外壁:モルタル直貼り構法での雨水浸入現場です!
雨漏り調査事例として、外壁がモルタル直張りの物件におけるサッシ廻りおよびクラックからの雨水浸入により、室内側で異臭が発生した事例をご紹介いたします。
築後2年で著しい劣化
築後わずかの木造住宅・2階建て、金属立平葺き、モルタル直張り外壁の現場でした。
モルタル外壁・防水紙を剥がしたところです。
構造用合板の写真ですが、赤丸の部分で雨水浸入により変色した痕が見られました。
こちらはサッシ廻りの写真です。
サッシ廻りからの雨水浸入により黒ずんだ変色痕が見られます。
サッシ左下角でサッシフィンに貼り付けてある両面テープと防水紙のウィークポイントから浸水して、青⇒から周辺に拡がっています。
サッシ下部の写真です。
この建物はほとんどすべてのサッシ廻りから雨水浸入が見られました。
白い部分は防水紙(透湿防水シート)が合板に張り付いて、ボロボロになっている状態です。
特に、赤丸の部分は手で触ると合板がベコベコと凹み、腐朽していました。
サッシの両下角から浸水して、サッシ真下は両方から水が来るため、腐朽が著しく進んでいました。
壁の合板のわずかな隙間
また、赤丸の柱と合板の継ぎ目(隙間あり)の部分のモルタル外壁に大きなクラックがありました。
そのモルタルクラックから雨水浸入し、防水紙におけるステープル(タッカー)の孔から合板側へ浸水します。
合板の継ぎ目に沿って流下しやすいため、青⇒沿いに移動したため、窓上にも浸水痕が見られました。
大きなクラックの下部にも流下痕が見られ、柱は著しく変色していました。
無垢である柱がこのように変色するには、かなりの量の水が常時、浸入していたと思われます。
外壁に使用されるステープル(留め針)からの浸入
上写真は大きなクラックの左側下部に位置していた合板です。
この模様をよく観察してみますと、
赤丸をつけた部分は雨水浸入痕となっていました。
これらは、ステープルが留め付けてあった位置です。
ほぼ、すべてのステープルの孔から浸水していることがわかります。
モルタル壁はラス網にモルタルが絡んでいる状態が維持されています。
合板へはラス網を留めているステープルによって一体化されます。
しかし、このようにステープルから雨水浸入が発生しますと、ステープルも腐食しますし、ステープル廻りの合板も腐朽します。
すると、保持強度が低下しますので、地震時に脱落が発生します。
モルタルが脱落しますとその分、壁耐力が低下しますので、阪神大震災のように建物の倒壊に繋がります。
まとめ:モルタル外壁は通気構法にしてください!
モルタル外壁の場合、直張りではなく通気構法をお奨めいたします。
モルタルはクラックやサッシ廻りから経年で雨水浸入しやすい材料ですので、雨水浸入しても通気構法で排水・乾燥することは必須です。
躯体・合板を乾燥させることで腐朽・耐力低下を防ぐことに繋がります。
塗り壁の優れたデザインを希望される方は多いので、その場合、コストアップにはなりますが是非、通気構法をご要望ください。
(モルタル直張りはもっとも漏水事故の多い仕様です。)
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