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屋根工事を足場なしで行うのは違法なの?
工事する建物が2階建てであれば屋根の高さは6〜8mの高さになり、足場なしでの屋根工事は、違法の可能性があります。
屋根工事の足場に関する法令としては、以下に関係しています。
労働安全衛生規則
(作業床の設置等)
第 5 1 8 条 事 業 者 は 、 高 さ が 2 メ ー ト ル 以 上 の 箇 所 ( 作 業 床 の 端 、 開 口 部
等 を 除 く 。 ) で 作 業 を 行 う 場 合 に お い て 墜 落 に よ り 労 働 者 に 危 険 を 及 ぼ
す お そ れ の あ る と き は 、 足 場 を 組 み 立 て る 等 の 方 法 に よ り 作 業 床 を 設 け
な け れ ば な ら な い 。
2 事 業 者 は 、 前 項 の 規 定 に よ り 作 業 床 を 設 け る こ と が 困 難 な と き は 、 防
網 を 張 り 、 労 働 者 に 安 全 帯 を 使 用 さ せ る 等 墜 落 に よ る 労 働 者 の 危 険 を 防
止 す る た め の 措 置 を 講 じ な け れ ば な ら な い 。
上記は厚生労働省が作成した労働安全衛生規則の引用ですが、高さ2メートル以上では足場の設置などの危険防止措置の必要性について記載されています。
1階屋根でも高さ2メートル以上となっています。
足場なしの屋根工事が違法になる基準はあるの?
屋根工事で求められている足場等の基準として、「作業を安全に行うための十分な広さ及び強度があるもの」と定義されて います。
また、「屋根勾配が6/10を超える場合に屋根足場の設置」が推奨されています。(足場先行工法に関するガイドライン:厚生できていあい省平成18年3月10日付の通達)
この2つから「作業を安全に行うための十分な広さと強度が確保できていない場合」と「屋根勾配が6/10を超える場合」に足場なしの屋根工事は違法になる可能性があります。
足場なしの屋根工事が違法ではない場合
足場なしの屋根工事であっても違法ではない場合について簡単に紹介します。
- 陸屋根や屋上などの屋根工事
- 高さが2m未満の屋根工事
- 梯子や脚立が使える屋根工事
陸屋根や屋上などは平らな屋根となり、手すりやパラペットが立ち上がっていると墜落の危険性がない場合は足場を設置する必要がありません。
1階屋根の軒先では、脚立に歩み板を入れて簡易な作業床を設けることで作業することができます。
違法ではなくても足場なしの屋根工事はオススメできない
違法ではなくても足場なしの屋根工事はオススメできません。
足場なしの屋根工事はオススメできない理由は以下の3つがあります。
- 足場がなければ安全に作業できないため
- 作業の品質が保てないため
- ご近所への配慮不足になってしまうため
足場がないと屋根の先端での作業は作業者に不安を与える可能性があります。
不安をいだくと作業の品質が低下してしまいます。
また、屋上まで上がるのに職人が家の中を入ることは家の中を汚してしまう可能性がでてきます。
昇降階段でもいいので、設置することが必要となります。
屋根修理に足場が必要な理由について詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根修理に足場が必要な3つの理由とは?費用相場や注意点も紹介
屋根修理のDIYも足場なしはオススメできない
屋根修理のDIYレベルであれば、足場がなくても問題ないように感じる方もいらっしゃると思います。
しかし、DIYであっても同様に足場なしはオススメできません。
理由として、先程と同様にDIYであっても安全確保の面、作業の質の面、ご近所への配慮が必要である点は変わらないのです。
DIYであっても、高所作業における足場の設置は、専門業者と同様に安全衛生法518条に当てはめて判断することが重要です。
わずかな屋根修理を命掛けで行うことは絶対にやめておきましょう。
足場なしの屋根修理のDIYについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根工事の足場の4つの種類
屋根工事で使用する足場の種類は主に4つあります。
- クサビ(ビケ)足場
- パイプ(単管)足場
- 単管ブラケット足場
- 屋根足場
以下、簡単に解説します。
①クサビ(ビケ)足場
現在主流となっているのは、クサビ(ビケ)足場です。
