目次
屋根材の選び方|6つの視点で徹底比較
屋根材の選び方として、屋根の性能を6つ視点で徹底比較いたします。
屋根材を選ぶのに必要なのは、以下の6つの視点があります。
- 価格
- メンテナンス費用
- 耐用年数
- 生活への影響
- 災害耐性
- デザイン
どれも重要だと思いますが、屋根材には長所・短所があるため、特性を理解して自分のニーズに合った屋根材を選ぶことをオススメします。
意外と屋根材はわからないので、業者任せという方が多く、後から後悔される方もいらっしゃいます。
次章からそれぞれについて詳しく解説していきます。
屋根材の選び方①|価格で比較する
屋根材の選び方①として、価格面から見た屋根材の選び方について紹介します。
屋根材の価格は、以下のように種類によって大きく異なっています。
標準的な100㎡程度の大きさの新築屋根であれば、屋根材によって60~120万円程度の価格差となります。
- スレート、アスファルトシングル:比較的安価
- ガルバリウム鋼板、瓦:中価格帯
- 石付き金属屋根、樹脂繊維セメント:高価格帯
初期費用を抑えたい方ならスレート、アスファルトシングルがオススメとなります。
比較的中級~高級な住宅であれば、屋根の費用は建物全体からすると過少ですので、中価格帯以上がオススメです。
例えば、2,000万円の家で、60万円ですと3%ですが、4,000万円の家で、60万円ですと1.5%となります。
長く建物を守る屋根ですので、価格面の比較もしっかりしておきましょう。
屋根材の選び方②|メンテナンス費用で選ぶ
屋根材の選び方②として、メンテナンス費用から見た屋根材の選び方について紹介します。
屋根材によって、以下のように将来のメンテナンス費用に大きな差が出ます。
築後35年間でのメンテナンスコストは屋根材によって差が大きく、0~200万円/1棟ほどとなります。(新築時の屋根材費用よりも高額です。)
- メンテナンス費用が安価:瓦屋根
- メンテナンス費用が中程度:石付金属屋根、樹脂繊維セメント屋根、アスファルトシングル屋根
- メンテナンス費用が高額:スレート屋根、ガルバリウム鋼板屋根
メンテナンス費用とは、定期メンテナンス費(塗装メンテナンス)と大規模改修費(カバー工法、葺き替え)の合計です。
塗装メンテナンスが必要となるガルバリウム鋼板屋根・スレート屋根は、その分費用が高額となります。
塗装メンテナンスが必要ではない屋根材としては、瓦、石付金属、アスファルトシングル、樹脂繊維セメントです。
屋根にかけるトータル費用を抑えたい方は、新築時の費用よりも大きいメンテナンス費用を重視すべきです。
屋根材の選び方③|耐用年数から考える
屋根材の選び方③として、耐用年数から見た屋根材の選び方について紹介します。
屋根材の耐用年数は、屋根の大規模改修時期に影響します。
屋根の大規模改修費用は100~万円とリフォームの中でも高額な費用となりますので、将来のライフプランにも影響が大きく予め計画しておきましょう。
- 耐用年数が長い(60年以上):瓦屋根
- 耐用年数が中(30年):スレート屋根、ガルバリウム鋼板屋根、石付金属屋根、樹脂繊維セメント屋根
- 耐用年数が短い(20年~30年):アスファルトシングル屋根
屋根材の耐用年数は、屋根材の下にある防水シートまで含んだ屋根の耐用年数となります。(瓦自体の耐久性が100年以上でも、瓦屋根の耐用年数は防水シートを考慮するため、60年以上と短くなります。)
防水シートの寿命が来ると、その屋根は大規模な改修が必要となりますが、瓦屋根は部分補修が可能なため、60年以上と他の屋根材の2倍と定められています。(JASS12 屋根工事 日本建築学会 建築工事標準仕様書より)
耐用年数を重視するなら、瓦屋根がオススメとなります。
例えば、瓦屋根の初期費用が80万円で60年間使用すると、1年あたりの屋根費用は1.34万円となります。
