目次
一番安い屋根材の選び方-基本のポイント
屋根材選びの際に重要なのは「価格」「耐久性」「デザイン」の3つのポイントを比較して、自分の優先順位に合うものを選ぶことです。
3つのポイントについて簡単に解説します。
価格
屋根材の価格は「新築時の屋根の価格」と「住み続ける間、屋根を維持する価格」の2つで評価することが重要です。
新築時の価格はいわゆる「イニシャルコスト」です。
住み続ける間の価格はいわゆる「ライフサイクルコスト」です。
イニシャルコストは建築会社に聞くことで比較は容易ですが、ライフサイクルコストはなかなか教えてもらえないので、しっかり確認しておきましょう。
長期ローンの期間35年でライフサイクルコストを考えると数百万円以上の差がありますので要チェックです!
耐久性
耐久性は「屋根の大規模改修するまでの期間」と「屋根材のメンテナンスするまでの期間」の2つで評価しましょう。
粘土瓦だけは、屋根の大規模改修するまでの期間が他の屋根材の2倍以上(60年以上)と耐久性があります。
粘土瓦・銅板・ステンレス板・石付屋根材などの無塗装品は屋根材のメンテナンスするまでの期間が10年単位ではないので、耐久性が高いです。
デザイン
デザインは屋根材によって大きくことなります。
緩い傾きの屋根は金属屋根の縦葺きしか、対応できません。
屋根材の形状や色合いも多種なものから数種類しかないものまであります。
一番安い屋根材はどれ?主要な屋根材の比較
主要な屋根材となる8種類の屋根材で「新築時の価格/イニシャルコスト」「35年住み続ける間の価格/ライフサイクルコスト」「耐久性(大規模改修まで)」「特徴」をまとめました。
屋根材 | 新築時の価格(イニシャルコスト) | 住み続ける間の価格(ライフサイクルコスト)35年 | 耐久性(大規模改修まで) | 特徴 |
---|---|---|---|---|
化粧スレート | 低 | 高 | 中 | メンテナンス費用がかかる |
天然スレート | 高高 | 高高 | 中 | 希少で高い |
ガルバリウム鋼板 | 中 | 中 | 中 | 緩勾配に対応 |
トタン | 低 | 高 | 低 | メンテナンス費用がもっともかかる |
銅板 | 高高 | 高高 | 中 | 希少で高い |
粘土瓦 | 高 | 低 | 高 | ライフサイクルコストがもっとも低 |
石付金属屋根 | 高 | 高 | 中 | 10年ごとのメンテナンス費用はかからない |
アスファルトシングル | 低 | 高 | 低 | 10年ごとのメンテナンス費用はかからない |
新築時の価格/イニシャルコストがもっとも安価な屋根材は化粧スレート、トタン、アスファルトシングルです。
35年住み続ける間の価格/ライフサイクルコストがもっとも安価な屋根材は粘土瓦です。
35年以上住み続ける屋根にかけるトータル費用がもっとも安価なのは粘土瓦です。
安価なように感じる化粧スレート、トタン、アスファルトシングルもメンテナンス費用がかかるので35年では粘土瓦より高くなってしまうのです。
一番安い屋根材とは?トタンと化粧スレートの比較
一番安い屋根材として、トタンと化粧スレートがなぜ多く採用されてきたのか、比較してみます。
屋根材 新築時の価格(イニシャルコスト) 耐久性(大規模改修まで) 塗装メンテナンス期間 住み続ける間の価格(ライフサイクルコスト)35年 化粧スレート 4,500~7,500円/㎡ 20~30年 10年ごと 塗装2回+葺き替え1回 トタン 4,500~7,000円/㎡ 15~20年 5~10年ごと 塗装4回+カバー1回
トタンと化粧スレートは新築時の価格が安価なので、多く採用されてきたと思われます。
トタンは特に雪が多い寒冷地では、凍害が発生しないので多く採用されていました。
しかし、メンテナンスを頻繁に行わなければならず、35年では割高な屋根材であると認識されつつあるようです。
一番安い屋根材であるトタン屋根の特徴
一番安い屋根材として認識されているトタン屋根の特徴を紹介します。
