、

今回の主役「ルーフィング」!!!

 

「ルーフィング」の役割は?屋根材の下で雨を防ぐ!

屋根材には、一般的に隙間があります。

そのため、台風などで一定以上、強風雨を受けると

その隙間から浸水することがあります。

瓦、金属屋根、スレート屋根、樹脂屋根などの住宅用屋根材において、「ルーフィング」なしで施工できる屋根材はありません。

つまり、屋根材と「ルーフィング」のセットで、雨漏りを防いでいるのです。

 

野球に例えるなら、屋根材がピッチャー、「ルーフィング」がキャッチャーです。

野球でも目立たないポジションかもしれないけど、

キャッチャーが重要であるように、

屋根でも、目立たないけど「ルーフィング」が超重要なのです。

 

まさに守備のかなめ!

縁の下の力持ちなのです!

 

 

「ルーフィング」の必要性能は?第一に、雨水を止める!

「ルーフィング」に、必要な性能は以下のとおりです。

止水性(※)

屋根材から浸入した雨水に対して、釘・ねじ・針などで

ルーフィングに穴を開けた部分から室内へ雨漏りさせないこと。

防水、いのち。

 

耐久性

屋根はあまり知られていませんが、住宅の中でもっとも高温低温を繰り返している場所。

その使用環境において、有害な変質、変形を生じないこと。

伸び縮が少ないこと。

 

施工性

ルーフィングの施工時に破断・破損しないこと。

また、屋根材の施工時にも耐えうること。

破れないこと。

 

透湿性

「透湿系」の場合、一定の透過性能を維持すること。

湿気を排湿できること。

 

強度

引張強さ、つづり強さ(つぎ合わせの強さ)がある程度高いこと。

破れないこと。

 

(※)止水性の考え方・・・ルーフィング業界独特の考え方なので、簡単にご紹介!

ルーフィングの止水性試験として、代表されるものに、

釘孔シール試験(引用:JASS12屋根工事より)があります。

試験体であるルーフィング(下葺)の釘1本に対して、

パイプを立て、30㎜水を入れて、

24時間後に貫通孔を通した漏水の有無を確認するというものです。

 

ビックリするのが、その判定基準です。

「10個中8個以上、下地が濡れていないこと」

⇒10個中2個はルーフィングから漏水してもOK!

という基準なんです。

ルーフィングは防水材だから、

「10個中10個漏水しないこと」なのかと、思うのですが、

釘孔を開けて、かつ、止水するのはむずかしいことのようです。

(なんか、心配になりますよね!)

 

「ルーフィング」の施工方法は?ホッチキス止め!

ルーフィングは、ステイプル、タッカーと呼ばれる

大きなホッチキスみたいな針で、野地板に留め付けます。

ルーフィングの上には、屋根材を施工するので、それまでの仮留めとなります。

ルーフィングに穴を開けて留めることになるので、施工には注意が必要です。

ステープルの仮留め付けを失敗すると、雨漏りの原因となります。

失敗した場合は、その穴をふさぐ養生が必要となります。

 

「ルーフィング」の種類は? 2種類です。

「ルーフィング」の種類は?2種類!透湿か非透湿!

大きく分けると「透湿系」と「非透湿系」の2種類。

「透湿系」

透湿ルーフィング

(※壁の透湿防水シートとは違い、屋根用で止水性・耐久性・強度が高い)

「非透湿系」

アスファルトルーフィング

改質アスファルトルーフィング

合成高分子系ルーフィング

この辺が代表選手です。

 

2種類の特徴について、詳しくご紹介します。

「透湿系」と「非透湿系」の違いは?湿気を通すか!

「透湿系」

湿気は通す(水は通さない)という優れものです。

衣服などではありますよね~!

優れものの分だけ、価格も少し高めです。

材料価格:500~円/㎡ 50,000~円/1棟(高級品)

シェアは、わずか5%程度です。

残念ながら、コストパフォーマンスが高くても、普及は進んでいません。

理由は、建築業者側の意向で、屋根工事のコストアップを嫌う傾向が強いためです。

 

「非透湿系」

とにかく「防水、いのち」という発想です。

種類は豊富で、価格も安価なものから高価なものまで・・・

材料価格:200~円/㎡ 20,000~円/1棟 (低価格品)

400~円/㎡ 40,000~円/1棟 (高級品)

シェアは高く、95%程度となっています。

とにかく、「防水、いのち」なんです!

