目次
タスペーサーとは? どんな種類や形があるの?
タスペーサーとは?どんな種類や形などがあるか紹介します。
タスペーサーとは、スレート屋根の塗装時に使う塗装補助部材です。
「タスペーサー」は株式会社セイムから販売されている商品の名前であり、一般名称としては「差込み型の縁切り補助部材」となります。
タスペーサーはプラスチック製で、クリップのような形をしています。
タスペーサーの種類としては、スペード形の「01」とホームベース形の「02」の2種類があります。
「01」は新型となっており、耐溶剤性が向上しています。
「02」は従来品で、安価ですが油性塗料には適していません。
水性塗料であれば、どちらも使用できますが、油性塗料の場合は「01」を使用することが推奨されています。
屋根塗装で必要なタスペーサーの役割
屋根塗装でのタスペーサーの役割について紹介します。
スレート屋根の塗装では、上下の重なり部で屋根材同士が塗料でくっついてしまいやすいのですが、タスペーサーを塗装前にその重なり部へ差込んで隙間を確保させることで、塗料のくっつきを防ぐ役割があります。
上下の重なり部の隙間が確保されることで、スレート裏面の通気性を確保し、浸入した雨水を排水できるようになります。
スレート屋根の塗装後に発生しやすい雨漏りを未然に防ぐ役割となります。
タスペーサーについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根塗装にタスペーサーは必要? 役割とメリット・デメリットを解説
屋根塗装でタスペーサーを入れる必要があるケース
屋根塗装でタスペーサーを入れる必要があるケースを紹介します。
屋根塗装でタスペーサーを入れる必要があるのは、スレート屋根の塗装のみです。
スレート屋根の中でも、「カラーベスト・コロニアル」と呼ばれる住宅用化粧スレートという種類で、板状のスレート屋根を塗装するときです。
スレート屋根の1回目の塗装メンテナンス時、もしくは過去に塗装メンテナンスされている場合でも縁切りされていたら2回目でも使用できます。
屋根塗装でタスペーサーを入れる必要がないケース
屋根塗装でタスペーサーを入れる必要がないケースを紹介します。
トタン屋根・ガルバリウム鋼板屋根・セメント瓦・アスファルトシングルの塗装には使用できません。
また、スレート屋根の中でもパミール・レサスなどの基材が弱く塗装NGのタイプはタスペーサーの使用もNGとなります。
2004年以降のゼロアスベストのスレート屋根は踏み割れが発生しやすいので、タスペーサーはNGとなっています。(スレート屋根製造メーカーのケイミューが踏み割れしやすいので、禁止しています)
経年したスレートで反りが発生し、上下の重なり部の隙間が4mm以上開いている場合もタスペーサーを入れる必要はありません。
タスペーサーの入れ方【屋根塗装の施工手順】
タスペーサーの入れ方・施工手順について紹介します。
屋根塗装に使用する際の施工手順は以下となります。
- 屋根の高圧洗浄を行い、汚れを除去
- 下塗り(プライマー塗布)で屋根材の密着性を高める
- タスペーサーをスレート屋根の「重なり部分」に手作業で差込む
- 上塗りを2回行い、屋根塗装を仕上げる
タスペーサーを入れる前に屋根表面の汚れを高圧洗浄で落とします。
次に、塗装工程の1番目として、下塗り(プライマー塗布)を行います。
下塗り乾燥後に、タスペーサーを屋根材の上下の重なり部の隙間へ差込みます。
スレート1枚1枚に対して、所定の位置に所定の個数のタスペーサーを入れていきます。
その後、塗装工程の上塗りを2回行い、屋根塗装を仕上げます。
タスペーサーの入れ方で失敗しないための注意点
タスペーサーの入れ方で失敗しないための注意点について紹介します。
- 屋根材を割らないように慎重に差込む
- 適切な間隔(1枚のスレートにつき2か所)で設置
- タスペーサーがズレないように奥までしっかり差込む
- 施工後にタスペーサーが抜けていないか確認する
スレート屋根では、すでにひび割れが発生している場合もあります。
ひび割れが発生しているところにタスペーサーを雑に差込むと屋根材が割れてしまうことがあるので、慎重に差込む必要があります。
タスペーサーはスレート屋根の種類によって、差込む位置が決められているので、それを守ることも重要です。
スレート屋根に反りが発生していると、施工後にタスペーサーが抜けてくる可能性があるので、施工後に確認しておきましょう。
縁切り工法とタスペーサーの入れ方の違い
スレート屋根の上下の重なり部の貼り付き防止策としては、タスペーサー以外にもあります。
スレート製造メーカー・塗料メーカーは縁切り工法を推奨しています。
また、タスペーサー以外の差込むタイプとして、ステンレス製スペーサーもあります。
