片流れ屋根の3つのデメリットとその解決方法。

片流れ屋根の問題点をズバッと解決します!

 

最近、片流れ屋根(かたながれやね)が増えていますね。
片流れ屋根はこんな感じ。

屋根屋からすると屋根の形状としては、あまりおすすめできませんね・・・

何が問題なのか?その対策は?
ちょっと、気にしてもらうだけで大幅にリスクは軽減できます。
屋根を決めるとき、工務店さんに伝えてみてくださいね・・・
新築を建てる上で、お施主さまの要望はかなり聞いてもらえますから・・・
自分の家なので、積極的に関わりましょう~!愛着もわいてきます!

 

そもそも、なぜ?片流れ屋根なの?

 

最近の住宅において、片流れ屋根が急増しているようです。
その理由としては、
●住宅でも太陽光発電が10kw以上で全量売電できたから。
⇒少しでもたくさん太陽光パネルを屋根に載せるために、南面片流れ屋根が採用された。

●小屋裏空間(天井と屋根の間)を小さくすることで、建築コストを下げるため。
●箱型の住宅の屋根はシンプルの方がマッチするから。(デザイン性)

 

デメリット

しかし、デメリットも数多くありますので、知っていてくださいね~

 

雨水浸入について

 

片流れ屋根では、雨漏り事例がとても多くなっています。

瑕疵保険会社の調査では、新築雨漏り事故の75%以上が片流れ屋根だったと公表しています。
また、金属屋根材の棟部で事故が多いそうです。

その内、50%が棟、27%がけらば、23%が軒先となっています。
つまり、雨漏り事故全体の40%近くが片流れ屋根・棟部、20%が片流れ屋根・けらば部という計算です。

なぜ?片流れ屋根の棟・けらばに雨漏りが集中しているのでしょうか?

 

片流れ屋根・棟

 

片流れ屋根の棟断面図は以下の通りです。

 

片流れ屋根のルーフィングの棟端部は図のように野地板上端部でカットされています。(屋根工事業者の責任範囲)

野地板より下部は他業者(大工・壁業者の責任範囲)であり、片流れ棟端部が工事業者の境界線となってます。

図は雨水の浸入ルートを示しています。

野地板と破風板の境から雨水が野地板の裏面を伝わって、伝い水となって、建物内側へ浸入する構造となっています。

屋根材が施工されても、強風雨時では、この浸入ルートから入り込みやすいので、しっかりとした防水対策が必要と言えます。

 

片流れ屋根・けらば

 

同じ大きさの建物で、片流れ屋根と切妻屋根のけらば長さを比較すると単純に片流れ屋根は2倍のけらば長さになります。
長さが2倍となれば、軒先部に流れる雨水量は2倍となります。

少し話がずれますが、下写真の化粧スレート屋根では、けらばからの漏水事例が多く報告されています。(片流れ屋根に限らず)

ここで、化粧スレート屋根・けらばからの漏水メカニズムを簡単に・・・

①けらば水切り部分に数年で土ほこり・樹種等が堆積します。

②風雨時、水切り内に浸入した雨水は土ほこりで排水が妨げられ、ルーフィング上にオーバーフローします。(矢印側へ)

③オーバーフローした雨水はスレートの留め付け釘を伝わって、野地合板に浸入します。

④野地合板へ頻繁に雨水浸入することで、野地合板の腐朽劣化が発生します。

この現象は流れ長さの短い切妻屋根でも数多く報告されています。

片流れ屋根・けらばでは、単純に2倍の雨水量といえるので、さらに大量の水がオーバーフローすると推測できます。

雨漏りや野地合板の腐朽劣化リスクが高まります。

 

日射取得について

 

いきなり、日射取得と専門用語ですいません。
簡単にいうと「屋根面の日当たりについて」。

片流れ屋根の住宅は、都市部の狭小地において北側斜線による高さ制限から、北面屋根となるように設計されることが多くあります。

この北面片流れ屋根には、「屋根面の日当たり」不足から不具合が発生することも・・・。

「屋根面の日当たり」って聞いたことないですよね・・・
でも、結構重要なんです。

上写真は北面片流れ屋根の住宅で、屋根勾配(こうばい)は6寸勾配(屋根の傾きが約30°)となっているものを撮影したものです。

ちょうど、冬至(とうじ)12月23日に撮影しました。(もっとも日照時間が短い日)
冬至の南中の太陽高度は31°で屋根の傾き(30°)とほとんど同じため、6寸勾配の屋根面は1日中、日陰となっています・・・(日陰だと問題あるの?)

1日中・日陰となると北面の野地合板(のじごうはん)は日射による温度上昇が起きません。

一方、壁や小屋裏(こやうら)などにある木の部材(柱・合板など)は日射により暖められて温度上昇します。
このとき温度が高くなると木から湿気が放出されます。

放出された湿気は温度の低い北面野地合板へ移動・吸着されて、野地合板は高湿化します。

この北面片流れ屋根への湿気の移動は、冬の太陽高度の低い期間中、繰り返されます。
どんどん野地合板は湿気を蓄積することになり、野地合板の含水率が上昇して、野地合板の腐朽劣化(ふきゅうれっか:木がくさること)につながります。

 

換気不足について

 

屋根の劣化を防ぐ方法として、小屋裏を換気する方法があります。(小屋裏換気)
しかし、片流れ屋根は小屋裏換気の効果を軽減させるとも・・・。

簡単に小屋裏換気を説明いたします。

まず、 小屋裏換気は2つの原動力によって機能します。

A:風力により換気する場合(風力換気)
B:温度差により換気する場合(温度差換気)

 

A:風力換気について

 

切妻屋根(きりづま)における風力換気は下図のように起きます。

風向きが左からの場合、風上側にあたる建物左側の軒天換気入口・外壁通気層入口・棟換気入口から小屋裏へ外気が侵入・吸気します。

逆に、風下側にあたる右側から、軒天換気出口・外壁通気層出口・棟換気出口から排気されます。

切妻屋根の場合、入口(左)と出口(右)があり、風力による小屋裏換気がスムーズに促進されます。

 

一方、片流れ屋根の風力換気は??

