瓦屋根の新屋根断熱工法(MDF+透湿ルーフィング)結露・雨漏りに強い

Dr.神谷
Dr.神谷
  • みなさま。こんにちは。
    屋根から人の笑顔を作りたい!!!神清(かみせい)のDr.神谷です。

    弊社は、高浜市・半田市にある創業150年老舗三州瓦の生産・販売・工事を行っている会社です。
    年間200棟以上の雨漏り調査・修理を行っています。
    建築業界誌「日経アーキテクチュア」の連載記事「新次元!雨漏り対策」を執筆しています。

本記事はこんな人にお勧めします。

屋根断熱を現場発泡ウレタン断熱材で施工している人

屋根の通気・換気で困っている人

ウッドショックで困っている人

この記事で伝えたいこと

「現場発泡ウレタン断熱材の結露対策である野地下の通気層施工に危険が伴う」と話を聞くことがあります。

また、断熱施工業者に聞くと「通気層を省いている工務店さんもいる」とも聞きます。

屋根断熱の割合が40%以上に増えているので、屋根屋としては心配しています。

そこで、瓦屋根の通気性を利用して、現場発泡ウレタン断熱材のリスクを軽減する工法の温熱環境測定を実験しました。日経アーキテクチュアの記事にもなりました。

簡単にご紹介します。

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瓦屋根の新屋根断熱工法の目的とは?

今回実験した瓦屋根の新屋根断熱工法の目的は以下となります。

  1. 野地板の下に通気層を設置しない
  2. 天井上に防湿層も設置しない
  3. 軒先の吸気部材・棟の排気部材も設置しない
  4. 野地は構造用合板を使用しない
  5. トータルでコストダウンする

①、②は室内側の省施工(安全施工)につながります。

また、通気層の連結ミス、防湿層の施工ミスなどによる結露被害をなくすことにつながります。

③は換気・通気部材を省くことで屋根側の省施工につながります。

野地合板の代わりにMDF(中密度繊維板)を使用します。

MDFは構造用合板に比べて少し割り高となりますが、①~③によって、コストダウンできるため、トータルでもコストダウンにつながります。

目的は、結露や雨漏りの心配をすることなく、現場発泡ウレタン断熱材を使用する瓦屋根を実現することです。

瓦屋根の新屋根断熱工法の実験の目的とは?

MDFは構造用合板にくらべて、雨漏りリスクは少ないです。

くぎ孔シール性が高く、撥水効果も高いため、野地上から野地下への雨水の移動が起きにくい材料です。

また、構造用合板に比べて10倍程度湿気を通すため、室内の湿気も野地上に排湿することができます。

野地上に透湿ルーフィング・瓦を使用することでそのまま室外へ排気できるので、特別な通気部材を使用することなく結露による野地板の腐朽を防ぐことができます。

しかし、発泡ウレタンを吹付てしまうとその内部を確認することができないため、温度・湿度を測定して、MDFと構造用合板の違いを確認することが目的です。

瓦屋根の新屋根断熱工法の実験棟作成

概要

愛知県半田市の弊社にある温熱環境測定棟で、今回の実験を行いました。

実験の監修は、東洋大学名誉教授土屋先生にお願いし、助言・シミュレーションを行っていただきました。

冬季実験を2021年1月~4月の期間としました。

実験棟の屋根は切妻屋根で、屋根面が南北に向くように設置してあります。

実験棟の作成

①野地板を東西の半分で分け、東面にMDF、西面に構造用合板を設置しました。

②温度・湿度センサーを設置しました。

設置場所は以下の部分です。

野地下・野地上・瓦下空間・外気・室内に設置しました。

上の写真は室内側の温湿度センサーの設置した様子です。

③野地上に透湿ルーフィングを設置しました。

④現場発泡100倍ウレタン断熱材を直接野地に吹付ました。

水平天井に石膏ボードを設置してありますが、点検口2個を常に開口していましたので、室内と天井上はつながった空間となっていました。

室内には、エアコンと加湿器を設置して、常時運転させました。

⑤通常の瓦屋根を施工

特別な通気工法とはせず、通常の施工方法でF形瓦を施工しました。

真っ平のF形瓦を施工しました。

実験棟の屋根仕様

・屋根材:F形瓦(縦桟t=2mm、瓦桟木15×30mm)

