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屋根で結露!ホントに、スレート屋根にカバー工法しても大丈夫?
みなさま。こんにちは。
屋根から人の笑顔を作りたい!!!
神清(カミセイ)のDr.神谷です。
スレート屋根のメンテナンスでは、カバー工法を勧められることが多いのではないでしょうか?
屋根プロからすると、スレート屋根と言ってもいろいろ種類があるので、一括りにカバー工法をお勧めすることはできません。
なぜか?というと、屋根での結露が心配だからです。
とくに、問題をいろいろ引き起こしている「パミール」などは要注意ですよ!
実際の屋根での結露事例をもとに、その危険性を紹介します!
カバー工法(アスファルトシングル葺き)での結露!
この結露写真は、広島県の工務店さんが撮影され、情報提供していただいたものです。
詳しくは、工務店さんのブログ記事をご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/berone/archives/51982267.html
快適な暮らし応援隊(カオル建設(株))
カバー工法による屋根リフォームの流れを説明します。
・築30年のアスファルトシングル葺き(コンクリート造の屋根)
アスファルトシングル葺きの表面がボロボロに劣化しています。
石粒が全体的になくなり、所々、孔が開いています。
・アスファルトシングル葺きの経年劣化が著しく、カバー工法(アスファルトシングル葺きの重ね葺き)で屋根リフォーム
天気が続いて、古いアスファルトシングルが乾いている状態で、カバー工法リフォームを実施。
古いアスファルトシングル葺きの上に、最高級・防水材の粘着層付改質アスファルトルーフィングを直接貼り付け。
その上に、新しいアスファルトシングル葺きを施工して、屋根リフォームの完成!
カバー工法の屋根で結露が発生しました!
冬の晴れた午前中、屋根の軒先から水たれが発生しました。
雨や霜ではなく、しかし、屋根から水が垂れてきました。
よく観察してみると、
新しいカバー工法の部分のアスファルトシングル葺きは全く濡れていません。
水は既存アスファルトシングル葺きの表面から垂れていました。
粘着層付改質アスファルトルーフィングを少しめくってみると既存アスファルトシングル葺きの表面がビッシリ濡れている状態でした。
冬の朝、屋根材の表面に霜が降りる現象はよく見かけますが、それとは違っています。
水がどこから来たの?
私もはじめて聞いた現象でした。
水がどこから来たのか、興味深く、温熱環境の専門家の土屋名誉教授に解説していただきした。
屋根の断面図です。
屋根の構造がわからないと思いますので、簡単な断面イメージ図で説明します。
屋根面はコンクリートスラブ等、アスファルトルーフィング22㎏、古いのアスファルトシングル葺き、ここまでが既存です。
赤の点線から粘着層付改質アスファルトルーフィング、新規のアスファルトシングル葺きと新規のカバー工法となっています。
屋根に発生した結露水です。
水は粘着層付改質アスファルトルーフィングと古いアスファルトシングル葺きの間に発生していました。
この水はこの隙間に発生した結露水です。
この水がどこから来たのか?
この結露水の水分源がどこなのか?
・アスファルトルーフィング22㎏は湿気を通さないので、それより下は除外できます。
・粘着層付改質アスファルトルーフィングも湿気を通さないので、新規のカバー工法部分は除外できます。
結果、古いアスファルトシングル葺き、もしくは古いアスファルトシングル葺きとアスファルトルーフィング22㎏の間から来た水分となります。
天気が続いて、古いアスファルトシングル葺きが乾燥しているように見えても、わずかに滞留している水分によって、このような結露現象が発生しました。
この水分は古いアスファルトルーフィング22㎏と新しい粘着層付改質アスファルトルーフィングで挟みこまれるため、乾燥できず長い間維持されることになります。
この現象は他でも起きていて、夏ぐらいまで続くことがあるそうです。(シングル販売会社の話)
アスファルトシングル自体は吸水性(材料が水を吸う性質)はほとんどない材料です。
吸水性のあるスレート屋根のカバー工法は大丈夫?
ここまでの話は古いアスファルトシングル葺きで実際に起きた結露のお話ですが、ここからは、本題のスレート屋根のカバー工法についてです。
スレート屋根材は種類によって、吸水性に大きな違いがあります。
今でも販売されている唯一の商品、「カラーベスト/コロニアル」でも吸水性はある程度あります。(吸水率、およそ8%)
今は廃盤となっている「パミール」は、吸水性が高いと言われています。(吸水率、およそ20%)
ちなみに、アスファルトシングルの吸水率は1%以下です。
つまり、「パミール」はアスファルトシングルの20倍以上の水分を含んでいる可能性のある屋根材なのです。
「パミール」屋根のリフォームで、カバー工法が行われていますが、とても危険と言えます。
毎日、このアスファルトシングル葺き屋根で起きた結露現象が粘着層付改質アスファルトルーフィングとパミールの間で、発生している可能性が高いのです。
「パミール」屋根も古いアスファルトルーフィング22㎏と新しい粘着層付改質アスファルトルーフィングで挟みこまれ、乾燥できないのです。
カバー工法で屋根の表面は一時的にキレイになったとしても、その中は水分が蓄積していて、釘の錆や野地合板への浸水などに危険が隠れているのです。
スレート屋根のカバー工法と葺き替えの金額差はわずかですので、葺き替えをお勧めいたします!
まとめ:アスファルトシングル葺きのカバー工法で結露現象が発生していました!
屋根の結露現象として、カバー工法の内側で観察された結露をご紹介いたしました。
今まで、屋根業界においては、全く議論されて来なかった問題です。
アスファルトシングル葺きは吸水性が低いので、大きな問題にはならないと思いますが、スレート屋根は吸水性が高いので、釘の錆や野地合板への浸水が想定できます。
とくに、吸水性がかなり高いスレート屋根(パミール)のカバー工法はやめた方がいいですよ!
葺き替えをしても金額差はわずかですので、葺き替えもご検討くださいね!
パミール屋根のリフォーム方法について、詳しくはこちらをご覧ください!
専門用語もあり、わかりにくい所もあったかと思います。
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