屋根雨漏り調査を行ったときに、ときどきある事例です。
築10年未満の木造住宅でした。金属立平葺きの金属屋根でした。
夏にサッシの取付部から水滴が滴下するため、雨漏りではないかと調査しました。
上写真はサッシを取付しているビスから水滴が滴下した瞬間です。
2階室内には、天井がありました。
そこで、小屋裏を観察しました。
断熱は天井断熱ではなく、屋根垂木間に発砲系断熱材を入れ込んだ屋根断熱仕様でした。
断熱材(白色)を垂木に設置した金物で受け、野地合板と断熱材の間には通気層はありませんでした。
野地合板はほぼ全面が濡れた状態でした。
この写真は棟部です。野地合板に灰色のカビが発生していました。
鉄釘、ビスはかなり錆びが進行していました。亜鉛メッキビスは白錆が発生していました。
この物件は雨漏りではありませんでした。
夏型結露による結露水がサッシ上部から滴下したのが原因でした。
★結露のしくみ★
?天井面に断熱・防湿層がありません。
⇒室内の湿気および冷房で冷えた温度は小屋裏に伝わります。
?屋根断熱の下面に防湿層がありません。
⇒小屋裏の湿気や冷えた温度は断熱材と垂木の隙間から断熱材上部へ伝わります。
?屋根断熱上面と野地合板の間には、ほとんど空間はなく、軒先・棟にも排気用の開口部がありませんでした。
⇒断熱材上のわずかな空間に湿気が流入しても排出できません。
<pcolor=”#ff0000″ >?野地合板−断熱材間は昼間日射により野地合板が暖められ、高温・高湿となります。(金属屋根は野地合板と直接、接しているため、熱伝導が大きく、より高温になります。)
<pcolor=”#ff0000″> ⇒隙間からの対流で低温となる
<pcolor=”#ff0000″ >野地合板・断熱材部分や小屋裏側につながっている金物の熱橋による低温部分で、夏型結露が発生します。
?夜間、結露水は木材(野地合板・垂木)に吸水されます。
⇒昼間、また、放湿され、結露の発生を繰り返します。
近年、高気密・高断熱住宅になっています。
建物の構造・部材の選定により、夏型結露のリスクが高まっています。
また、断熱・防湿層の設計・施工ミス及び想定外の雨水浸入が発生しますとこのような腐朽劣化が発生する恐れがありますので、お施主様も建設中の現場をご確認ください。 (#⌒∇⌒#)ゞ
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