・防水シート:透湿ルーフィング

・野地板:(東面:9mmMDF、西面:12mm構造用合板)

・屋根断熱:現場発泡100倍ウレタン断熱材を野地板に直吹付(通気層なし・防湿層なし)

・換気・通気:軒天換気なし・通気層なし・棟排気部材なし

 

瓦屋根の新屋根断熱工法の実験結果

一番顕著に差が出ました北面の野地下の温度・湿度のグラフをご紹介します。

計算は土屋先生がシミュレーションされた結果です。

実測とほぼ同じような動きとなっています。

1月末~2月7日まで北面野地下が合板・MDFともに湿度100%となるように室内温度25℃、湿度60%に設定しました。(室内からの湿気が多い厳しい環境)

2月7日に室内環境を温度25℃、湿度50%に変更しました。(一般的な生活環境)

すると、MDFは3日後から下がりはじめ、1週間程度で80%を下回る状態となり、その後も下がり続けました。

一般的な生活環境では室内の湿気をMDFを通して、透湿ルーフィング・瓦から外気へ排湿することができることをMDFでは確認できました。

MDFであれば、透湿ルーフィング・瓦を使用することで、野地下通気層・防湿シート・通気部材・軒先吸気部材・棟排気部材を省くことができます。

一方で、野地合板は約1か月間100%が続きましたので、野地合板が結露水で腐朽するリスクがあることを確認しました。

野地合板であれば、やはり、野地下通気層・防湿シート・通気部材・軒先吸気部材・棟排気部材による結露対策が必要です。

また、この計算において、瓦下空間の空気の入れ替わりは、約70回/時間程度と仮定されたそうで、十分に通常の施工でも瓦の排湿機能があることが確認されました。

上の動画は瓦の排湿機能を見える化した煙実験です。

 

瓦屋根の新屋根断熱工法のコストダウン

現状、瓦屋根・現場発泡100倍ウレタン断熱材の仕様であれば、以下の2点の変更が必要です。

  1. 野地板:構造用合板12mm⇒MDF9mm
  2. 防水シート:改質アスファルトルーフィング⇒透湿ルーフィング

これによって、以下のものが省くことができます。

  1. 野地下の通気部材(ダンボール製の通気スペーサー/垂木下に透湿防水シート)
  2. 軒先吸気部材
  3. 棟排気部材
  4. 天井上の防湿シート(温暖地域)

簡単な試算では、7万円/棟のコストダウンが見込めます。

また、ウッドショックによって、構造用合板が値上がりしているので、もっとコストダウン幅が大きくなる可能性もあります。

 

瓦屋根の新屋根断熱工法は「日経アーキテクチュア」にも紹介されました。

瓦屋根の新屋根断熱工法は日経アーキテクチュア2021年5月13日号に紹介されました。

通気不良を防ぐ屋根断熱の新工法」で土屋先生のシミュレーションや屋根断面図も加わり、紹介されています。

 

まとめ:瓦屋根の新屋根断熱工法は結露・雨漏りにも安心な屋根を実現します。

瓦屋根の新屋根断熱工法は以下の特徴があります。

  1. 野地板の下に通気層を設置しない
  2. 天井上に防湿層も設置しない
  3. 軒先の吸気部材・棟の排気部材も設置しない
  4. 野地に構造用合板を使用しない
  5. トータルでコストダウンする

結露や雨漏りの心配をすることのない、現場発泡ウレタン断熱材を使用する瓦屋根を実現します。

一般的な生活環境では室内の湿気をMDFを通して、透湿ルーフィング・瓦から外気へ排湿することができることをMDFでは確認できました。

MDFであれば、透湿ルーフィング・瓦を使用することで、野地下通気層・防湿シート・通気部材・軒先吸気部材・棟排気部材を省くことができます。

一方で、野地合板は約1か月間100%が続きましたので、野地合板が結露水で腐朽するリスクがあることを確認しました。

野地合板であれば、やはり、野地下通気層・防湿シート・通気部材・軒先吸気部材・棟排気部材による結露対策が必要です。

簡単な試算では、7万円/棟のコストダウンが見込めます。

また、ウッドショックによって、構造用合板が値上がりしているので、もっとコストダウン幅が大きくなる可能性もあります。

瓦屋根・透湿ルーフィング・MDFを使用することで、軒ゼロの防水と通気の矛盾に頭を悩ます必要もなくなります。

 

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