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スレート屋根の棟板金の飛散事例とその対策をご紹介します。
スレート屋根における台風被害でもっとも多いのは、棟板金の飛散です。
棟板金の飛散として、留め付け釘の浮きが原因という仮説があります。
それ以外にも、いくつかの仮設を聞くことがあります。
・貫板(ぬきいた)の腐朽が原因
・貫板(ぬきいた)のサイズが小さいため
・くぎの腐食が原因
・施工が手抜きだったのが原因
そこで、スレート屋根の屋根点検・部分補修などの現場写真をもとに、棟板金の飛散について、検討してみました。
この記事では、スレート屋根の棟板金の飛散事例とその対策をご紹介します。
台風で棟板金が飛散した事例
築25年貫板(ぬきいた)ごと飛散した事例
築25年で、貫板と板金が一緒に飛散した事例です。
上の写真の左半分は、貫板(ぬきいた・棟板金を留めるための下地となる板)が飛散しています。
白丸はその貫板を屋根に留め付けていた釘です。
この物件では、貫板を留めている釘の保持力は問題ないが、貫板と釘頭の部分で、貫板が腐朽していたと考えられます。
強風で棟板金が飛散しそうになると、その貫板の釘頭部分が破損して、棟板金と貫板が一緒になって飛散してしまいました。
残っていた棟板金を確認してみました。
飛散した板金以外の棟板金を確認してみました。
すると、棟板金と貫板を留め付けている釘が浮いているものがありました。
しかし、釘浮きが全てで見られるわけではなく、所々、釘浮きが確認できました。
築30年棟板金が飛散した事例
築30年で、貫板は屋根に残っていて、棟板金のみが飛散した事例です。
上の写真は、貫板は残っていますが、棟板金が飛散した現場です。
残っている貫板はかなり劣化しているように見えます。
貫板は強風雨で、スレートと棟板金の間から雨掛かりします。
上に棟板金がカバーされているので、その水分は乾燥しずらい状態が続きます。
木材は高含水が続くと腐朽してしまいます。
劣化しやすい状態と言えます。
残っていた棟板金を確認してみました。
残っていた棟板金を確認すると、釘浮きがいくつか確認できました。
釘自体は、ステンレス釘が使われていたようで、錆びは発生していません。
飛散した棟板金をみても、ステンレス釘は健全な状態でした。
台風でも被害の発生していない棟の事例
台風でも被害が発生していない事例をいくつか紹介します。
築11年のスレート屋根棟板金
築11年のスレート屋根の棟板金です。
釘浮きは発生していません。
ステンレス釘と思われる釘がしっかりと固定されています。
築年数が浅いからなのでしょうか?
築25年のスレート屋根棟板金
続いて、築25年のスレート屋根棟板金です。
こちらも釘浮きは確認できません。
横から見ても、釘は浮いていません。
築25年の別の物件です。
上に換気棟が設置されているので、確認しずらいですが、白丸の部分が棟板金の釘です。
釘浮きは確認できません。
つまり、釘浮きは年数ではなく、その他の原因で発生するようです。
棟板金の飛散の主原因が釘浮きではないと思われます。
釘浮きの原因は、施工時のミス。
釘浮きの原因は施工時のミスが要因と考えられます。
上の写真は、先程の棟板金だけが飛散した現場です。
赤点線が貫板の外側の位置です。
⇒は、棟板金の側面の位置です。
この現場では、棟板金のサイズに比べて、貫板を内側で屋根に留め付けてしまったようです。
最初は、釘の力で板金に応力がかかりながらも止まっていたものが、徐々に板金の戻る力・スプリングバックが働き、釘が抜けてしまったと考えられます。
施工時に、板金のサイズに合わせて、左右の貫板を正確に設置することが釘浮きを防ぐ方法です。
スレート屋根の棟板金・飛散防止対策をご紹介します。
スレート屋根の棟板金・飛散防止対策をいくつかご紹介します。
- 耐風プレートを入れて棟板金を設置する
- 貫板を防腐処理済みの木材とし、その表面に防水シートを巻いて棟板金を設置する
- 貫板をタフモック(樹脂桟木)にして棟板金を設置する
耐風プレートを入れて棟板金を設置する
貫板は棟板金の中に雨水が浸入するので腐ってしまい、その貫板に留め付けている棟板金が飛散してしまいます。
棟板金の中に高耐久・高強度のプレート(耐風プレート)を入れて、その耐風プレートに棟板金をビス留めすることで、簡単に飛散防止することができます。
貫板が腐っても棟板金は耐風プレートと固定ビス・ドリルビスによって、屋根下地と連結しているため、棟板金は強風でも飛散しません。
耐風プレートの使用個数を増やすだけで、風速50mの強風にも耐えることができる優れものです。
コストパフォーマンスが高い飛散防止策です。
貫板を防腐処理済みの木材とし、その表面に防水シートを巻いて棟板金を設置する
貫板が雨に濡れても腐らないように、貫板を防腐薬材で処理する対策です。
しかし、残念ながら、貫板を防腐処理すると棟板金を腐食させてしまいます。
そのため、貫板と棟板金の間に防水シートを入れて保護するという考え方ですが、リスクがあり、余り普及していません。
貫板をタフモック(樹脂桟木)にして棟板金を設置する
貫板をタフモック(樹脂桟木)とすることで、雨に濡れても腐らないようにするものです。
上の写真は、ケイミュー純正のタフモックを貫板に使用しました。
金額が高いので、新築のハウスメーカーさんでよく使用されているようです。
コストパフォーマンスは低いですが、貫板が腐ることはないので安心です。
施工後、すぐには問題は発生しませんが、経年で飛散する恐れがありますので、新築時に、飛散防止対策をしっかりと行ってもらってください。
また、屋根リフォームなどで棟板金を交換するときには、耐風プレートを設置することをオススメします。
スレート屋根の棟板金は飛散防止対策をお願いしましょう!
スレート屋根の棟板金は、メーカーの現在の施工要領書通り、施工すれば問題ありません。
もしくは、耐風プレートを使ってほしいと依頼することもありだと思います。
メーカーも長年で、施工要領書を何度も変更していますので、職人が理解していない場合も多いです。
大切な自宅の屋根ですから、お客様、自ら守りましょう!
愛知県で、訪問リフォーム業者に屋根の問題を指摘された方は、弊社にお問合せください。電話でアドバイスできると思います。
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