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スレート屋根に使う防水塗料とは?
スレート屋根に使う防水塗料はどんなものか考えてみました。
そもそも防水塗料とは特定の種類の塗料やカテゴリーを指す言葉ではありません。
防水性の高い塗料やヒビ割れに追随できる弾性塗料のことを一般に「防水塗料」と呼んでいます。
その表面に連続した防水層を形成することで雨漏りを防ぐ仕様となっている陸屋根や屋上で使用されています。
あなが開きにくい厚みのある防水性の高い塗料や建物のわずかな動きにも追随できる弾性の高い塗料などです。
スレート屋根は傾斜のある屋根に使用されるため、上記のような防水塗料はあまり使われません。
スレート屋根の塗装では一般的な塗料を使用することが多いです。
ここでは、一般的な塗料も塗膜がしっかりしている間は防水性があるため、防水塗料として解説します。
防水塗料で塗装することで得られる効果
スレート屋根を防水塗料で塗装することで得られる効果は主に3つあります。
- 美観の向上
- 撥水性の向上
- 屋根材の保護
スレート屋根を塗装する効果は何と言っても美観の向上です。
スレート屋根の表面は10年程度で色あせやコケの発生で汚れたように見えます。
また、塗装された表面は塗料により撥水性が向上します。
撥水性が向上するとスレート本体が水分を吸いにくくなるため、吸水膨張・乾燥収縮の繰り返しが軽減し屋根材の保護につながります。
スレート屋根に塗装が必要な3つの理由について詳しくはこちらの記事で解説しています。
スレート屋根に塗装が必要な3つの理由とは?屋根屋が詳しく解説します
スレート屋根は防水塗料で塗装しなくても雨漏りしない
スレート屋根はセメント・骨材等に繊維素材を混ぜて作った薄い板であるため、それ自体に防水性能があります。
また、スレートは製造メーカーによって異なりますが、水分を8~20%程度含む特徴があります。
工場で生産されたときに塗装された塗料は、表面からの水分をはじく効果があります。
塗料は経年で劣化し、水分をはじく効果が低下するとスレートの表面からも水分を吸うようになります。
しかし、スレート屋根を塗装しなくても、雨漏りは発生しません。
スレート屋根は2枚重なり以上となっており、スレートの重なりで雨漏りを防いでいます。
「スレート屋根を塗装しないと雨漏りする」と書かれた記事も多いですが、これは正しくありませんので、ご注意ください。
撥水性が落ちると表面からは水分を吸いやすくなりますが、その下にはもう1枚スレートがあるため、じわじわと吸水して防水シート・野地板(のじいた)まで到達して雨漏りにつながることはありません。
何かの不具合でスレート屋根の屋根下地である野地板まで到達すると雨漏りにはなりますが、それは塗装では直らない別の原因がありますので「塗装で雨漏りが止まる」という業者にはだまされないようにしてください。
野地板(のじいた)について詳しくはこちらの記事で解説しています。
スレート屋根にオススメの防水塗料
標準的な住宅ですと、外壁も塗装品(窯業系サイディング)が使用されていますので、スレート屋根の塗装だけを考えるのではなく、建物全体のメンテナンス計画に合う耐用年数の塗料をオススメします。
これは、屋根の塗装でも足場が必要ですし、外壁の塗装でも足場が必要ですし、外壁のシーリングでも足場が必要だからです。
外壁シーリングのメンテナンスと同じタイミングで塗装を行うことで足場代を節約できるため、スレート屋根は高耐久で高価な塗装よりもシリコン塗装がオススメとなります。
塗料の種類 | 費用目安 |
---|---|
ウレタン | 25,000~70,000円 |
シリコン | 30,000~80,000円 |
フッ素 | 80,000~160,000円 |
無機 | 100,000~240,000円 |
屋根塗装の色選びについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根塗装の色選びポイントとは?オススメの5つの見本を紹介します
防水塗料の塗装に必要な費用
一般的な2階建てのスレート屋根の場合(塗り面積が60~80㎡程度)は、シリコン塗料で40~60万円程度(30坪前後の大きさの建物)です。
ただし、屋根の塗装と言っても、塗装の種類、屋根材の種類や劣化状態、建物の立地、大きさや形状などによって変わってきます。
弊社の屋根塗装の費用について詳しくはこちらで解説しています。
