屋根で減震リフォームは効果あるの? 軽量化リフォームの疑問に迫る! 【耐震ではない!】

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屋根の減震リフォームは耐震なの?

屋根で減震リフォームのキャッチコピーをよく耳にします。

屋根を軽量化することで、「減震」と言って屋根替えリフォームをPRしている業者います。

さらに、「屋根の軽量化は身近で手軽な耐震対策」とうたっています。

「減震」、「耐震」って、どこが違うのでしょうか?

みなさま。こんにちは。

屋根から人の笑顔を作りたい!!!

神清(かみせい)のDr.神谷です。

屋根の軽量化リフォームに関する効果について、検討してみます!

 

「減震」とは?

「減震」って、わかるようでわからない言葉について考えてみました。

 

まずその前に、地震対策として、一般的に使われている耐震に関する言葉の定義をご紹介いたします!

●「耐震」とは震度6まで倒壊しない強度を確保することが目的です。

●「免震」とは地震の揺れを逃がして躯体にエネルギーを伝えないことが目的です。

●「制振」とは制振材により、揺れや地震のエネルギーを低減させることが目的です。

「耐震」では、耐力壁(筋かい・合板など)によって、建物の強度を強くして、地震の揺れに耐えるというものです。

「免震」では、建物と基礎との間に免震装置を設置し、地盤と切り離すことで建物に地震の揺れを直接伝えないというものです。

免震装置としては、空気浮上式や磁気浮上式、積層ゴムなどがあります。

「制震」では、建物内部にダンパーなどの「制震部材」を組み込み、地震の揺れを吸収するというものです。

制震装置の例としては、油圧制御方式「制振装置evoltz」などがあります。
制震装置によって、地震エネルギーを熱に変えて吸収するしくみです。
詳しくは、こちらをどうぞ。http://www.cinca.co.jp/feeling/

それぞれ、何galの地震まで対応する性能があるのか、明確になっています。

 

一方、屋根で減震リフォームを行うことは、何の恩恵を与えてくれるのでしょうか?

耐震対策というからには、震度6まで倒壊しないリフォームなのでしょうか?


答え:減震リフォームとは、地震の揺れは小さくできるが、「震度6まで倒壊しない」とは、いえないリフォームのことです。

非常にお施主様に誤解を与えると思います。


お施主様は、

耐震(震度6まで倒壊しない)を求めているのに対して、

減震では、地震の揺れは小さくできるが耐震(震度6まで倒壊しない)ではないというギャップを生じています。

 

屋根の軽量化は身近で手軽な耐震対策なの?

「屋根の軽量化は身近で手軽な耐震対策」なの?について考えてみました。

木造住宅の耐震補強のポイントと実務 講習会テキスト(財団法人 日本建築防災協会)をみますと、耐震補強の方法としては、以下の内容となっています。

1)壁の補強・バランスのよい配置

2)接合部の補強

3)基礎の補修・補強

4)水平構面等の補強

5)腐朽・蟻害への対応(部材の交換等)

この5つが補強方法として、具体例をもとに記載されています。

耐震対策としては、上の5つが効果的で重要と言えます。

 

それでは、屋根の軽量化はどうかといいますと、

6)その他

(1)建物の軽量化

(2)開口部の補強

(3)小屋裏補強

(4)ブロック塀の対応

(5)地盤、擁壁の安全性

6つ目のその他の中に、挙げられています。

その他の中の(1)建物の軽量化の中に、屋根の軽量化・外壁仕上げの軽量化があり、やっと出てきます。

さらに、コメントでは、

「一般的には屋根の軽量化よりも壁の補強を行う方が費用や施主の手間等を考えると効率的である」

「一般的に屋根の軽量化は費用が高くなり、工事規模が大きくなってしまう」

と記載されています。

つまり、屋根の軽量化はその他の扱いであり、主要な耐震補強には該当しません。

実際、壁の補強をせずに屋根の軽量化するだけでは、耐震基準を満たしません。

 

屋根の軽量化は安価な耐震対策なの?

さらに、「身近で手軽な耐震対策」とは、「安価な耐震対策」と誤解を与えやすい表現となっていますが、全く安価ではありません。

例えば、積算資料ポケット版リフォーム編2015

において、モデル住宅の耐震補強として、壁を補強する(耐力壁の新設)する場合、

1カ所約2.2㎡で111,000円となっています。

瓦屋根で壁量を満たすために、2カ所行うと222,000円となります。

一方、瓦屋根を金属屋根に変更する場合、

2,484,342円となり、約10倍の費用がかかり、かつ壁量を満たしません。

結論:屋根の軽量化は、「身近で手軽な耐震対策」ではなく、「高額な地震の揺れを小さくする対策」といえます。

 

誤解を与えやすい商法を助長しているもの

このような誤解を与えやすい商法を助長している1つとして、各自治体が発行している耐震リフォームの手引きがあるといえます。

手引きには、分かりやすくするために、屋根の軽量化をすれば耐震基準を満たす印象を与える記載がされています。


是非、この表現を修正していただき、業者が得するリフォームではなくお施主様にとって、生命が守られ、効果的・経済的な耐震リフォームが普及することを期待しています。

 

まとめ:減震リフォームは「耐震」リフォームではありません!

減震リフォームとは、地震の揺れは小さくできるが、「震度6まで倒壊しない」とは、いえないリフォームのことです。

一般的には屋根の軽量化よりも壁の補強を行う方が費用や施主の手間等を考えると効率的と言われています。

一般的に屋根の軽量化は費用が高くなり、工事規模が大きくなってしまうというデメリットも指摘されています。

軽量化リフォームはまず、建物全体の耐震診断をしてからにしましょう!

耐震診断は補助金なども自治体から用意されていますので、ご活用くださいね!

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