 

 

ルーフィングのタイプ別 メリット・デメリット

ルーフィングの主なタイプは、5つあります。

  1. 透湿ルーフィング(透湿系)
  2. 粘着層付透湿ルーフィング(透湿系)
  3. アスファルトルーフィング940(非透湿系)
  4. 改質アスファルトルーフィング(非透湿系)
  5. 粘着層付改質アスファルトルーフィング(非透湿系)

それぞれのメリットデメリットを以下で簡単に解説します。

透湿ルーフィング(透湿系)

高耐久住宅先進国のヨーロッパでは、

透湿ルーフィングの普及率が高くなっています。

 

◎メリット

①室内からの湿気を屋外へ排湿できます。

⇒結露が発生しやすい屋根断熱住宅(高断熱住宅)には、お勧めです!

 

野地合板を乾燥させることができます。

⇒新築時の野地合板の水濡れや局所的な野地合板への雨漏りなどの水分も乾燥できます!

「仮に入っても乾かす」という安全側の発想!

 

③耐久性が高く、長持ちします。

⇒瓦屋根などでは、メンテナンス費の削減につながります!

(ランニングコストは大幅削減!)

耐久性は50年間の促進試験をクリア⇒長寿命住宅に適している!

詳しくは、透湿ルーフィング協会のホームページをご覧ください!

http://www.toshitu-r.jp/

 

④透湿ルーフィングの重量は、0.2㎏/㎡とアスファルトルーフィングに比べて、約1/6と軽量になっています。

 

⑤瓦屋根の棟芯材の保護、片流れ屋根の水上側の防水対策などの部分使用に適しています。

棟芯材(たる木)の保護

冠瓦を留めるビスからの伝い水による棟芯材(たる木)の腐朽を防ぎます。

詳しい使い方はこちらの記事をご覧ください。

日本瓦屋根 棟の耐震改修 7寸丸1本伏せで葺き直し

 

片流れ屋根の水上側の防水対策

片流れ屋根の水上側の防水対策として、野地板の棟頂部を壁側に巻くことで、野地板裏面への伝い水を防ぎます。

詳しい使い方はこちらの記事をご覧ください。

片流れ屋根のメリット・デメリット。心配な雨漏り対策もご紹介します!

 

▼デメリット

①初期費用が高くなります。

⇒普及品であるアスファルトルーフィング940と比べて、

イメージとしては、1棟あたり30,000~円程度、高くなります。

 

②直貼り(じかばり)工法の屋根材では、通気構法とする必要があります。

⇒直貼り工法の屋根材(スレート屋根、シングル屋根、立平葺きなど)では、

屋根材から湿気を排湿する経路が必要となるので、通気構法を併用してください。

 

粘着層付透湿ルーフィング(透湿系)

透湿ルーフィングの裏面に粘着層付がついているタイプです。

◎メリット

ステイプルを使用せず、野地板に貼り付けるため、止水性が高いです。

⇒透湿ルーフィングに開く孔が大幅に減少します。

②屋根材を施工するまでの間、強風雨があっても野地板を濡らすリスクがありません。

⇒屋根での結露リスクは限りなく少ないです。

接着工法のため、カバー工法にも使用できます。

▼デメリット

①初期費用がかなり高くなります。

⇒普及品であるアスファルトルーフィング940と比べて、

イメージとしては、1棟あたり70,000~円程度、高くなります。

 

施工が慣れないと難しく、しわが発生しやすいです。

ルーフィング幅は1.5mと他のルーフィングよりも幅広です。

粘着層は張り直しできないないので、2人以上での作業となります。

 

アスファルトルーフィング940(非透湿系)

様々な設計施工基準や仕様書において、

「アスファルトルーフィング940と同等以上」と記載されています。

(お客様が何も言わないと、通常、このルーフィングになります。)

 

◎メリット

①初期費用が安価となります。

もっとも安価なルーフィングです!

 

②止水性を重視した設計となっています。

⇒比較試験では、透湿ルーフィングより止水性が優れていると報告されています。

 

▼デメリット

①ルーフィングが、破れやすくなっています。

 

(ルーフィングを防水紙と呼ぶこともある。

紙は上図のアスファルト含浸原紙から来ている。

⇒紙だから簡単に手で破れる。)

 

②耐久性に劣ると報告されています。(15年程度)

(アスファルトルーフィング940を剥がしたら、屋根材留め付け釘孔からの漏水痕あり:築20年以上)

 

③透湿抵抗が高く、湿気を排湿できません。

野地合板が結露により、劣化する事例が報告されています。

 

④アスファルトルーフィングの重量は、1.2㎏/㎡となっています。

 

改質アスファルトルーフィング(非透湿系)

アスファルトルーフィング940の高品質版です。

 

◎メリット

①ルーフィングが、破れにくくなっています。

(不織布が取り入れられている。)

 

止水性を高めた設計となっています。

(アスファルトに合成ゴムや合成樹脂を混入した改質アスファルトを使用している。)

 

耐久性が向上しています。(940と比べて)

⇒促進試験の結果、耐久性が30年程度となっています!

