化粧スレート屋根の漏水試験 釘孔周辺に雨水が滞留!
こんにちは~。
屋根・雨漏りの調査員、神谷昭範です。
化粧スレート屋根の漏水試験を行った結果をご紹介いたします。
あいち産業科学技術総合センターで圧力箱方式の漏水試験を行いました。
漏水試験架台の上に、野地合板、ルーフィングと化粧スレート屋根材を施工しました。
試験条件は、風速40m/s相当、雨量240㎜/hで行いました。
試験後、スレート屋根材を剥がしながら雨水浸入ルートなどを検証しました。
スレートは910㎜の幅の板を突き付けで施工します。(写真は左が棟側、右が軒側)
その継ぎ目から雨水が浸入しています。
浸入ルートに沿ってルーフィングが濡れています。
浸入した水はスレートごとに左右で拡がっていきます。
スレートから浸入して、ルーフィングが濡れる部分は上写真の<pcolor=”#ff0000″>赤丸
で囲まれた部分となります。
スレートの継ぎ目(縦方向)及びスレートの棟側端部(横方向)となります。
赤丸はスレートを留め付ける釘位置です。
スレートの棟側端部の位置になります。
赤丸はルーフィングが濡れている位置と重なります。
ここで問題となるのは、スレートから浸入した雨水はちょうど釘部分に到達することです。
さらに、スレートを剥がした瞬間に、約5㎜程度の水玉が流れ出しました。
雨水がスレートの棟端部で滞留していたことがわかります。
上の図で詳しく説明いたします。
右側が棟側、左側が軒先となります。
化粧スレートの棟側端部はルーフィングに隙間なくピッタリと密着しています。
ルーフィング上を棟側から流れてきた雨水はちょうどスレート棟側端部で、せき止められ滞留します。
その雨水が滞留している部分には、スレート1枚あたり4本の釘が打たれ、住宅1軒で、約2400本(100㎡の屋根)の釘穴がルーフィングに開いています。
スレートの厚みが5.5㎜ありますので、約5㎜の水圧が1本の釘にかかります。蒸発するまで長時間に渡り、水圧がかかり続けています。
時間が経つと、この雨水がじわじわとルーフィングの釘孔から浸入します。
すると、下写真のような釘周りからの浸入痕が発生します。(赤△:釘周りからの浸入痕 発生確率約25%)
★化粧スレートの漏水試験からわかること★
①化粧スレートから浸入した雨水はスレート棟側端部でせき止められ、滞留します。
②滞留している部分に、ちょうどスレート釘があり、1棟(100㎡)あたり、約2400本打たれていて、ルーフィングに2400個の釘孔が開いています。
③約5㎜の水圧がかかるため、時間が経つと雨水浸入が発生します。(解体現場で見られるような浸入痕と一致します。)
このような雨漏りまでにはならない雨水浸入が小屋裏・野地合板の高湿化を引き起こし、野地合板の腐朽劣化に繋がります。
屋根材から雨水が浸入しない性能も重要ですが、ゼロとすることはむずかしいですので、屋根材から入った雨水を速やかに排出できる構造が屋根の長寿命化に必須となります。 (#⌒∇⌒#)ゞ
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