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ALC3階建て・陸屋根の雨漏りの原因と修理費用の相場をご紹介します。
ALC3階建て・陸屋根の建物で、雨漏り修理の依頼をよくいただきます。
伺ってみると、なかなか直らない雨漏りが多いです。
別の業者さんが行ったと思われる、シーリング処理した形跡が必ずと言っていいほどあります。
雨漏り現場のなかでは、むずかしい建物の分類に入ります。
この記事では、一般的な雨漏り原因とその修理費用の目安をご紹介します。
ALC3階建て・陸屋根は雨漏りが多いです。
ALC3階建て・陸屋根とは、下の写真のような建物です。
なぜ、雨漏りが多いのでしょうか?
①建物全体が雨掛かりするから。
建物の形状がキューブ型で、建物全体が雨掛かり(あまがかり)するからです。
上の写真を見ても、屋上、外壁、サッシ周り、バルコニーとすべて、雨を直接受けます。
和風住宅であれば、
・傾斜屋根の軒の出(のきので)
・窓上のひさし
などが、壁と窓をおおって、かさのように雨から守っているからです。
一方、ALC3階建て・陸屋根の建物はかさがないので、それぞれの防水材料(シーリング・防水シートなど)で雨漏りを防いでいます。
その防水材料が劣化して、穴が開くと雨漏りとなります。
②ALC外壁は表面が防水層だから。
ALC外壁は表面が防水層となっています。
雨が表面の防水層(ALC本体、シーリングなど)を突破すると、室内へ入ってしまいます。
サイディングであれば、表面を突破されても、通気層の中に防水シートが入っていて、下から排水される構造となっているからです。
一方、ALC外壁は下から排水する構造となっていないので、表面の防水層(ALC本体、シーリングなど)が劣化すると雨が入ってしまい、雨漏りとなります。
③陸屋根は表面が防水層だから。
陸屋根は屋根材がなく、表面が防水層となっています。
瓦などの屋根材に比べて、防水層は劣化が早いです。
防水層が劣化して、穴が開くと雨漏りとなります。
なぜ、雨漏りが直らないのでしょうか?
①3階建ての雨漏り調査はむずかしい。
2階建てと3階建てでは、雨漏り調査の難易度が大幅に異なります。
3階の外壁は、足場を組まないとしっかりした調査ができません。
調査だけでも、大幅に費用が掛かってしまうことになり、実際には、足場を組まずにやれるところだけで調査する場合が多いです。
②浸入原因となり得る箇所が多いから。
浸入原因となり得る箇所が多いからです。
・屋上防水層
・屋上排水口
・笠木
・ALC外壁本体
・ALC外壁の目地のシーリング
・サッシ周りのシーリング
など、本命となり得る箇所が多く、その面積も大きいです。
雨漏り原因を見つけることは、その分、むずかしくなります。
③通常のメンテナンスでは、直らない場合があるから。
通常のメンテナンス(外壁塗装、屋上防水)では、雨漏りが直らない場合も多々あります。
雨漏りの原因が通常のメンテナンスと異なる場所の場合、当然、雨漏りは止まりません。
メンテナンス業者さんが、雨漏りに詳しくなく、雨漏り調査もせず、「メンテナンスをすれば、雨漏りは止まります。」と行ってしまう場合です。
足場も組んで、メンテナンス費用も大幅なものとなりますので、お客様は、それ以上の追加費用は出せない状況です。
その業者が雨漏りを直せなくても、他の業者へ依頼することもできなくなり、直らない雨漏りとなってしまいます。
雨漏りの原因はこれです。
いくつか、代表的な雨漏り原因をご紹介します。
①防水層に穴が開いている。
防水層に穴が開いたら雨漏りします。
シート防水に穴が開いたら、雨漏りに直結します!
②排水口の中に、き裂が開いている。
屋上には、降った雨を排水するためのドレン(排水口)があります。
ドレンの詰まりやドレン周辺部の防水層の劣化などは、雨漏りの原因となります。
③笠木(かさぎ)の下の防水層に不具合がある。
笠木下部の防水層の施工によっては、雨漏りすることがあります。
笠木の下は、笠木を外さないと見ることはできません。
通常のメンテナンスでは、笠木を外すことはありません。
笠木に問題のある雨漏りは、なかなか直らない雨漏りとなる場合があります。
シート防水がパラペットの幅よりも短く、防水層が不足していると、ALCの目地内へ雨水が入り込むことがあります。
また、笠木の取付方法によっても、雨漏りすることがあります。
笠木には、手すり付きのタイプもあります。
その付け根から雨水が浸入することもあります。
手すりの付け根から雨水が浸入することで、その下にある金具や留め付けねじの貫通孔からシート防水を突破して、雨漏りすることもあります。
④屋上の塔屋に劣化がある。
屋上の塔屋からの雨漏りすることもあります。
屋上の塔屋はもっとも風雨をうける場所です。
劣化もしやすいので、塔屋からの雨漏りも要注意です。
⑤ALC外壁にひび割れがある。
ALC外壁のクラックが貫通していると、雨漏りの原因となります。
陸屋根は、軒の出がないので、壁からの雨漏りも多いです。
ALC3階建て・陸屋根の雨漏り修理費用はどれくらいかかるのでしょうか?