一方で、ガルバリウム鋼板屋根の初期費用が60万円で30年間使用すると、1年あたりの屋根費用は2万円となり、瓦屋根より50%も高くなります。
つまり、長く住む家の屋根のコストパフォーマンスは瓦の方が高いと言えます。(さらに、メンテナンス費用も計算に入れるともっと大きな差となります)
長く安心して住みたい方は、耐久性の高い屋根材を選ぶことをオススメします。
屋根材の選び方④|生活への影響
屋根材の選び方④として、生活への影響から見た屋根材の選び方について紹介します。
住み始めてからはじめてわかる住環境に影響を与える屋根材の遮音性・断熱性も考慮が必要です。
- 防音・断熱性が高い:瓦屋根、石付金属屋根、樹脂繊維セメント屋根
- 断熱性が低い:スレート屋根、アスファルトシングル屋根
- 防音・断熱性が低い:ガルバリウム鋼板屋根
屋根材の断熱性は新築であれば、住宅の断熱材が与える影響の方がはるかに大きいので屋根材による差はそれほど気にする必要はありません。
しかし、雨音などは睡眠に大きく影響するので、睡眠に対して神経質な方は防音性の低いガルバリウム鋼板屋根はあまりオススメできません。
屋根材の選び方⑤|災害に強い屋根材を選ぶ
屋根材の選び方⑤として、災害耐性から見た屋根材の選び方について紹介します。
毎年のように巨大地震、巨大台風などの自然災害が発生する日本では、災害耐性が高いことも考慮が必要です。
以下で屋根材の災害耐性について分類します。
- 災害に強い:瓦屋根(新施工)、樹脂繊維セメント屋根、ガルバリウム鋼板屋根(新施工)
- 災害に弱い:瓦屋根(旧工法)、ガルバリウム鋼板屋根(旧施工)、アスファルトシングル屋根
瓦屋根は令和4年に瓦の留め付けが法律で厳格化されており、現在の施工方法であれば、災害に強い屋根材です。
ガルバリウム鋼板屋根は2007年の耐風性能の見直しがあり、それ以降は災害に強い屋根材です。
一方で、瓦屋根の旧工法は地震に弱く、ガルバリウム鋼板屋根の旧施工、アスファルトシングル屋根は強風に弱いです。
屋根材の災害耐性は、施工方法によってその強度が変わるため、詳しくは専門業者と相談すると安心です。
屋根材の選び方⑥|デザイン
屋根材の選び方⑥として、デザインから見た屋根材の選び方について紹介します。
屋根材は住宅の外観に大きく影響を与え、屋根材の状態で建物の印象が変わります。
デザインから見た屋根材の分類を紹介します。
- デザインの自由度が高い:ガルバリウム鋼板屋根、アスファルトシングル屋根
- 重厚感のあるデザイン:瓦屋根、石付金属屋根、樹脂繊維セメント屋根
- スッキリしたデザイン:スレート屋根、ガルバリウム鋼板屋根、アスファルトシングル屋根
曲面のある屋根・複雑な形状の屋根では、ガルバリウム鋼板屋根、アスファルトシングル屋根が対応できるのでオススメです。
住宅の外観をこだわる方はデザイン性から屋根材を選ぶことをオススメします。
屋根材の選び方|勾配との相性もチェック
屋根材の選び方として、建物のデザインにも関係する屋根の勾配から見た屋根材の選び方について紹介します。
屋根材によって、傾斜屋根の使用可能な勾配が異なっているため、デザインを考える上で合わせて確認しておくことが必要です。
以下のように、屋根材(標準タイプ)によって使用可能な勾配が異なります。
- 瓦:4寸〜
- スレート、アスファルトシングル、樹脂繊維セメント、ガルバリウム鋼板(横葺き):3寸〜
- ガルバリウム鋼板:0.5寸〜(立平葺き、折板)
※ただし、特殊な形状・工夫をした屋根材は標準タイプとは異なる使用可能勾配となっていますので、ご確認ください。
デザインが緩勾配屋根(0.5~2寸)となっている場合、ガルバリウム鋼板が対応可能となりますが、勾配がゆるいと雨漏りリスクが高まりますので、ほんとうに緩勾配屋根が必要なのかよくご相談ください。
勾配について詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根勾配の決め方!急勾配と緩勾配のメリットとデメリットとは?
