瓦桟木・瓦葺き構法について、まとめました!
こんにちは~。
屋根・雨漏りの調査員、神谷昭範です。
今日の午前中、瓦桟木とその構法について、いろいろご質問を受けました。
よく考えてみると自分の頭の中では、イメージが湧くのですが、それをちゃんと伝えるための資料がないことに気付きました。
そこで、瓦桟木と瓦葺き構法について簡単にご説明いたします。
土葺き構法(特殊仕様)
昔、中部より以西ではよく行われた土葺き構法があります。
阪神大震災で大きな被害が発生したため、現在では一般的に住宅では、ほとんど行われなくなりました。
瓦の留め付けは葺き土の密着力のみとなっていまので、長期耐力性・耐地震性に問題があります。
土葺きの中でも、べた葺き工法と呼ばれます。
瓦の下に全面に葺き土を入れる工法です。
一方、土葺きの中でも、筋葺き工法と呼ばれるものです。
瓦の谷の部分に合わせて、葺き土が入っています。
葺き土の量を減らすことができ、屋根の重量が減少します。
この他に、瓦桟木を施工して、瓦桟木に瓦を引っ掛け、さらに一握りの葺き土を瓦桟木に置くという、なじみ土葺き工法があります。
関東・中部地方で多く行われました。
以上が土葺き工法と呼ばれる、ひと昔前に施工された構法です。
引掛け桟瓦葺構法
瓦桟木に瓦を引っ掛けて施工する構法です。
①流し桟工法
瓦桟木の下に流し桟が入っています。(青矢印)
風雨時に、瓦から入った雨水を排水するためのスペースを確保するのに用いられ、防水対策です。
材料は木製(カットベニヤなど)で厚みは3㎜程度です。
瓦桟木の下にテープ(樹脂製)が入っています。(黒矢印)
木製と同様の効果があり、2~3mmの厚みとなっています。
②水抜き加工付瓦桟木工法
瓦桟木の所々に水抜きのための凹が加工されている瓦桟木を使用します。
風雨時に、瓦から入った雨水が瓦桟木で堰き止められることなく、凹みを通って排水できます。
木製の防腐処理済み・水抜き加工付瓦桟木があります。
樹脂製の水抜き加工付瓦桟木もあります。
水抜き加工付瓦桟木をルーフィングに直接留め付けます。
その下に、流し桟は使用しません。
通気下地屋根構法
瓦桟木の下に通気流し桟木を入れます。
瓦は瓦桟木に引っ掛け、瓦を留め付ける釘・ビスの長さは瓦桟木までの長さとして、ルーフィングを破らないホールレス仕様となる耐久性の高い構法です。
太く丈夫な瓦桟木(21×45mm程度)を使用します。
その下には、通気流し桟木(高さ9㎜以上)(白矢印)が垂木ごとに入っています。
瓦桟木の下に空間ができるため、通気・排水が確実に行えます。
瓦の釘・ビスは瓦桟木までの長さとするため、ルーフィングに孔が開きません。
長期に渡り、防水性を維持できます。
通気が促進されるため、瓦桟木は乾燥状態となり、木材腐朽の心配がありません。
これからの長寿命住宅には適した構法です。
直貼り構法(特殊仕様)
瓦を瓦桟木を使用せず、直接野地に留め付ける構法です。
瓦桟木を使用せずに、野地に直接留め付けます。
瓦桟木を使用しない分だけ、ローコストにはなります。
ルーフィングには多数の釘孔が開き、その部分に雨水が流れますので、ルーフィングの釘孔シール性が重要となります。
しかし、荷重が直接釘・ビスに掛かるため、屋根勾配がある場合、施工中に釘孔が拡がるリスクがあります。
軽量な瓦などの特殊仕様となっています。
瓦桟木について
いろいろな瓦桟木・瓦葺き構法について、ご紹介いたしました。
瓦の材としての耐久性は、充分に高いことは認識されていますので、瓦桟木・瓦葺き構法も含めた耐久性を検討する必要があります。
現在は、引掛け桟瓦葺構法が主流となっています。
住宅の耐久性・メンテナンス計画を考えて、それにマッチする屋根構法をお選びください。
長寿命住宅で、メンテナンス費を抑えたい場合は、通気下地屋根構法をお奨めいたします。(若干、イニシャルコストは高くなりますが) \(^o^)/
神清からのお願い
記事を最後まで読んでいただきありがとうございます。
お客様の率直な感想をいただくため「役にたった」「役に立たなかった」ボタンを設置しました。
私たちは、日々屋根にお困りのお客様にとって必要な情報をお伝えしたいと考えております。今後のご参考にさせて頂きますのでご協力よろしくお願いいたします。