目次
スレート屋根に塗装が必要な3つの理由
スレート屋根は、セメント・骨材に繊維素材を混ぜて薄い板状に加工し、表面を塗装した屋根材のことです。
スレート屋根の種類は大きく2つあり、工場や倉庫で使用されている大波スレートと住宅で使用されるカラーベスト・コロニアルと呼ばれている化粧スレートがあります。
新築後、ある程度経過すると塗装メンテナンスが必要と言われています。
スレート屋根の塗装が必要と言われる3つの理由について紹介します。
- 美観の向上
- 撥水性(はっすいせい)の向上
- 屋根材の保護
次の章から詳しく解説していきます。
【スレート屋根に塗装が必要な理由】①美観の向上
スレート屋根に塗装が必要な理由として、美観の向上があります。
スレート表面の塗装が劣化して変退色したり、撥水性が低下してカビやコケが発生してしまうと、見た目の印象に大きく悪化してしまいます。
特に、屋根が退色していると建物全体が劣化している印象となります。
塗装前後の写真をご覧ください。
●スレート屋根の塗装前
●スレート屋根の塗装後
【スレート屋根に塗装が必要な理由】②撥水性の向上
スレートはセメント・骨材等に繊維素材を混ぜて作った薄い板であるため、それ自体に防水性能があります。
また、スレートは製造メーカーによって異なりますが、水分を8~20%程度含む特徴があります。
工場で生産されたときに塗装された塗料は、表面からの水分をはじく効果があります。
塗料は経年で劣化し、水分をはじく効果が低下するとスレートの表面からも水分を吸うようになります。
スレート表面から雨水を吸水するようになるとコケやカビが発生しやすくなります。
それを防ぐためにスレート屋根の塗装が必要となります。
スレート屋根を塗装しなくても、雨漏りは発生しません。
スレート屋根は2枚重なり以上となっており、スレートの重なりで雨漏りを防いでいます。
「スレート屋根を塗装しないと雨漏りする」と書かれた記事も多いですが、これは正しくありませんので、ご注意ください。
撥水性が落ちると表面からは水分を吸いやすくなりますが、その下にはもう1枚スレートがあるため、じわじわと吸水して防水シート・野地板(のじいた)まで到達して雨漏りにつながることはありません。
何かの不具合でスレート屋根の屋根下地である野地板まで到達すると雨漏りにはなりますが、それは塗装では直らない別の原因がありますので「塗装で雨漏りが止まる」という業者にはだまされないようにしてください。
野地板という大事な屋根の下地について詳しくはこちらの記事で解説しています。
【スレート屋根に塗装が必要な理由】③屋根材の保護
一般的なスレート屋根の寿命は25~30年程度と言われています。
これはスレート自体がボロボロになると言うわけではなく、スレートの下にある防水シートの寿命から判断されています。
そのため、スレート屋根を塗装しても寿命は延長せず、30年程度で葺き替え・カバー工法などのメンテナンスが必要です。
初期の塗装は10年程度で撥水性が切れてしまいます。
スレートの表面から吸水・乾燥を繰り返すようになるとスレート自体に反りが発生しやすくなり、踏み割れの原因にもなります。
スレート自体の反りを進行させないようにするには、スレートを塗装することが有効です。
スレート屋根の塗り替え時期
スレート屋根の塗装を検討すべき時期は、新築の建物であれば一般的に10年程度であると言われています。
一度塗装を行った屋根の塗り替え時期は、塗装時の塗料の種類によって変わります。
屋根は外壁に比べて、塗料が劣化しやすい環境ですので、耐用年数も短くなっています。
塗料代が高いほど耐用年数は長くなりますが、費用対効果は別とお考えください。
塗料の耐用年数ですので、スレート屋根として耐用年数ではありません。
塗料の耐用年数が過ぎても、美観が低下するだけとなります。
また、塗装時の施工内容によっても異なりますので、目安とお考えください。
スレート屋根の塗料の耐用年数の目安を紹介します。
塗料の種類 | 塗装の耐久年数 |
---|---|
ウレタン | 約4~6年 |
シリコン | 約5~7年 |
フッ素 | 約7~10年 |
無機 | 約10~15年 |
屋根塗装の耐用年数について詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根塗装の耐用年数はどれくらい?知っておきたい3つの注意点とは?