ALC外壁・陸屋根の雨漏り修理費用の目安を下表にまとめました。
項目 | 修理内容 | 金額 | 単位 |
---|---|---|---|
屋上修理 | 防水工事 | 7,500円~ | /㎡ |
外壁修理 | シーリング工事 | 900~1,200円 | /m |
外壁修理 | 塗装工事 | 2,000円~ | ㎡ |
笠木修理 | 脱着工事 | 10,000円~ | /m |
(足場費用は除く)
屋上防水とは?
陸屋根は屋根の表面に防水層をほどこすことで、雨漏りをふせいでいます。
ほとんど水平な屋根なので、雨が溜まりやすくなっています。
防水層に穴が開いてしまうとすぐに、雨漏りに直結します!
屋上防水は、いくつかの種類があります。
種 類 | 特 徴 | メンテナンス |
---|---|---|
塩ビシート防水 | 塩化ビニル樹脂系のシート状の材料を接着剤等で固定します。伸縮性に富むため、建物の変形に対する追従性が良い材料です。 | 耐用年数は約13年。耐候性・耐久性が高いので、防水層の一般的な保護塗装が不要です。接着部分から防水性能が弱まる可能性があります。 |
アスファルト防水 | アスファルトシートを貼り重ね、防水層を作る工事方法です。フラットではないため、歩行しないところに施工します。 | 耐用年数は約13年。再度、アスファルト防水を張り替えて補修します。 |
ウレタン防水 | 液状のウレタン樹脂を塗って、ゴム状の弾性のある防水層を作ります。障害物があるような場所に向いて、表面には継ぎ目が発生しません。 | 耐用年数は約10年。防水層を改修する際にも塗り重ねるだけでよく、広く使用されている防水材です。 |
防水層の種類にもよりますが、込み込みですと、約8,000~12,000円/㎡と意外と高いメンテナンス費がかかります。
既存の屋上防水の状態によって、適した補修方法も異なります。
防水材料によって、費用も異なりますので、目安とお考えください。
どんな防水材料も必ず劣化しますので、定期的なメンテナンスが必要となります。
また、建物の頂上で、太陽光を全開に浴びるため、陸屋根の防水層は紫外線劣化しやすい環境と言えます。
10年~15年で、防水層の全面改修を行う必要があります!
傾斜屋根の場合は、屋根材の表面が多少劣化しても、すぐに雨漏りにはなりませんが、陸屋根は防水層がいのち!なのです。
防水層のメンテナンス費がかかることは採用時に、覚悟してください!
パラペット・笠木とは?
陸屋根と外壁の境界は、パラペットになっていることが多いです。
(パラペットとは、建物の屋上、屋根、バルコニーの外周部の先端に設けられた低い立ち上がり部分の壁のことです。)
パラペットの上部まで、防水層がしっかりと覆われていることが基本です。
パラペットの頂点は、笠木でおおわれていて、パラペットの上部の劣化を防いでいます。
笠木はアルミ製のものやガルバリウム鋼板製のものがあります。
アルミ製の笠木は、パラペットの上部に浮いているのが、標準的な仕様です。
パラペットの上部は、防水層で完全に防水されていることが前提です。
雨は笠木の下に入り込んでも、そのまま排水されるという考え方です。
雨漏り修理では、パラペットの上面の防水処理を確実に行なわれていることを確認するために、笠木の脱着工事もおススメします。
ALC外壁とは?
ALC本体は、雨水が通過することはありません。
ALC本体のひび割れやジョイント部から、雨水が浸入します。
ALCのひび割れは、鉄骨下地の動きや振動などで発生することがあります。
雨漏り修理では、ひび割れやジョイント部、サッシ周りのシーリング処理が重要です。
まとめ:ALC3階建て・陸屋根の雨漏り修理は、雨漏り調査が必須です。
ALC3階建て・陸屋根の雨漏り修理は、その前に雨漏り調査が必須だとお考えください。
雨漏り調査がしっかりできる雨漏り修理業者へ依頼しましょう。
ALC3階建ては、足場費用がかなり高価となります。
メンテナンス時期の場合、まずは、雨漏り調査で原因を特定してから、メンテナンスを併せて、雨漏り修理することをおススメします。
弊社は、ALC3階建て・陸屋根の雨漏り調査・修理の経験は、豊富です。
雨漏りに関して、お悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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