しくじり先生④ ダブル捨て水切り ホントは化粧スレート屋根には必需品なのに!
こんにちは〜。
屋根・雨漏りの調査員、神谷昭範です。
しくじり先生の第4弾は、「ダブル捨て水切り」です。
化粧スレート屋根のケラバ部で使用します。
現在の施工方法にこの部材を追加するだけの簡単なものです。
ケラバ部からの漏水を防ぐために、開発された補助材です。
化粧スレートのけらば部の不具合ってなに?
ここで、少し化粧スレートのケラバ部の不具合を説明します。
この写真は化粧スレート屋根のケラバ捨て水切りから雨水がオーバーフローしたときの状態です。
赤丸の部分は経年で堆積した土・埃です。
雨水を排水するための捨て水切りの上に土・埃が堆積しているため、雨水を堰き止め屋根側にオーバーフローさせています。
オーバーフローした雨水は屋根材を留めている釘から室内側へ浸水します。
けらば部の野地合板の腐朽劣化!
長期間に渡る漏水により、野地合板が劣化します。
ケラバ部の野地合板が釘孔の間隔でボロボロに劣化しているのがわかります。
この現象は多くの化粧スレート屋根で発生しています。
この劣化を防ぐ抜本的な対策が求められています。
開発した「ダブル捨て水切り」がこれだ!
そこで、開発したのが「ダブル捨て水切り」という商品です。
赤い⇒が示す茶色の水切りです。
通常のケラバ捨て水切りを設置する前に、ケラバ部に置きます。
ケラバ登り淀(木材)に押し当てて位置を決めます。
その上に通常のケラバ捨て水切りを設置します。
この意味としては、先程のようにけらば捨て水切りからオーバーフローした雨水をその下のダブル捨て水切りで排水してやろうというものです。
土・埃はダブル捨て水切りについているシーラーによって、それ以上屋根側への侵入を防ぎます。
2重に捨て水切りを配置することで、屋根材の釘までは漏水しないしくみとなります。
完全にオーバーフローをシャットアウトできます。
ダブル捨て水切り特徴は以下の通りです。
①材質はポリカーボネイト製です。
柔軟性があるため、スレートの屋根材が施工されるとつぶれて馴染みます。
耐久性・耐熱性があり、長期にわたり劣化しません。
簡単にカットできます。
②屋根内側には、折り返しがあり、仮に来た水もそこで排水できます!
③シーラーが設置されているので、土・埃の浸入を防ぎます!
④金額も家一軒あたり30,000円程度と安価!
⑤施工性もただ置くだけ!なんの手間もかかりません!
⑥漏水試験も行い、効果も確認済みでバッチリです。
こんなにいい事だらけなのに、
しかし、実際には普及しませんでした。
なぜなら、
一軒30,000円ですが、単価でいいますとダブル捨て水切りはケラバ捨て水切りの倍の価格となります。
⇒補助材の方が、本物の水切りより高くてどうする??
工事業者・工務店さんは必要性を感じていませんでした。
⇒経年劣化で野地合板が腐朽しても、10年以上後ならクレームとはならないので関係ない??
建材メーカーはスレートの踏み割れを心配しました。
⇒建材メーカーの標準品ではない??
教訓
屋根の劣化を防ぐ商品だからといって、コストアップがともなう提案はむずかしい。
ケラバの劣化を防ぎながらかつコストアップしない提案が必要だ!
さらに言えば、ケラバの劣化を防ぎながらコストダウンできる提案なら、さらに良い!
こんな夢みたいことを開発できれば、
長寿命住宅に適した、お施主様にも喜んでいただける、
売れるケラバ対策商品になるのかな・・・・?
もしくは、もっとも恩恵を受けるお施主さまに必要性を伝える!
あきらめるな!可能性がゼロではない・・・・!
神清からのお願い
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