 

片流れ屋根は単純にいうと切妻屋根の右側がないことになりますね・・・

風向きが左からの場合、切妻屋根と同様、風上側にあたる左側が入口となりますが、肝心な出口が右側にありません。

そうなると、左側の入口からも外気が侵入しようとしても入ることができないのです。
結果、風力による小屋裏換気は機能しないといえます。

 

B:温度差換気について

 

温度差換気は建物の内外温度差により、換気を促進させるものです。

一般に、温度差が大きいほど、また、建物の高低差の大きいほど、換気することになります。

片流れ屋根は緩勾配屋根(ゆるい傾きの屋根)も多くなっています。

この緩勾配屋根の場合、建物の高さが低く、建物および小屋裏空間の高低差がなく、温度差が発生しないため、温度差による小屋裏換気は機能しないといえます。

 

片流れ屋根の小屋裏換気不足は小屋裏を高湿化させ、野地合板の腐朽劣化を助長させることになります。

 

ここまで片流れ屋根のデメリットについて説明しました。(ちょっと、難しい話なので、流してもいいですよ~)

ここから、大切なその解決方法について・・・。

 

デメリットの解決方法は?

 

 

雨水浸入について

 

比較的簡単にできる解決方法をご紹介・・・。
(方法はいろいろありますので、一例です。)

 

片流れ屋根・棟部

 

片流れ屋根・棟端部の伝い水の浸入を防ぐ方法としては、透湿ルーフィングを巻くことで簡単に対処できます。

屋根工事業者に通常の下葺き材の上に、透湿ルーフィングを巻いておくようにお願いするだけで改善されます。

実際の施工写真です。
屋根工事のときに棟部を覆って、破風に垂らしておきます。
余分は後工程でカットしてもらいます。

透湿ルーフィングは通常の下葺き材よりも柔らかく、かつ、強度があるので破れることなく、端部を覆うことができます。
さらに、湿気を排出する機能もあり、棟部の防水には最適です!

また、壁用の透湿防水シートに比べて、止水性と強度が高いので安心です。

「透湿ルーフィングを棟に巻いてください。」と呪文のように、唱えるだけで大幅にリスクが軽減します。

透湿ルーフィングについては下記をご参照ください。http://kamisei.co.jp/rooftrouble/789

 

 

片流れ屋根・けらば部

 

化粧スレートやアスファルトシングル、金属屋根材の場合、比較的簡単に改善できます。

けらば水切りを改良した「シール材付きけらば水切り」が効果的です。

シール材(クッション性のある止水材)が屋根材と密着して、土ほこりや雨水のオーバーフローを防ぎます。

大量の雨量でも、このちょっとした工夫で大丈夫。

「けらばはシール材付きけらば水切りを使ってください」と呪文を唱えるだけで、大幅にリスクが軽減します。

 

この他にも対策はあります。
何か対策をお願いすることが大切な家を守ることになります。
これらをお願いしても、コストアップはわずかだと思いますよ~!

 

日射取得について

 

北面片流れ屋根の野地板劣化防止には、野地面通気(屋根材と野地板の間の通気)+透湿ルーフィングが有効です。

これについては、工夫というよりは仕様変更の範囲となってしまいます。

残念ながら簡単な呪文はありません。

長寿命住宅を選択される方は仕様変更となりますが、野地面通気+透湿ルーフィングをお勧めいたします。

ちなみに、南面片流れ屋根に太陽光パネルを設置する場合も、パネル下の屋根部分は一年中、日陰となります。

北面片流れ屋根と同じ劣化リスクがありますので、できれば、切妻屋根(北面が短い切妻)にされることをお勧めいたします。

この写真は南面は大量の太陽光パネルが設置してありますが、片流れ屋根ではなく、切妻屋根となっています。
南面屋根は大きく、北面屋根は小さい変則の切妻屋根ですが、片流れ屋根よりは大幅に劣化リスクの少ないデザインと言えます。

 

換気不足について

 

換気不足については、「小屋裏換気を多くしてください」と要望してください。

小屋裏換気量を多くする工夫はいろいろとあります。

●換気棟を多く設置する。

●軒の出を持たせて、軒天換気を全周に設置する。

●妻壁での妻換気との併用する。

など、いろいろあります。

小屋裏換気の増量は大幅なコストアップとはなりませんので、呪文と思ってもいいかも・・・

 

片流れ屋根の雨漏りが急増中?対策を!

 

新築の片流れ屋根は雨漏り事例が急増しています。

片流れ屋根の3つのデメリットとその対策案をご紹介いたしました。

屋根業者で改善できること、設計変更が必要なものなどいろいろあります。

少しの工夫や予算で、雨漏りリスクや将来の劣化リスクを軽減することができます。

お施主さまが呪文のように唱えるだけですので、是非、ご参考にしていただければと思います。

長く愛着を感じながら住まう大切な我が家です。

雨漏りが発生すると愛着が薄まっていく方が多いので、建てる前に対策をしてくださいね~!!

 

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