軒・けらばにおける軒の出がない屋根の耐久性に関してはいくつかのリスクがありますのでご紹介いたします。
上の写真は軒・けらばの軒の出がない屋根です。赤丸が軒先です。青線がけらばです。ともに軒の出がなく、すぐに壁となっています。
このような屋根のリスクについて簡単にご説明いたします。
?漏水リスク
(1)軒・けらばの出不足では、屋根−壁の取り合い部から浸水するリスクがあります。屋根−壁の取り合い部は防水紙の連続性の決まりがなく、施工者も屋根業者さん・壁業者さん・大工さんと3業者が絡むため、責任も不明確となります。
軒・けらばの出がある程度あれば、浸水を防ぐ処置が完全に行われていなくても直接取り合い部に雨掛かりしないため、問題は少なくなります。
軒・けらばの出不足では、取り合い部に直接雨掛かりするため浸水リスクが高くなります。
軒の出がなく、屋根のけらば水切りのすぐ際で壁の防水紙が仕舞いとなります。水切りの中に壁がわずかに入ってくるだけとなりますので、風雨時には取り合い部に直接雨掛かりします。
対策としては
●お施主様にこのリスクを理解してもらう必要があります。
●屋根壁の防水紙を一体と考え、連続性があるように施工することや野地や破風や壁の取り合い部表面で、シーリングなどの防水を強化することなどがあります。
(2)壁面への雨掛かり量が増加するため、サッシ廻りなどの壁から浸水するリスクがあります。2階サッシ上部への雨掛かり量が特に増加するため、2階サッシ廻りから壁内へ雨水浸入し、その水が1階サッシ上部で室内側へ浸水するといった漏水経路となります。
赤丸は軒の出がないために、サッシ上部から壁面が濡れています。一方、青丸は軒の出があるために、雨掛かりしていません。同じ位置にサッシがあってもサッシ上部は濡れないことがわかります。
赤丸ではサッシ廻りからの漏水リスクが高くなっています。
?結露発生リスク
軒・けらばの出不足は軒天換気孔が設置することがむずかしく、換気不足による結露発生リスクがあります。
●軒先では、小屋裏換気を行うために設置する給気・排気孔が設置できなくなります。
●けらばでは、妻壁内通気層の排気孔が設置できなくなります。
設置した場合は、その孔からの雨水浸入が問題となります。
雨漏り調査の依頼がある住宅の多くは軒の出がありません。
敷地の制限など特別な事情がなければ、軒の出がある住宅デザインを採用された方が劣化リスクの軽減につながります。
さらに、将来のメンテナンスコストも大きく影響を受けます。あきらかに、軒の出がない方が費用が高くなることもご承知ください。
軒の出があるデザインを強くお奨めいたします。 (#⌒∇⌒#)ゞ
神清からのお願い
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