それぞれの違いについて紹介します。
縁切り工法の種類 | 手作業の縁切り | タスペーサー | ステンレス製スペーサー |
---|---|---|---|
目的 | 屋根材の上下の隙間を確保し、塗装後の雨漏りを防ぐ | 屋根材の上下の隙間を確保し、塗装後の雨漏りを防ぐ | 屋根材の上下の隙間を確保し、塗装後の雨漏りを防ぐ 塗装時の踏み割れを軽減する |
概要 | 皮スキ・カッター等で重なり部の塗料を切る | 塗装前に、タスペーサーを重なり部に差込む | ステンレス製スペーサーを重なり部に差込む |
材質 | ー | 樹脂製(ポリアセタール) | ステンレス製(SUS304) |
厚み | ー | 最厚部2mm | 0.5mm |
荷重なしのスレート隙間 | 約1~2mm | 約2.5mm | 約2.5mm |
荷重時のスレート隙間 | 約0mm | 約2.5mm | 約1.3mm |
手作業の縁切りとスペーサーでは、屋根材の隙間を確保し、雨水を排水しやすし雨漏りを防ぐ目的は同じですが、上表のように方法と踏み割れリスクが異なります。
ステンレス製スペーサーは踏んだときに1.5mm未満となり、段差での踏み割れリスクを大幅に軽減させることが特徴です。
縁切りについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
方法や入れ方で変わる! 縁切りとタスペーサーの作業時間と仕上がりの違い
手作業の縁切りとタスペーサー、ステンレス製スペーサーを使用する方法の違いについて紹介します。
縁切り工法の種類 | 手作業の縁切り | タスペーサー | ステンレス製スペーサー |
---|---|---|---|
目的 | 屋根材の上下の隙間を確保し、塗装後の雨漏りを防ぐ | 屋根材の上下の隙間を確保し、塗装後の雨漏りを防ぐ | 屋根材の上下の隙間を確保し、塗装後の雨漏りを防ぐ 塗装時の踏み割れを軽減する |
概要 | 皮スキ・カッター等で重なり部の塗料を切る | 塗装前に、タスペーサーを重なり部に差込む | ステンレス製スペーサーを重なり部に差込む |
作業時間 | 塗装後、後日に数時間~1日程度かかる | 塗装中、数時間程度かかる | 塗装中、数時間程度かかる |
仕上がり | 縁切りの作業中に、塗膜の傷・はがれ、足跡がつく可能性がある 縁切り不足の可能性がある | 塗装後の塗膜の傷はない スペーサーが入ったままなので、縁切り不足を確認できる 踏み割れが発生するリスクがある | 塗装後の塗膜の傷はない スペーサーが入ったままなので、縁切り不足を確認できる |
次回塗装メンテナンス | 再度、手作業の縁切り | 脱落・劣化したタスペーサーは交換 | そのまま使用できる |
手作業の縁切りとスペーサーの違いは、手作業の縁切りでは、塗装完了後、後日塗料がある程度乾燥して状態で行う必要があります。
スペーサーでは、そのまま挿入しつづけることができるため、塗装完了後に再び屋根に上がる必要はありません。
塗装後の塗膜の傷・はがれ、足跡などが発生するリスクはなくなります。
また、ステンレス製スペーサーは耐久性が高いので、10年後の再塗装でも縁切り補助部材として使用できます。(2回目の縁切り費用を削減できます)
屋根塗装の際のタスペーサーの入れ方の違い(シングル工法・ダブル工法)
屋根塗装の際のタスペーサーの入れ方に2種類があります。
タスペーサーの取り付け方法は「シングル工法」と「ダブル工法」の2つとなっています。
また、ステンレス製スペーサーは「ダブル工法」です。
スペーサーの種類 | タスペーサー | タスペーサー | ステンレス製スペーサー |
---|---|---|---|
取付方法 | シングル工法 | ダブル工法 | ダブル工法 |
対応するスレート屋根材(1枚の幅) | 約60㎝ | 約90㎝ | 約90㎝ |
使用するスペーサー数(スレート1枚あたり) | 1個 | 2個 | 2個 |
スペーサーの取付位置 | 右・左のどちらか片側から約15㎝の位置に差込む | 左右から約15㎝の位置に、計2か所差込む | 左右から約10㎝の位置に、計2か所差込む |
【まとめ】屋根塗装でスペーサーを正しく入れて雨漏りを防ごう!
スレート屋根の塗装後の雨漏りを防ぐ対策として、縁切り作業・スペーサーの差込みがあります。
タスペーサーの踏み割れ対策品として、ステンレス製スペーサーもあります。
屋根塗装では、スペーサーを正しく入れることで、雨漏りを防ぐことができます。
また、併せて、踏み割れ対策品の方が将来の不要なメンテナンスを防ぐことができ、安全でオススメです。
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