屋根勾配の違いによりいくつかの劣化リスクがあります。
通常、各屋根材の種類ごとに使用可能な勾配が定めれています。
その基準については各屋根材ごとの判断となりますので、一般的な考え方をご紹介いたします。
1)緩勾配屋根
①漏水リスク
緩勾配屋根では、屋根面の流下水の速度が遅いため水圧がかかりやすくなります。
少しの障害物などで水は滞留するので、漏水リスクとなります。
また、風雨時には風圧による雨の吹き込み量が多くなります。
各屋根材で漏水試験などを行い適用範囲を定めています。
しかし、軒先・けらば・棟・取り合い部などの役物部位まで、厳密な試験などは行われていません。
また、施工者の技術によっても大きく左右されます。
緩勾配屋根は漏水リスクが高いことを承知ください。
その上で、下葺き材を増し張りすることや下葺き材の曝露面においては貫通する孔をなくすホールレス工法などが必須となります。
②換気不足となるリスク
緩勾配屋根では小屋裏空間の体積が少なく、軒先と棟での高低差も少なくなるため温度差換気力が小さくなり換気不足となるリスクがあります。
棟換気などの開口面積を通常より多くとることや外壁通気層を小屋裏へ流入させて、高低差を確保して温度差換気を促進することが必要です。
2)急勾配屋根
①付属物の落下リスク
急勾配屋根では、屋根材や付属設置物の自重がせん断方向に大きくなるリスクがあります。
長期的に落下しないような付属物設置に関わる材料強度の高いものにすることや留め付け躯体側の強度も高いものとする必要があります。
②維持管理が不足するリスク
維持管理のための点検を行うのに、足場が必要となります。
通常足場なしで行う定期点検に比べ莫大な費用が掛かります。
点検を行わなくなったり、精度の低い点検内容となります。
維持管理が低下するリスクとなります。
住宅のデザイン・コストなどで緩勾配屋根としたり、デザイン・小屋裏利用のために急勾配屋根とすることは通常の屋根勾配に比べて劣化リスクがあることを承知ください。
その上で、劣化リスクを低減する対策をあらかじめ講じた設計・施工をご検討ください。
これにより、維持管理・メンテナンスコストを安価にすることができます。 (#⌒∇⌒#)ゞ
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