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雨漏りを防ぐルーフィングとは?
ルーフィングとは屋根材の下に敷く防水シートのことで、雨水を屋根内(屋根裏)に入れず外(軒先)に流す役割を果たしています。
屋根構造の主要な部材(屋外側から、屋根材、ルーフィング、野地板(のじいた)、垂木(たるき)の中の1つです。
屋根材の隙間から浸入した雨水が野地板・垂木を濡らしたり、室内へ雨漏りさせないための防水シートとなります。
防水シートであるルーフィングは屋根材を留め付けするくぎやビスが貫通したり、ルーフィング自体を野地板に留め付けるステープル(タッカー/ホッチキスの針)が貫通したりしているので、それらの貫通孔から漏水しないような性能が求められています。
ルーフィングについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
ルーフィングの劣化は雨漏りの原因となる
ルーフィングが破けてしまうと雨漏りの原因となります。
ルーフィングは屋根材下に浸入してしまった雨を防ぐことができますが、逆に屋根材が劣化していなくても、ルーフィングが破けている場合は、強風雨で浸入してきた雨水はルーフィングの破れ部分から野地板、室内へと伝わり、雨漏りへと発展してしまうリスクがあります。
ルーフィングが原因で起こってしまう雨漏りについて、主要な3つの原因について紹介します。
- 経年劣化
- 屋根材の問題
- 雨仕舞い
次の章から詳しく解説していきます。
【ルーフィングが原因の雨漏り】①経年劣化
ルーフィングには寿命があり、年数を重ねれば重ねる程、劣化していきます。
屋根は直射日光があたるため、最高温度では約80℃ぐらいになる厳しい環境です。
1日の温度差は25℃から80℃と約45℃と大きく、毎日の温度差でルーフィングは伸び縮みを繰り返しています。
高温による熱劣化も加わり、ルーフィングの貫通孔(くぎ、ビス、ステープルなど)は経年で大きくなる劣化が起こるのです。
ルーフィング上を流れる雨水は大きくなった孔から伝わり、雨漏りの原因となります。
また、ルーフィングは屋根材と野地板の間に入っているので、簡単に点検することはできません。
屋根裏から雨漏りが発生していないか、点検することが有効となります。
【ルーフィングが原因の雨漏り】②屋根材の問題
屋根材に不具合が発生すると、想定外の雨水がルーフィング上を流れるようになってしまいます。
ルーフィング上に溜まる箇所があるとそこから雨漏りが発生するリスクとなります。
地震・台風などにより屋根材が破損・脱落し、ルーフィングが暴露してしまうとルーフィングの紫外線劣化や直接雨風が入り込むことによる劣化が生じます。
屋根材の問題はルーフィングの劣化を促進させるにつながります。
屋根材の破損はルーフィングの交換も必要となる可能性が高いです。
【ルーフィングが原因の雨漏り】③雨仕舞い
「雨仕舞い/あまじまい」とは、陸屋根のように全面に連続した防水層がなくても雨漏りしないようにする工夫のことです。
例えば、傾斜屋根において、ルーフィングは連続した防水層ではなく、ルーフィングを100~200mm程度重ねること(水下側の上に水上側の端部を重ねる)で雨水が浸入することを防いでいます。
このような工夫のことを雨仕舞いといい、ルーフィングの各部納まりで活用されています。
屋根の周辺部(軒先、けらば、棟)や雨漏りしやすい谷部、壁際部、天窓部などでは、ルーフィングを2重に重ねるなどした雨仕舞いが必要です。
正しい雨仕舞いを行わないと雨漏りリスクが高まります。
ルーフィングの劣化を確かめる方法は?