屋根材ごとの特徴一覧で選び方をスムーズに
屋根材ごとの特徴を一覧でご確認ください。
比較することで、自分にあった屋根材を選びやすいので、ご参考にしてください。
屋根材ごとの特徴一覧
屋根材 | 初期費用 | メンテナンス頻度 | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
瓦 | 中 | 少ない 60年で葺き替え/葺き直し | 60年 | ◎耐久性が高い ◎経済性に優れている △重い |
スレート | 低 | 多い・10年ごとに塗装 30年でカバー/葺き替え | 30年 | ◎シンプルなデザイン ◎狭小地に向いている △踏み割れやすい |
ガルバリウム鋼板 | 中 高(断熱材付) | 10~15年ごとに塗装 40年でカバー/葺き替え | 40年(塗装すれば) | ◎軽量・割れない ◎緩勾配に対応 △雨音がうるさい |
アスファルトシングル | 低 | 少ない 20~30年でカバー/葺き替え | 20年 30年(高耐久品) | ◎曲面にも施工可能 ◎変色が少ない △強風に弱いタイプあり |
石付金属鋼板 | 高 | 少ない 30年で葺き替え | 30年 | ◎変色が少ない ◎雨音が少ない △瓦より初期費用が高い |
樹脂繊維セメント | 高 | 10~15年ごとに塗装 30年で葺き替え | 30年 | ◎割れにくい ◎雨音が少ない △瓦より初期費用が高い |
それぞれ一長一短がありますので、よく比較してくださいね。
屋根材の選び方は、重視するポイントで変わります
屋根材の選び方は自分がどのポイントを重視するかによって、選び方が変わってきます。
すべての性能がそろった万能屋根材はありませんので、以下のように何を重視するかで選びましょう。
●瓦か瓦以外か
新築であれば、瓦が重いデメリットはあまり気にしなくても大丈夫です。(建物の強度を瓦に合わせるだけです)
それ以外の特徴を見ると価格・メンテナンス頻度・耐久性・コストパフォーマンスのどれを取っても優れています。
しかし、「瓦は重い」と悪いイメージが強く残っているので、これを取り除けない方は瓦以外の屋根材を選びましょう。
●塗装メンテナンス費用が払ってもいいか
次に、住宅ローン返済中に屋根塗装メンテナンス費を払ってもいいか、払いたくないかの選択ができます。
塗装メンテナンスをしてもいい人は、スレート、ガルバリウム鋼板、樹脂繊維セメントとなります。
塗装メンテナンスしたくない人は、瓦、アスファルトシングル、石付金属屋根となります。
●緩勾配屋根がいいか
住宅のデザインとして箱型住宅がありますが、それに合う屋根材ですと、緩勾配屋根(0.5~2寸)を選択することになります。
緩勾配屋根がよければ、ガルバリウム鋼板(縦葺き・折板)となります。
●災害に強い屋根材がいい
とにかく、災害に強い屋根材がいい方は樹脂繊維セメント屋根となります。
だだし、樹脂繊維セメント屋根(ルーガ)については不安面もありますので、詳しくはこちらの記事で解説しています。
【まとめ】重視するポイントを整理して、後悔しない屋根材選びを!
屋根材選びは気にしていないと、工務店・ハウスメーカーの都合がいい屋根材を選んだ記憶がないまま、決まってしまいます。
新築を検討するはじめの段階で、屋根材の希望を入れないと、選べる屋根材も限れてしまいます。
屋根材選びに迷ったら、すぐにでも屋根専門業者と相談することをオススメします。
とくに、メンテナンス費用は住宅ローンを返済中に追加となってくるので、後で後悔される方が多いです。
屋根は住宅を守る大切な場所なので、しっかりとご検討ください。
神清からのお願い
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