足を乗せる鋼板の幅が広いため、安全かつ楽な姿勢で作業ができます。
ハンマーでしっかり固定するため、大きな音が周囲に響いてしまうデメリットはありますので、事前に足場設置工事の挨拶を行いましょう。
組み立てや解体が簡単であるため、組み立て時間がそれほどかからないメリットがあります。
②パイプ(単管)足場
パイプ(単管)足場は、二本横に渡したパイプに乗って作業する足場です。
狭い場所でも設置できるメリットがあります。
しかし、作業中に転落するリスクがあるため、最近ではあまり見られなくなりました。
③単管ブラケット足場
単管ブラケット足場は、パイプにブラケットという金物を使用して作業板を設置する足場です。
ハンマーを使って固定するクサビ(ビケ)足場に対して、ブラケットのボルトを閉めながら組み立てていくのでしっかりします。
クサビ足場にくらべて、組み立て時間がかかるデメリットがあります。
④屋根足場
屋根の勾配が急な場合(6寸勾配以上)は、屋根面にも足場が必要です。
単管ブラケットを屋根面に組み立てます。
その単管パイプに足をかけて、屋根作業を行います。
急勾配の屋根では足場がないと作業できないので、ご注意ください。
単管足場の違法な取り付けに気をつけよう
足場なしの屋根工事は、違法であることを解説しました。
また、単管足場は設置していても、ピンなし単管やボンジョイントは、労働安全衛生法違反となります。
これらは工事中の事故が多発しているため、人が乗る場所には使用できません。
普通の足場業者に依頼すれば、違法な単管足場は使用していませんので、ご安心ください。
屋根工事の足場設置に必要な費用の相場
足場設置に必要な費用の相場は、「足場設置に必要な費用 = 足場架面積 × ㎡単価」で求められます。
足場の種類ごとの㎡単価の一覧表を紹介します。
足場の種類 | 費用目安 |
---|---|
クサビ(ピケ)足場 | 1,000~1,200円/㎡ |
パイプ(単管)足場 | 600~800円/㎡ |
単管ブラケット足場 | 800~1,000円/㎡ |
屋根足場 | 800~1,000円/㎡ |
具体的な例を用いて計算の方法を解説します。
では、足場架面積が180㎡の一戸建てにクサビ(ビケ)足場を設置する場合を計算してみます。
180㎡ × 1,000円/㎡ = 180,000円
足場架面積の求め方は、建物の外周の長さを求めることが可能です。
「足場架面積 = (建物の外周 + 8m) × 建物の高さ」で計算します。
建物の高さがわからない場合は、高さの目安は以下となります。
一階建ては4m、二階建ては6m、三階建ては9mとして計算すれば大外れはありません。
具体的な例を用いて計算の方法を解説します。
外周が22mの二階建ての建物の場合の足場架面積を計算してみます。
(22m + 8m) × 6m = 180㎡
屋根工事の足場費用を抑えるために必要なこと
屋根工事の足場費用を抑えるために必要なことを紹介します。
- 相見積もりを2社以上でとる。
- 外壁塗装や雨樋修理と同じタイミングで屋根工事を行う。
- 部分修理の場合、建物の全周に組まないように相談する。
屋根工事の足場費用を抑えるには、外壁塗装や雨樋修理と同じタイミングで行うことで、屋根工事の負担分を軽減することができます。
ただし、足場費用の負担を減らしたいと思っても、不要な工事をすることは本末転倒となります。
建物全体のメンテンナンス計画を把握して、検討しましょう。
【まとめ】足場なしの屋根工事は違法の可能性がある
工事する建物が2階建てであれば屋根の高さは6〜8mの高さになり、足場なしでの屋根工事は、違法の可能性があります。
また、足場なしの屋根工事であっても違法ではない場合について簡単に紹介しました。
- 陸屋根や屋上などの屋根工事
- 高さが2m未満の屋根工事
- 梯子や脚立が使える屋根工事
屋根修理のDIYレベルであれば、足場がなくても問題ないように感じる方もいらっしゃると思いますが、DIYであっても同様に足場なしはオススメできません。
わずかなDIY屋根修理を命掛けで行うことは絶対にやめておきましょう。
屋根工事の足場費用を抑えるために必要なことを紹介しました。
屋根工事には足場は費用を考えて、建物トータルのメンテンナンス計画を立てて、足場を設置する回数を減らすことをオススメします。
屋根・雨漏りに関してお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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