ルーフィングの劣化は屋根材の上や野地板の下から見てもルーフィングを見ることができず、劣化の状況を確認できません。
屋根材をはがして、ルーフィングを確認することは可能ですが、点検としては異例な方法となります。
そのため、ルーフィングの劣化は雨漏りなどの不具合が発生して、はじめて確認することができます。
ルーフィングのメンテナンス
一般的なアスファルトルーフィングであれば、寿命は約15~30年程度と言われています。
ルーフィングを修繕するときは屋根材を剥がさないといけないため、屋根材の寿命とルーフィングの寿命を併せることがリーズナブルとなります。
屋根材の葺き替え工事のタイミングでルーフィングも張り替えしてしまうことがオススメです。
現在、アスファルトルーフィング系の中では改質アスファルトルーフィングの寿命が30年と言われています。
スレート、アスファルトシングル、ガルバリウム鋼板屋根などの寿命と言われている30年と一致するので相性はいいです。
また、瓦屋根は部分的に瓦をめくってルーフィングを補修することが可能ですので、瓦60年の寿命に合致していなくても改質アスファルトルーフィングが標準に使用されます。
また、透湿ルーフィングは寿命が50年以上のものがあり、瓦屋根には適しています。
アスファルトルーフィング系の中で、アスファルトルーフィング940は15~30年が寿命のため、25~30年経過したスレート、アスファルトシングル、ガルバリウム鋼板屋根などは再塗装のメンテナンスではなく、葺き替えかカバー工法を行い、ルーフィングの更新が必要です。
次の章ではルーフィングの種類について、詳しく解説しています。
雨漏りを防ぐルーフィングの種類
雨漏りを防ぐルーフィングの種類は大きく分けると2種類です。
「透湿系」と「非透湿系」の2種類に分類されます。
●透湿系
湿気は通すが水は通さないという機能があります。
衣類などでも最近はよく見かけるものですが、高機能なため、その分価格も少し高めです。
材料価格:500~円/㎡、50,000~円/1棟となっています。
●非透湿系
とにかく、水を通さないというものです。
材料の耐久性によって、価格も様々です。
材料価格:200~円/㎡、20,000~円/1棟となっています。
高級なものでは、改質アスファルトルーフィングがあり、30年持つと言われています。
ルーフィングの種類別メリットとデメリットについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
【新築時に役立つ】ルーフィング種類別メリット・デメリットを屋根プロが徹底比較しました!
ルーフィングの貼り方
ルーフィングの貼り方に、「ステープル(タッカー)で止める方法」と「粘着型のルーフィングを使用する方法」と大きく2つの修理があります。
「ステープル(タッカー)で止める方法」とは、ステープル(タッカーと)呼ばれるホッチキスのような道具で下地の木材にルーフィングを針で留め付けることです。
基本的にはステープル(タッカー)針でルーフィングを貫通する無数の孔が開くことになります。
ステープル(タッカー)はあくまでも、屋根材を留める間の仮留めとなるので、たくさんの孔を開けないことがオススメです。
一方で、「粘着型のルーフィングを使用する方法」は、ルーフィングに初めから粘着材が片面に取り付けられているものです。
はく離紙をはがしてシールのように貼り付けるだけで、ステープル(タッカー)を使用することはなく、あなが開きません。
また、カバー工法では硬い屋根材の上の貼ることができ、粘着型のルーフィングがよく使用されています。
粘着型のルーフィングは雨漏りリスクも小さくなりますが、その分費用も高くなります。
【まとめ】ルーフィングは雨から家を守る生命線
ルーフィングは屋根材の隙間から浸入した雨水が野地板・垂木を濡らしたり、室内へ雨漏りさせないための防水シートとなります。
どんな屋根材でも住宅用ではルーフィングなしの仕様はなく、ルーフィングは雨から家を守る生命線となっています。
ルーフィングの寿命はアスファルトルーフィングで15年、改質アスファルトルーフィングで30年、透湿ルーフィングで50年となっているので、屋根材選びと同様にルーフィング選びも重要です。
屋根材をいくら塗装しても、ルーフィングの寿命が来ていると屋根としては、ルーフィングのメンテナンスを含めた葺き替えやカバー工法が必要となります。
屋根についてお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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