スレート屋根の塗装に最適な時期
スレートの塗装に最適な時期は、新築から10年を目安に考えておきましょう。
一度塗装を行った屋根の塗り替え時期は、塗装時の塗料の種類によって変わります。
屋根は外壁に比べて、塗料が劣化しやすい環境ですので、耐用年数も短くなっています。
塗料代が高いほど耐用年数は長くなりますが、費用対効果は別とお考えください。
塗料の耐用年数ですので、スレート屋根として耐用年数ではありません。
塗料の耐用年数が過ぎても、美観が低下するだけとなります。
また、塗装時の施工内容によっても異なりますので、目安とお考えください。
スレート屋根の塗料の耐用年数の目安を紹介します。
塗料の種類 | 塗装の耐久年数 |
---|---|
ウレタン | 約4~6年 |
シリコン | 約5~7年 |
フッ素 | 約7~10年 |
無機 | 約10~15年 |
スレート屋根のメンテナンスについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根修理はいつする?スレートのメンテナンス時期や方法を徹底解説
スレート屋根の塗装手順
スレート屋根の塗装の手順を紹介します。
- 高圧洗浄
- 下地調整
- 下塗り
- 中塗り
- 上塗り
- 縁切り
それぞれについて簡単に解説します。
①高圧洗浄
スレート屋根は経年でコケや藻、土ぼこり、汚れが表面に付着しています。
高圧洗浄でスレート屋根の表面をきれいにすることが塗装を長持ちさせることにつながります。
②下地調整
スレート屋根はヒビ割れ・破損が発生しやすい屋根材です。
塗装する前に、ヒビ割れ・破損の補修を行います。
棟・けらばは板金仕様となっていますので、板金部分のケレンやくぎ抜けの補修も行います。
③下塗り
スレート屋根の表面に塗料が密着するように下塗りとなるシーラーを塗布します。
板金部分はサビ止めを塗布します。
④中塗り
細かい部分はハケ塗りをして、ローラーで塗ります。
⑤上塗り
細かい部分はハケ塗りをして、ローラーで塗ります。
⑥縁切り
翌日以降で、スレート屋根の上下の重なり部分で塗料が密着している箇所をカッター、皮スキなどで塗料をカットして縁切りします。
縁切りを行わないと後で雨漏りが発生しますので必須です。
屋根塗装の素材ごとの方法や手順について詳しくはこちらの記事で解説しています。
防水塗料を塗装した後の縁切りの重要性
防水塗料を塗装した後、スレート屋根は縁切りを行うことが重要です。
上下の重なり目でスレート屋根同士が塗料で貼り付いて隙間をなくしてしまいます。
スレート屋根の横方向の継ぎ目からスレートの裏側へ浸入した雨水は、上下の重なり目で排水されずに溜まってしまいます。
溜まっている部分には、スレートを留めているくぎがあります。
くぎからの伝い水となって、防水シート・野地合板へと浸入して、やがて、雨漏りとなります。
縁切りを行わないとスレート屋根を長持ちさせるための塗装がかえって雨漏りのリスクや屋根の短命につながるリスクを高めるのでご注意ください。
スレート屋根の縁切り作業の動画をご覧ください。
塗装の縁切り不足について詳しくはこちらの記事で解説しています。
スレート屋根の雨漏り 3大原因の1つ「塗装の縁切り不足」をご紹介。
スレート屋根の気をつけておきたい劣化症状
気をつけておきたいスレート屋根の劣化症状を紹介します。
●スレート屋根のヒビや欠け
●スレート屋根の色あせ
●スレート屋根の反り
●コケの繁殖
劣化症状が見られた場合は、早めに対処することで雨漏りの防止や屋根材の長持ちにつながります。
【まとめ】屋根は防水塗料で長持ちさせよう
一般的な塗料も塗膜がしっかりしている間は防水性があるため、スレート屋根の塗装では一般的な塗料を使用することが多いです。
スレート屋根を防水塗料で塗装することで得られる効果は主に3つあり、特に美観の向上には役立ちます。
外壁シーリングのメンテナンスと同じタイミングで塗装を行うことで足場代を節約できるため、スレート屋根は高耐久で高価な塗装よりもシリコン塗装がオススメとなります。
スレートの塗装に最適な時期は、新築から10年を目安に考えておきましょう。
劣化症状が見られた場合は、早めに対処することで雨漏りの防止や屋根材の長持ちにつながります。
屋根・雨漏りに関してお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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