こんにちは~。
屋根・雨漏りの調査員、神谷昭範です。
屋根の結露に対して大きな影響を与える天井断熱・防湿の欠損についてご説明いたします。
天井に断熱材を施工する場合は、断熱材への湿気の流入を抑えるため、室内側に防湿シートを設けるのが基本となっています。
防湿シートは厚いほど防湿効果が高くなります。
防湿性能は透湿抵抗で示され、値が大きいほど防湿性能が高くなります。
寒冷地で使用される別張り防湿シートは厚み0.2㎜で、透湿抵抗は約1000(㎡h㎜Hg/g)、温暖地域では袋入り断熱材に使用されている防湿シートは厚み0.02㎜で約80(㎡h㎜Hg/g)となっています。
防湿シートに穴や施工不良などの欠損がありますと、そこから室内の湿気が流入して結露が発生するリスクがあります。
以下に、実物件での天井断熱・防湿シートの欠損事例をご紹介いたします。
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<pcolor=”#ff0000″>赤丸
はダウンライトの周辺部です。
袋入り断熱材・防湿シート・透湿シートを破いて、ダウンライトが施工されています。
室内からの湿気が小屋裏に流入します。
<pcolor=”#ff0000″>赤丸
は電気配線によって、袋入り断熱材がめくれています。
白色側が防湿シート、グレー色が透湿シートになっています。
断熱材を大工さんが施工した後に、電気屋さんが電気配線を行うため断熱材への配慮がなく、このような欠損が発生したと考えられます。
天井の熱画像ですが、赤い部分が断熱材の施工不良による欠損となっています。
熱的欠損に加え、袋入り断熱材の場合、防湿欠損にもなっています。
下図は、天井断熱・防湿に欠損がある場合の小屋裏への湿気流入イメージを表したものです。
防湿シートの穴から小屋裏に入った水蒸気は同心円状に拡散していくことを表現しています。
そこで、防湿シートの穴の影響を試算したものをご紹介いたします。
室内が18℃、90%、外気が0℃、80%のときに、透湿抵抗が1000の防湿シートに穴が開いたときの野地合板の相対湿度を示したものです。
欠損がないときは74%ですが、穴が大きくなるにつれて高くなり、わずか直径18㎜で100%に達します。
下の表は、防湿シートに穴が開いたときの透湿抵抗の低下を示したものです。
透湿抵抗が1000(寒冷地仕様)に直径10㎜の穴が開いた場合、透湿抵抗は50となり、温暖地域の袋入り断熱材の防湿シートよりも低下します。
また、透湿抵抗80の防湿シートに長さ1mに渡って、幅1㎜の隙間がある状態の面積は直径36㎜の穴に相当します。
このとき、透湿抵抗は5となり、昔の断熱・防湿されていない住宅と同程度になります。
このとき、70㎡の天井から1日あたり約2.5リットルの水分が小屋裏へ浸入していることになります。
野地合板を結露・劣化させるのに、十分な水分量となっています。
<pcolor=”#ff0000″ >★天井断熱・防湿の欠損★
①防湿シートに穴・施工不良などの欠損がありますと、そこから湿気が浸入して、結露発生リスクとなります。
②袋入り断熱材の防湿シートで、幅1㎜、長さ1mに渡る欠損がありますと、透湿抵抗は昔の住宅と同程度になり、大幅に湿気が小屋裏へ流入します。
③欠損が発生しないように、細心の注意を払うとともに、欠損が生じても結露しないような換気量・屋根構造・部材などの選定が重要です。
ごくわずかな防湿シートの穴や施工不良などによる欠損でも、小屋裏の結露リスクを高めます。
そのため、欠損が発生しない細心の注意とともに、欠損が発生する前提での安全側の換気の対策も必要です。 (#⌒∇⌒#)ゞ
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