こんにちは~。
屋根・雨漏りの調査員、神谷昭範です。
住宅用勾配屋根の耐久性向上に関して、屋根下地構成(野地板・下葺き材等)の影響について検討しました。
最近木造住宅のリフォーム工事等において、多くの屋根で下地の劣化が進行している実態が明らかになっています。
一方、築50年を超える瓦屋根の野地板等は劣化していないこともあります。
築80年の瓦屋根葺き替え現場(劣化なし)
そこで、①昭和期の前半以前の瓦屋根下地構成
②近年の瓦屋根下地構成
を比較しました。
①昭和期の前半以前の瓦屋根下地構成
瓦屋根の工法はバラ板等で野地を作り、杉皮や木羽板を並べた下葺き材の上に、葺き土を使いながら瓦を施工するというものでした。
この構成は透湿抵抗の低い下地構成となっています。
雨水浸入を防ぐ一方で、湿気は排出するという、いわば呼吸する屋根と言えます。
耐震・耐風性には若干の心配ありますが、小屋裏・野地板での結露の可能性は低く、適切なメンテナンスが伴えば大幅な耐久性が期待できます。
②近年の瓦屋根下地構成
近年は屋根面の水平剛性の確保から構造用合板の野地が多く使用されています。
また、耐風性能の確保から釘緊結の徹底が図られ、下葺き材には多くの釘が貫通しています。
多くの釘穴が開き、雨水浸入のリスクが高くなるため、下葺き材は釘孔シール性重視(水密性)で選択されています。
結果として全体的に透湿抵抗の高い構成となり、かつ防水層(下葺き材)に多数の孔を開けるという矛盾のある下地構造となっています。
小屋裏環境条件により結露の可能性が高くなります。
浸水すると乾きにくく、劣化が促進されるリスクがさらに増します。
以上、二つの特徴を表にまとめました。
これからの長寿命住宅を考えると、上の昭和期の前半以前をヒントに、耐震性・耐風性を改善した構法が必要と言えます。
まず、下地において、杉皮・木羽板・土葺きをそのまま使用することは耐震性から問題となります。
この部分を透湿ルーフィングに置き換える必要があります。
さらに流し桟木工法(ホールレス工法)とすることで、高耐久高防水工法となり、長寿命住宅には最適と言えます。
ホールレス工法は瓦屋根の原点回帰とも言えます。 (#⌒∇⌒#)ゞ
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