屋根に霜(しも)が降りるのはなぜ?
図解 屋根に関するQ&A
よく聞かれる屋根への質問にわかりやすくお答えしています。
「冬の朝、氷点下でもないのに霜(しも)が降りるのは、なぜ?」とお施主様から質問をいただきました。
Q:屋根に霜(しも)が降りるのは、なぜ? ~Q087~
A:天気のいい冬の朝、氷点下に達していなくても、屋根面に白く霜(しも)が降りています。これは、放射冷却(ほうしゃれいきゃく)により、屋根面の温度が低下するために起きる現象です。屋根面には、霜が降りていますが、壁には霜は見られません。屋根面はもっとも温度が低下する場所と言えます。
この写真は都内で撮影したものです。
その日の東京の気象データを調べました。
5時の外気温は2.9℃です。(氷点下には達していません。)
露点温度-4.1℃でした。(露点温度(ろてんおんど)とは、その温度以下だと結露(けつろ)するという温度。)
もう少し説明しますと、
夜間、屋根材表面は放射冷却により、どんどん冷やされています。
霜の水分源は空気中の湿気が屋根材表面で結露した結露水です。
つまり、屋根材表面温度が露点温度-4.1℃より低下してはじめて結露水が付着します。
露点温度が氷点下のため、結露水は凍って霜となります。
このとき、屋根材表面温度は外気温(2.9℃)と比べ、7℃以上冷やされたことになります。
放射冷却による屋根材の温度低下は思ったよりも大きいですね!!
さらに、写真をよく見ますと屋根材に霜がない部分があります。
霜が軒先部分や建物の躯体の形状で溶けていることがわかります。
この写真が撮影された時間は、6:30頃でした。
居住空間で暖房などを使用したために、その熱が下から屋根に伝わって、溶けたと思われます。
このとき霜の降りている部分の野地合板裏面はまだ、低温になっているため、野地合板間で部分的な温度差が発生しています。
つまり、野地合板で結露が発生しやすい状態です。
放射冷却により、屋根材・野地板は外気温度より、5~7℃程度低下します。
特に、屋根材と野地板がくっついている屋根材の野地板は温度が低下します。
この状態で、室内側の断熱・防湿がしっかり設計・施工されていない場合は、小屋裏で結露が発生するリスクが高くなります。
上の写真は、金属屋根・縦葺きです。
水平に近い緩勾配(かんこうばい)屋根(赤⇒)は白くなっていて、霜がビッシリ降りています。
一方、勾配のある傾斜屋根(青⇒)はそこまで霜が降りていません。
屋根の角度が低勾配ほど、放射冷却の影響が大きく、結果、屋根面が低温になっているがわかります。
極端な言い方をしますと、勾配が垂直な壁は放射冷却の影響が少ないため、屋根ほど温度低下しません。
屋根は昼、日射により熱せられ、夜は放射冷却により凍らされるため、一日における温度差(50℃程度)は住宅の中でもっとも大きい部位であり、屋根材料にはもっとも厳しい環境と言えます。
屋根の材料・仕様の選択には十分ご注意してください。
実績のある屋根材をお選びくださいね!!!
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