屋根の塗装費用の相場
一口に屋根の塗装と言っても、塗装の種類、屋根材の種類や劣化状態、建物の立地、大きさや形状などによって変わってきます。
一般的な2階建てのスレート屋根の場合(塗り面積が60~80㎡程度)は、40~60万円程度を目安とお考えください。(30坪前後の大きさの建物)
屋根の塗装の費用相場について詳しくはこちらの記事で解説しています。
スレート屋根にオススメの塗料
スレート屋根の塗料の耐用年数と塗料代の目安を一覧に示します。
塗料の種類 | 屋根の塗料耐久年数 | 費用目安 |
---|---|---|
ウレタン | 約4~6年 | 25,000~70,000円 |
シリコン | 約5~7年 | 30,000~80,000円 |
フッ素 | 約7~10年 | 80,000~160,000円 |
無機 | 約10~15年 | 100,000~240,000円 |
標準的な住宅ですと、外壁も塗装品(窯業系サイディング)が使用されていますので、屋根の塗装だけを考えるのではなく、建物全体のメンテナンス計画に合う耐用年数の塗料をオススメします。
これは、屋根の塗装でも足場が必要ですし、外壁の塗装でも足場が必要ですし、外壁のシーリングでも足場が必要だからです。
足場代は高額なため、なるべく足場が必要な工事は併せて行いましょう。
上記3つの中で、雨漏りに関係するのは外壁のシーリングのため、外壁シーリングの耐用年数以下の塗料を選ぶことが塗料代を抑えることにつながります。
そのため、シーリングの寿命が約8~13年のため、オススメはシリコン塗装となります。
余りハイスペックの塗料は塗料代がもったいないので、オススメしていません。
また、2階部屋が暑く、遮熱性能を求める方は白系の色で塗装することをオススメします。
塗装の間違った施工は雨漏りや塗料の剥がれにつながる
塗装は間違った施工・手抜き施工を行うと、雨漏りの原因となってしまったり、塗料の耐用年数前に浮きやはがれが発生して、再塗装が必要となる可能性があります。
塗装作業における注意点やチェックポイントを紹介します。
- 塗装前にしっかりと屋根の汚れを落とす
- 塗る面積に適した塗料の量が塗装する
- 下塗り・中塗り・上塗りの工程ごとの乾燥時間を確保する
- 適切に調色や希釈を行う
現場に届いた作業前の塗料の量の確認や作業中の残量の確認をして、手抜き施工を未然に防ぎましょう。
塗装したスレート屋根の縁切りの重要性
「縁切り」とは、住宅用のスレート屋根を再塗装したときに、スレート同士の上下の重なり部分が塗料で貼り付くことを防ぐために、塗料が完全に乾く前にカッターなどを差し込んで、塗料を切ってやることです。
縁切りをしないと屋根材の中に浸入した雨水が排水する経路がなくなり、雨漏りする原因となります。
雨漏りしていなかった屋根が塗装後数年で雨漏りし出すのは、この縁切り不足が原因で、スレートが雨漏りする原因の代表例です。
また、塗装業者によっては、縁切りをする手間を惜しんで、予め、スペーサーをスレートの上下の重なりに差し込んで、縁切りの代わりとする業者がいます。
しかし、スペーサーはスレート製造メーカーが踏み割れの原因になるため、使用禁止をうたっていますので、ご注意ください。
見積書に〇〇スペーサーと記載してある場合がそれにあたりますので、スペーサーではなく、縁切りするように依頼しましょう。
くれぐれもスレート屋根を塗装メンテナンスしたために、雨漏りや踏み割れの不具合が発生する最悪なケースは避けるようにしてください。
スレート屋根の縁切りについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
【まとめ】スレート屋根は塗装で美観が向上します
スレート屋根の塗装が必要と言われる3つの理由について紹介しました。
その中でも、もっとも効果があるのは、美観の向上です。
屋根が退色していると建物全体が劣化している印象となるからです。
スレート屋根を塗装しても寿命は延長せず、30年程度で葺き替え・カバー工法などのメンテナンスが必要ですので、あまり、高グレードはオススメしていません。
塗装は間違った施工・手抜き施工を行うと、雨漏りの原因となってしまったり、塗料の耐用年数前に浮きやはがれが発生して、再塗装が必要となる可能性があります。
また、縁切りしないとスレート屋根を塗装メンテナンスしたために、雨漏りや踏み割れの不具合が発生してしまうので、縁切りは必須です。
屋根に関してお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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