止水性や耐久性を高めており、

現在、多くの屋根材で推奨されている部材!

 

化粧スレート屋根やアスファルトシングルなど

野地合板に空気層のない屋根材には、相性がいいと言えます。

とにかく、防水、いのち!

 

▼デメリット

①初期費用が高くなります。

⇒普及品であるアスファルトルーフィング940と比べて、

イメージとしては、1棟あたり20,000~円程度、高くなります。

 

②透湿抵抗が高く、湿気を排湿できません。

野地合板が結露により、劣化する事例が報告されています。

 

改質アスファルトルーフィングの中には、特殊な高耐久仕様もあります。

マスタールーフィング(商品名)

通常の2倍となる60年の耐久性があります。

劣化防止層により、外気との接触がなく釘孔シール性が長期間に渡り持続するものです。

価格は通常の改質アスファルトルーフィングの約4倍、

1,600~円/㎡ 160,000~円/棟と最高級品となっています。

 

粘着層付き改質アスファルトルーフィング(非透湿系)

改質アスファルトルーフィングの裏面に粘着層が全面についている部材で、

改質アスファルトルーフィングの高品質版。

◎メリット

①防水性が高くなっています。

⇒仮止めの針(ステープル)を使用しなくて済むので、

ルーフィングの貫通孔が減少し、雨漏りリスクが少なくなります。

 

②カバー工法など、仮止めの針(ステープル)が効かない材料の上にでも接着・施工することができます。

 

▼デメリット

①初期費用が高くなります。

⇒普及品であるアスファルトルーフィング940と比べて、

イメージとしては、1棟あたり70,000~円程度、高くなります。

 

②カバー工法の場合、アスベストを含有粉じんを粘着層に取り込むため、

解体時、分別することができず、要注意です。

カバー工法などで使用されているが、アスベスト問題、費用対効果などを考えるとお勧めできない部材です。

 

ルーフィングのメリットデメリット一覧表

ルーフィングのメリットデメリットを表にまとめました。

 透湿ルーフィング粘着層付透湿ルーフィングアスファルトルーフィング940改質アスファルトルーフィング粘着層付改質アスファルトルーフィング
種類透湿系透湿系非透湿系非透湿系非透湿系
材料費500~円900~円200~円400~円
900~円
耐久性50年以上50年15年30年30年
メリット湿気を排湿できる
耐久性がとても高い
湿気を排湿できる
防水性が高い
接着施工ができる
安い
破れにくい
止水性重視
防水性が高い
接着施工ができる
デメリット初期費用が高い
通気工法が必要
初期費用がとても高い
施工が難しい
破れやすい
耐久性が低い
湿気を排湿できない
初期費用が高い
湿気を排湿できない
初期費用がとても高い
湿気を排湿できない

透湿系にするのか?非透湿系にするのか?悩むところですね。

参考ですが、現在の通気構法の壁(サイディングなど)は、

透湿系のシートを使用することになっています。

(非透湿系では、結露などの不具合が発生したため)

 

まとめ:ルーフィングには、屋根を守る大事な役割があります!

「ルーフィング」は住宅の表面から見えません。

しかし、住宅の長寿命・低メンテナンス費を考えると、とても重要な部材です!

 

建築業者に何も要望しないと、

安価なアスファルトルーフィング940になってしまいます。

積極的に確認して、長持ちする材料を要望しましょう!

 

アスファルトルーフィング940から改質アスファルトルーフィングへ

アップグレードしても、数万円も変わりません。

可能な方は是非、改質アスファルトルーフィングを指定された方がいいですよ~!

 

長期優良住宅の場合、メンテナンス費を考えると、

「瓦+透湿ルーフィング」の60年屋根は、もっとも安価です。

これは、お勧めです!

 

屋根断熱仕様の住宅にも、結露対策で安心できる

「透湿ルーフィング」をお勧めしています!

 

何か、わからないことがあれば、お気軽にお問い合わせくださいね~!

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