特徴
トタン屋根は「トタン」を使用した屋根のことです。
トタンは亜鉛でメッキした薄い鋼板のことで、安価な材料です。
錆びる鋼板を亜鉛でメッキしたことで、耐久性が高くなり、屋外でも使用できるようになり、工場や倉庫で多く使用されてきました。
それでも錆びやすいので、表面に塗装したカラートタン屋根が主流で、5~10年ごとに塗装する必要がありました。
現在では、トタンより錆びにくい「ガルバリウム鋼板/アルミニウム亜鉛合金メッキ鋼板」が開発され、トタンの代わりに使用されています。
メリット
トタンは材料費が安く、施工性もいいことからトタン屋根はもっとも安価な屋根です。
また、薄い板を加工して使用するため、㎡あたり化粧スレートの1/4の重さであり、もっとも軽量な屋根となります。
トタンは水を吸わないため、凍害によるヒビ割れは発生せず、寒冷地でも使用できます。
デメリット
屋外で使用する材料の中では、錆びやすく、そのまま放置するとトタン屋根にあなが開いてしまいます。
短い期間での塗装メンテナンスが必要な屋根となるため、ライフサイクルコストがかなり割高となります。
トタン屋根は薄いので、遮音性は低く、雨音も発生します。
鋼板は熱膨張性が大きいので、日射の影響で伸び・縮みして音鳴りが発生することがあります。
トタン屋根はなぜ一番安い?
金属屋根材(トタン、ガルバリウム鋼板、銅板、ステンレス)を比較して、その材料費はトタンがもっとも安価です。
材料費が安価な上、トタンは軽量で扱いやすいので、施工費用も安価となります。
材工とも安価であるため、トタン屋根は一番安い屋根です。
ただし、新築時の価格(イニシャルコスト)が一番安いだけで、メンテナンス頻度がもっとも高いので、住み続ける間の価格(ライフサイクルコスト)は逆にかなり高い屋根でもあります。
一番安い屋根材であるトタン屋根のメンテナンス
一番安い屋根材であるトタン屋根のメンテナンスについて紹介します。
鋼板(鉄の板)は水に濡れるとすぐに錆びます。
トタン屋根は鋼板の表面に亜鉛メッキをかぶせることで鋼板を保護し、錆びにくくしています。
さらに、亜鉛メッキの上に塗装して保護することで錆びにくくなります。
トタン屋根を錆びにくくメンテナンスするためには、5年ごとに塗装して亜鉛メッキを保護する方法があります。
頻繁に塗装メンテナンスするとトタン屋根の寿命を延ばすことができます。
トタン屋根のメンテナンスについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
化粧スレート屋根もリーズナブル!一番安い屋根材としてのメリット・デメリット
化粧スレート屋根も一番安いといわれている屋根材です。
化粧スレート屋根の特徴、メリット、デメリットを紹介します。
特徴
化粧スレート屋根はセメントや繊維素材を混合して作られる屋根材で、厚さが約5mm程度の平板状となっており、表面を塗装することでカラーバリエーションが豊富です。
50年以上前から使われている屋根材です。
2004年まではアスベストを混入しており、石綿スレートのメンテナンス時には注意が必要です。
メリット
材料費は粘土瓦より高いのですが、施工性がよく、工事費用が安価となっているため、材工では一番安い屋根材の1つです。
厚さが約5mmと薄いため、粘土瓦の1/2程度の軽さとなっています。
天然スレートのデザインに模倣しており、洋風の建物にはマッチするデザインとなっています。
デメリット
塗装品であるため、10年程度で色あせ、コケが発生し、劣化した雰囲気となります。
10年毎に塗装メンテナンスする意識が一般的に広まっており、塗装メンテナンス費用がかかります。
化粧スレート屋根の耐用年数は30年と言われており、葺き替えやカバー工法などの大規模改修も行う必要があります。
35年で考える、塗装メンテナンス2回と大規模改修1回となり、住宅のメンテナンス費用の中でも高額なものになります。
化粧スレート屋根もなぜ一番安い屋根材といわれるの?
