木造住宅に発生しうる劣化について 腐朽による劣化とは?
こんにちは~。
屋根・雨漏りの調査員、神谷昭範です。
木造住宅を調査する上で、木材の劣化について把握する必要があります。
木質構造物に発生しうる劣化は2つです。
1つは腐朽で、菌類による木材の分解と強度低下を招きます。
もう1つは虫害(蟻害と甲虫害)で、昆虫類の食害による木材の欠損と強度低下を招きます。
木造住宅において、発生しやすい劣化は以下の4つです。
1.床下や土壌からのシロアリの這い上がりと湿気による腐朽があります。
2.壁内の結露・雨漏り・漏水による腐朽、下層からのシロアリ食害の這い上がりがあります。
3.小屋裏における雨漏り・結露による腐朽があります。
4.床下・外周・小屋裏における甲虫害、合板や建材での甲虫害があります。
そこで、まず、腐朽について簡単に説明いたします。
まず、明らかな腐朽は以下の2つです。
①典型的な褐色腐朽や白色腐朽の症状を示し、強度や密度の低下が著しいときです。
②木部に子実体(キノコ)が生えているときです。
木材腐朽菌の生活環を下図に示します。
図の右側にあたる子実体(キノコ)から胞子、発芽までは木材を分解しません。
それから一次菌糸、二次菌糸の成長までの図の左側で木材を分解します。
上写真のようにキノコを見つけた場合は、腐朽菌であり、腐朽が進んでいることになります。
胞子は空中や木材表面のどこにでもいます。
水分が供給されると、発芽し、菌糸を伸ばし、木部を分解します。
菌糸は白い綿状・膜状の付着物であり、見つけたら要注意です。
木材に水分が供給された場合、含水率が30−100%になると腐朽が発生します。
そのため、30%以下となるように、木材を乾燥させることが木造住宅での腐朽を防ぐことになります。
また、昔の貯木場のように木材を水中で保管しておけば、細胞内壁が自由水で飽和して腐朽しない条件となります。
赤丸の部分は、白い綿状、膜状の付着物です。
このようになっていると腐朽はかなり進んでいます。
飛び飛びになっているのは、木材の向こう側から漏水をしているためです。
向こう側の腐朽はさらに進んでいると想像できます。
木材の湿潤状態が続いた場合に、カビも発生します。(カビは木材を腐朽させません。)
カビは60種程度あり、腐朽菌は20種程度あるそうです。
カビの場合は、色が黒、暗緑色、土色、赤系、青系、黄系、灰褐色となる場合が多くあります。
一方、木材が湿潤していて、白い綿状・膜状の付着物がある場合は、木材腐朽の疑いがあると考えられます。
以上に注意して、木造住宅での調査において、木部の変色があった場合に、適切に劣化の可能性を判断していきたいと思います。 (#⌒∇⌒#)ゞ
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