【瓦屋根の高耐久仕様】棟部に透湿ルーフィングを使用して災害を減らす!

Dr.神谷
Dr.神谷
  • みなさま。こんにちは。
    屋根から人の笑顔を作りたい!!!
    神清(かみせい)のDr.神谷です。

    瓦屋根の高耐久仕様を考える上で、
    棟部には、課題が残っているように感じます。
    解決方法とともに、ご紹介します!

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瓦屋根の災害に強い仕様として、ガイドライン工法があります!

昨年の大阪府北部地震、台風21号、今年の千葉県の台風15号において、瓦屋根に被害が発生しました。

これらの多くは、築30年以上の日本瓦屋根、特に、棟部(屋根の頂点)に被害がありました。

昔の仕様では、瓦の留付け方法は、葺き土と呼ばれる粘土の重さ・接着力をベースに考えられていました。

昔の仕様では、最近の度重なる巨大地震・巨大台風では、耐えることができない留め付け力しかありません。

そこで、阪神大震災を発端として、現在では、ガイドライン工法と呼ばれる瓦屋根の耐震・耐風工法での瓦屋根が一般的に施工されています。

新築時においては、巨大地震・巨大台風にもほとんど被害がなく、安全・安心の屋根として、認識されています。

瓦は高耐久の屋根材です!

瓦は粘土を高温で焼成しているセラミックス材料です。

色の退色や材料強度においても、瓦は高耐久と認められています。

実際、被害を受けている屋根は、50年ぐらい経過した瓦屋根はざらにあります。

高耐久屋根のため、昔の仕様の屋根がまだ、たくさん健在しています。

逆に、そのため、巨大災害では、被害を受けてしまいます。

是非とも、築30年を経過した瓦屋根は、現在の標準的な仕様へメンテナンスされることをおススメいたします。

瓦屋根をもっと高耐久とするための工夫も見つかりました!

昨年・今年の台風で、築30年程度の冠瓦(かんむりかわら)の被害が見受けられました。

この屋根は、昨年の台風21号で被害のあったS形瓦の屋根です。

棟部に設置されている冠瓦が強風で飛散しました。

冠瓦はたる木に留め付けられていたのですが、飛散しました。

この棟部は、現在のガイドライン工法にも適合する仕様です。

30年程度経過すると、ガイドライン工法でも性能が低下している仕様もあることがわかりました。

冠瓦のパッキン付きくぎ留め仕様の問題点

下の写真は、冠瓦のパッキン付きくぎ留めした屋根です。

この屋根も築25年を経過していました。

一部の冠瓦が昨年の台風21号で飛散しました。

飛散した部分を詳しく観察すると、たる木のくぎ穴部分が木の繊維方向へ縦長に腐朽して穴が大きくなっていました。

くぎ穴以外の部分のたる木には、劣化は見受られません。

冠瓦の表面からくぎの伝い水で、くぎ周辺のたる木に雨水が伝わります。

くぎ周辺の含水率が高くなり、たる木が腐朽して、穴が大きくなったと考えられます。

この現象は、他の物件でも多くありました。

冠瓦のパッキン付きくぎ留め工法は、25年程度でメンテナンスが必要だと思います。

 

冠瓦のパッキン付きくぎよりも、パッキン付きビスの方が緩みにくく、パッキンの効果が続くため、耐久性が高いと言われています。

冠瓦のパッキン付きビス留め仕様の問題点

下の写真は、冠瓦のパッキン付きビス留めした屋根です。

築25年を経過した瓦屋根です。

冠瓦を留めているパッキン付きビスが浮いています。

パッキン付きビスは75mmと標準的な長さとなっています。

冠瓦を外してみると、ビス穴が縦長に広がっていて、ビスが効いていない状態でした。

パッキン付きビスもくぎと同様に表面から伝い水が浸入して、ビス周辺のたる木の含水率が高くなり、腐朽したと思われます。

 

この建物で発見したのですが、平部の瓦のたる木は劣化していませんでした。

 

平部のたる木はパッキン付きくぎで腐朽していませんでした!

下の写真は、同じ屋根の平部です。

瓦は、スパニッシュ瓦と言って、上丸と下丸が交互に並んでいます。

上丸の表面にパッキン付きくぎで留め付けしています。

ほぼ、冠瓦と同じ条件となります。

たまたま割れた上丸の瓦があったので、交換しました。

割れた瓦を外してみると、たる木にパッキン付きくぎはしっかりと固定されていました。

くぎ穴周辺は腐朽が見られませんでした。

冠瓦のたる木と平部のたる木はなぜ腐朽度合いが違うのか?

同じ建物なので、経過年数は同じです。

平部の方がパッキン付きくぎで伝い水は発生しやすい条件です。

しかし、冠瓦のたる木は腐朽し、平部のたる木は腐朽していません。

これは、冠瓦のたる木は葺き土・しっくい・なんばんしっくい等の湿式材料で覆われています。

一方、平部のたる木は周辺に湿式材料はなく、乾燥しやすい状態にあります。

つまり、伝い水によるたる木の含水が長期間つづく冠瓦では、腐朽が進行しやすく、伝い水が乾燥しやすければ、腐朽しにくいと言えます。

冠瓦はたる木が腐朽しやすいので、25~30年でメンテナンスが必要となります。

 

冠瓦のたる木の耐久性を上げる工夫を紹介します!

ガイドライン工法の瓦屋根は、50~60年程度持つと考えられています。

しかし、棟部はメンテナンスが必要では、アンバランスと言えます。

棟部も50~60年程度持つようにする工夫として、透湿ルーフィング棟用を使用する方法をご紹介します!

上の写真は、透湿ルーフィング棟用を使用した構成断面を示しています。

右から、

①桟瓦の上にたる木

②たる木の側面になんばんしっくい

③たる木の上に透湿ルーフィング棟用を使用

④冠瓦をたる木にパッキン付きビスで留め付けして完成

単純に言うと、通常のガイドライン工法に透湿ルーフィング棟用を使用しただけです。

透湿ルーフィング棟用を使用するメリット

なぜ、透湿ルーフィング棟用を使用するのか?

1)防水性が高くなる・・・ビスからの水をたる木へ伝えにくくする。

2)乾燥しやすい・・・透湿性があるので、湿式材料からの湿気を排湿できる。

この2つの効果で、たる木の劣化を防ぐことができます。

 

10年以上前に施工したものを確認しました。

下の写真は、10年以上前に施工した透湿ルーフィング棟用を点検したものです。

冠瓦を外して、緑色の透湿ルーフィングを確認してみると、くぎ穴周辺に雨水浸入痕が見られました。

透湿ルーフィングに痕があることで、下のたる木への伝い水を防いだことになります。

その下を確認してみると、ビス穴の廻りはまったく雨水痕がなく、穴も広がっていませんでした。

 

冠瓦の下に、透湿ルーフィング棟用を使用することで、瓦屋根の棟部の寿命を伸ばすことができ、瓦屋根全体の寿命のバランスがとれるようになると考えています。

(透湿ルーフィングは50年程度の促進試験に合格しています。)

その他にも、たる木を樹脂製や防腐処理済製に変更することも考えられます。

(これらの材料が50年持つのか?私は知見がありません。)

 

ポイントまとめ
・現在の瓦屋根はガイドライン工法で耐震・耐風性が向上している
・棟部の冠瓦が30年程度で、たる木が腐朽する事例もある
・透湿ルーフィング棟用を使用することで、耐久性が向上する

 

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