目次
タスペーサーとは？ 使い方を知る前に基本を理解しよう
タスペーサーとは？ 使用を検討する前に基本情報について知っておきましょう。
タスペーサーとは主にスレート屋根の塗装時に使う補助部材（スペーサー）です。
「タスペーサー」は株式会社セイムから販売されている商品の名前であり、一般名称としては「差込み型の縁切り補助部材」となります。
タスペーサーはプラスチック製で、クリップのような形をしています。
タスペーサーの種類は2種類あり、スペード形の「01」（新型）とホームベース形「02」があります。
スレート屋根を塗装する前に、スレートの上下の重なり部に差込むことで上下の隙間を確保できます。
タスペーサーの役割は以下となります。
- 屋根材同士が塗料でくっつくことを防ぐ
- スレート裏面の通気性を確保し、雨水が排水できるようにする
- 塗装後の雨漏り発生を防ぐ
スレート屋根は塗装後に手作業の縁切りを行わないと雨漏りリスクが高まりますが、タスペーサを使用することで、塗装後の手作業の縁切りを省略することができます。
タスペーサーについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根塗装にタスペーサーは必要？ 役割とメリット・デメリットを解説
タスペーサーの使い方-施工の流れを解説
タスペーサーの使い方を塗装の施工の流れともに紹介します。
- 高圧洗浄で屋根の汚れを除去
- 下塗りで屋根材の密着性を高める
- タスペーサーをスレート屋根が上下に重なっている部分へ手作業で差込む
- 中塗り・上塗りして、屋根塗装を仕上げる
屋根塗装で重要なのは、屋根表面を塗料と密着しやすいようにしっかりと準備することです。
そのため、既存屋根の汚れをしっかりと取り除き、既存屋根本体に塗料が密着するように下塗りで屋根表面を仕上げます。
下塗りがしっかり乾いたら、塗装前にタスペーサーをスレート1枚ごとに決められた位置・個数を上下の重なり部に手作業で差込みます。
このとき、下塗りがはがれないように注意して差込みます。
タスペーサーをすべて差込んだら、中塗り・上塗りして、屋根塗装を完了します。
タスペーサーはスレートの重なりに差込んだままの状態で屋根塗装は完了するので、塗装後に屋根に上がる必要はなく、塗装後の屋根を傷めることはありません。
縁切り工法とタスペーサーの方法の違い
縁切り工法とタスペーサーの方法の違いについて紹介します。
手作業の縁切り工法とタスペーサーはともに、塗装後の雨漏りを防ぐ重要な役割があります。
しかし、縁切りとタスペーサーは、以下のような方法が異なります。
- 縁切り：塗装後にカッター・スクレーパー・皮スキなどを差し込み手作業で塗膜を切る
- タスペーサー：塗装前に屋根材の上下の隙間に差込んで使用する
縁切りは塗装後、屋根に上がって作業するのに対して、タスペーサーは塗装後に屋根に上がる必要はありません。
縁切りについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
タスペーサーの使い方は工法によって入れる場所や個数が違う
タスペーサーの使い方は工法によって入れる場所や個数が違うことについて紹介します。
タスペーサーの取り付け方法は「シングル工法」と「ダブル工法」の2つがあります。
- シングル工法：約60cm幅の屋根材に対応・1枚の屋根材につき1個使用
- ダブル工法：約90cm幅の屋根材に対応・1枚の屋根材につき2個使用
これは、スレート屋根の種類が600㎜タイプと900㎜タイプの2種類あることに対応しているからです。
タスペーサーの具体的な使い方について、次の章から詳しく解説していきます。
タスペーサーの入れる場所と個数-使い方のポイント【シングル工法】
シングル工法の際のタスペーサーを入れる場所と個数について紹介します。
シングル工法とは、スレート屋根材の1枚の幅が約60㎝のもので使用されます。
約60㎝のスレート屋根のどちらかの端から15㎝ほど、内側に入った場所に1個差込みます。（60㎝のスレート1枚に対して、タスペーサーを1個差込みます）
また、約60㎝のスレートでスリットが入っているデザインのタイプでは、どちらかの端から10㎝ほど、内側に入った場所に1個差込みます。
タスペーサーの入れる場所と間隔-使い方のポイント【ダブル工法】
ダブル工法の際のタスペーサーを入れる場所と個数について紹介します。
ダブル工法とは、スレート屋根材の1枚の幅が約90㎝のもので使用されます。
