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金属屋根材の解体調査から軒先の劣化リスクが判明しました!
こんにちは~。
屋根・雨漏りの調査員、神谷昭範です。
昨日に引き続き、先日の研究会で発表があった、金属屋根材の暴露試験体をご紹介いたします。
昨日はアルミニウム合金板の心木有瓦棒をご紹介いたしました。
屋根材の腐食は見られないのですが、野地板・心木などの腐朽が著しいというものでした。
心木無瓦棒葺き(金属屋根縦葺き)
そこで、もう少し一般的な塗装溶融亜鉛メッキ鋼板の心木無瓦棒ではどうだったでしょうか?
表面は全面に赤錆が発生していました。
軒先部では、一部貫通孔もありました。
それでも屋根として見られる状態ではありました。
野地板がボロボロ
しかし、金属屋根材を剥がしてみると下葺き材(ルーフィング)が入っていましたが、野地板がボロボロになっていました。
野地(パーティクルボード)の軒先部が約1m程度、雨水浸入で変色してボロボロになっていました。
屋根材がある状態では、まだ、屋根の雰囲気はあったのですが、剥がしてみると完全に腐朽していました。
このように軒先部が腐朽すると屋根としての耐力にも影響があります。
心木無とは、心木の代わりに通し吊子が入っているもので、今流行りの立平葺きに近いものです。
通し吊子はこんな感じです。
心木部分のキャップをカットして、その中の通し吊子を確認しました。
この通し吊子の部分はあまり腐食は進んでいませんでした。
雨水浸入は軒先から!
雨水浸入の原因は軒先からと考えられています。
軒先の⇒部分には構造的にピンホールが発生します。
そこから軒先水切り(唐草)の表面には雨水が浸入します。
この雨水が金属屋根材とルーフィングの間に浸入したり、ルーフィングと野地板の間に浸入しています。
金属屋根の裏面腐食
金属屋根材の裏面を見ると軒先水切りの幅分棟側から裏面錆びが顕著となっています。
これは軒先水切りの厚み分(約0.3㎜)だけルーフィング上に雨水が滞留するために、この部分の腐食が進行しています。
通し吊子の部分も同様な位置に錆びが発生しています。
一方で、野地板も腐朽していることからルーフィングと軒先水切りの間も雨水が浸入しています。
この部分の雨水浸入を防ぐには水切りの棟端部にハゼ(折り返し)を求められます。
しかし、ハゼをつくることでルーフィングと屋根材の間の雨水はさらに多く溜まります。
つまり、ルーフィングの上下で矛盾する作用となる軒先水切りのハゼは今後、さらに検討する必要があります。
現在、多くの住宅で立平葺きが採用されていますが、軒先部の腐食は解決されていません。
さらに、立平葺きに太陽光パネルを設置する仕様も多く行われています。
太陽光パネルを留め付ける金具のビスは木部に留め付けていますが、軒先部の木部が腐朽した場合は、太陽光パネルが飛散するリスクとなります。
長寿命住宅で金属屋根をご検討される場合は、野地面に流し桟木を施工する通気構法がお奨めです。
金属屋根材の裏面腐食と軒先の野地板腐朽の両方に効果がありますよ~!
まとめ:現在のガルバリウム鋼板の立平葺きでもリスクあり!
最近流行りのガルバリウム鋼板の立平葺きも同様に軒先の劣化リスクがあります。
軒先部での排水機能のある工法の開発が求められます。
通期屋根下地構法はその解決策と言えます。
特に、長寿命住宅では検討してくださいね~!
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