化粧スレート屋根が一番安い屋根材と言われているのは、施工費用が安価になっているからです。
スレート1枚の材料費は瓦よりも高いのですが、直接、屋根下地に留め付ける方法となっており、施工が省力化されています。
屋根まわりの部品は板金が用意されており、画一的な施工方法となっている職人技を省いています。
これら長年にわたる省力化のたまもので一番安い屋根材となっています。
一番安い屋根材として人気の化粧スレート屋根のメンテナンス
一番安い屋根材である化粧スレート屋根のメンテナンスについて紹介します。
化粧スレート自体には透水性がないため、塗装メンテナンスを行わなくても雨漏りすることはありません。
化粧スレート屋根としては、スレート屋根が2枚重ねもしくは3枚重ねとなっており、重なりで雨の浸入を防いでいます。
表面1枚のスレートにヒビ割れが発生しても、その下にはもう1枚のスレートがあるため、雨漏りしない構造です。
ただし、屋根の紫外線は強く、塗装品であるため10年程度で退色し、コケも目立つようになります。
美観が低下するため、10年毎の塗装メンテナンスが一般化されています。
10年毎に塗装メンテナンスを行っても、行わなくても化粧スレートの寿命は30年程度のため、美観を気にしなければ、塗装メンテナンスを行わない選択肢もあります。
30年で葺き替えかカバー工法の大規模改修が必要で、それ以上すると雨漏りが発生するリスクが高まります。
化粧スレート屋根のメンテナンスについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
スレート屋根に防水塗料を塗装する効果は?費用や塗装手順を徹底解説
トタン屋根が向いている住宅とは?
トタン屋根が向いている住宅はありません。
価格はもっとも安価ですが、錆びが発生しやすいのでコストパフォーマンスが悪いからです。
トタン屋根の軽い、緩勾配でも施工できるなどのメリットを評価される方は、トタン屋根ではなく、ガルバリウム鋼板屋根を採用しましょう。
トタン屋根よりは少し材料費が上がりますが、コストパフォーマンスはガルバリウム鋼板屋根の方がはるかに高いです。
ガルバリウム鋼板屋根は屋根材同士の隙間が少ないので、緩勾配屋根や自然環境の厳しい豪雨地域、寒冷地域に適しています。
化粧スレート屋根が向いている住宅とは?
化粧スレートが適している住宅は新築時の価格をもっとも安くしたい住宅に向いています。
狭小地などの屋根の表面が地上から見えない立地で、塗装の退色やコケなどの美観が低下しても気にならないと思います。
そのような立地であれば、塗装メンテナンスを行わない前提も成り立ちますので、コストパフォーマンスは向上します。
塗装によるカラーバリエーションや洋風住宅などのデザインを重視した住宅にも向いています。
【まとめ】一番安い屋根材はトタン屋根や化粧スレート屋根
一番安い屋根材はトタン屋根と化粧スレート屋根となります。
しかし、これは新築時の価格の話であり、35年住み続ける間の価格はメンテナンス費がかさみ、高額となってしまうのでご注意ください。
また、現在では、トタン屋根の軽い、緩勾配でも施工できるなどのメリットを評価される方は、トタン屋根ではなく、ガルバリウム鋼板屋根を採用することが一般的です。
トタン屋根よりは少し材料費が上がりますが、コストパフォーマンスはガルバリウム鋼板屋根の方がはるかに高いからです。
化粧スレートが適している住宅は新築時の価格をもっとも安くしたい方に向いています。
ただし、住宅は購入を検討している時間よりも住んでからの方が圧倒的に長いので、新築時よりも35年トータルで選ぶことも大切な要素です。
新築時、屋根に関して建築会社から詳しい説明がない場合が多いので、屋根に詳しい専門業者に相談することをオススメします。
神清からのお願い
記事を最後まで読んでいただきありがとうございます。
お客様の率直な感想をいただくため「役にたった」「役に立たなかった」ボタンを設置しました。
私たちは、日々屋根にお困りのお客様にとって必要な情報をお伝えしたいと考えております。今後のご参考にさせて頂きますのでご協力よろしくお願いいたします。