約90㎝のスレート屋根の両端から15㎝ほど、内側に入った場所にそれぞれ1個ずつ差込みます。（スレート屋根1枚に対して、2個使用する）
また、約90㎝のスレートでスリットが入っているデザインのタイプでも同様に両端から15㎝ほど、内側に入った場所に1個ずつ差込みます。（スレート屋根1枚に対して、2個使用する）
タスペーサーの使い方を知る前に知っておきたい費用相場
タスペーサーの使い方を知る前に知っておきたい費用相場について紹介します。
タスペーサーを使用しての縁切りの費用相場は、30坪の住宅で約4～5万円です。
目安としては、1㎡あたり500～700円/㎡とお考えください。
屋根塗装でタスペーサーを使ったときの費用は、手作業の縁切りと同程度です。
ただし、屋根面積が大きい場合は、手作業の縁切りの方が少し安価となることもあります。
タスペーサーの使い方-正しい施工をするための注意点
タスペーサーの使い方で正しい施工をするための注意点について紹介します。
タスペーサーは2mmの厚さがあり、踏み割れリスクが高くなるため、入れる場所は正しくすることが重要となります。
スレート製造メーカーのケイミューでは、タスペーサーの使用は塗装時の踏み割れにつながると注意喚起を行っています。
そのため、タスペーサーに適したスレート屋根で使用することも注意点の1つとなります。
2004年以前のスレート屋根はアスベスト入りスレート屋根が多く、セメントにアスベスト繊維が混ざることで強度が強いものが多いので、タスペーサーを使用するには適しています。
一方で、2004年以降のスレート屋根はゼロアスベストのスレート屋根であるため、踏み割れしやすくなっており、タスペーサーを使用することはオススメできません。
2004年以降のスレート屋根では、厚みの薄いスペーサーとなるステンレス製スペーサーを使用するなどして、踏み割れ対策を行いましょう。
ステンレス製スペーサーについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
タスペーサーの踏み割れについて、こちらの動画で紹介しています。
タスペーサーの使い方を間違えるとどんなリスクが？
タスペーサーの使い方を間違えると起こるリスクについて紹介します。
屋根塗装でタスペーサーの使い方を間違えると、以下のリスクが起こる可能性があります。
- スレートが踏み割れる
- 雨漏りの発生
- 防水シート面・スレート内部の結露の発生
- 屋根材の劣化
- 塗膜の耐久性の低下
スレートの踏み割れリスクがさらに高まるうえに、縁切りの効果が発揮されません。
縁切りできず、スレートの上下の隙間がくっついてしまうと、経年で雨漏り・結露が発生する可能性が高まります。
屋根の被害は甚大となりますので、正しい施工を行うことが重要です。
タスペーサーの使い方に迷ったら？ 業者選びのポイント
タスペーサーを使用するか迷ってたら、詳しくアドバイスしてくれる優良業者を選ぶことが重要です。
タスペーサーを使用するのに適したスレート屋根か見極めて、適切な説明をしてくれる優良業者を選ぶポイントについて紹介します。
- スレート屋根の知見が豊富である
- 屋根トラブルの原因を的確に特定できる
- 修理費用が相場内
- 近所へ配慮ができる
- 十分なアフターフォローがある
スレート屋根を塗装するうえで、手作業の縁切り、タスペーサー、ステンレス製スペーサーのどれが適しているのか、判断できる業者は少ないです。
塗装業者さんはスレート屋根の専門ではないからです。
また、縁切りをせずに上下の隙間部分をはけ塗りで、塗膜を薄くする業者もいますが、塗膜が薄くなるとせっかく行った塗装の劣化は早くなるのでオススメできません。
業者選びのポイントは詳しくはこちらの記事で解説しています。
【まとめ】屋根塗装はタスペーサーを正しく使ってリスクを防ごう！
タスペーサーは屋根塗装後の雨漏りをふせぐ役割があります。
タスペーサーは2mmの厚さがあり、踏み割れリスクが高くなるため、入れる場所は正しくすることが重要となります。
2004年以降のスレート屋根では、厚みの薄いスペーサーとなるステンレス製スペーサーを使用するなどして、踏み割れ対策を行いましょう。
タスペーサーを使用するのに適したスレート屋根か見極めて、適切な説明をしてくれる優良業者に相談しましょう。
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