ドイツ・ヨーロッパの屋根方式・野地無し構法とは?
ドイツ・ヨーロッパの屋根方式として、野地無し構法があります。
イギリスの天井断熱仕様の屋根ですが、野地板がありません。
緑色の防水シート・透湿ルーフィングだけを屋根面に施工しています。
横方向に、太い瓦桟木をはしごのように踏んで施工しています。
こちらはドイツの天井断熱仕様の屋根ですが、野地板がありません。
グレー色の透湿ルーフィングを施工しながら、その上に縦桟木を足場となる垂木に重ねて施工しています。
縦桟(垂木)のみを踏んで施工しています。
なぜ?野地無し構法なの?
なぜ、野地無し構法か?と聞きますと野地合板は基本的に屋根ではNGとなっているそうです。
透湿抵抗の大きい野地合板は結露や雨水浸入により劣化しやすいからです。
野地合板の劣化はヨーロッパだけのものでしょうか?
日本でも野地合板が劣化している事例が多く報告されています。
日本での野地合板劣化事例
代表的な劣化事例をご紹介いたします!
寄棟の北面野地合板の劣化
屋根は化粧スレート屋根。(築25年)
北面の野地合板が劣化していて、踏み抜けてしまいます。
強度が全くなく、屋根材の保持力は全くありません!
屋根断熱仕様の野地合板の劣化
屋根材はセメント屋根材。(築10年)
屋根断熱仕様ですが、野地合板・垂木が劣化・腐朽しています。
野地合板は透湿抵抗が高く、室内側からの湿気が野地合板から外に排出できず、野地合板が結露して高含水率となり、腐朽した事例です。
昔の瓦屋根は野地無し構法に近い
透湿抵抗が高く、腐朽劣化しやすいなら、その野地合板を省くというのが野地無し構法です。
実をいうと日本でも、昔の瓦屋根は野地の透湿抵抗が低い仕様でした。
簡単なイメージ図です。
バラ板の野地板の上に、杉皮を使用していました。
そのため、屋根面はスカスカで、湿気を排出できました。
上の写真はバラ板+杉皮+土葺+瓦でした。
この仕様で、80年間全く劣化していませんでした。
高耐久性仕様の屋根ですが、耐震性が劣るため、現在では杉皮・土葺きはあまり使用されません。
今、同様に80年間劣化しない屋根とするには、杉皮+土葺きの代わりにヨーロッパと同じ透湿ルーフィングを使用することで実現することも可能です!
縦桟木などを使い、高耐久仕様となるホールレス工法がお勧めです!
日本での野地無し構法について
瓦屋根の場合、瓦桟木を施工するため、垂木と瓦桟木が井桁(いげた)になりますので、その上を歩いて、瓦屋根を施工することができます。
野地合板を省略する分だけ、屋根の軽量化にもなりますので、野地無し構法が日本で検討されてもいいのかな?と思います。
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