どんな屋根勾配がいいの?
先日、お客様から新築した屋根の防水シートのご相談をいただきました。
お話の中で、「雨漏りが心配なので、屋根勾配を7寸にしました!」と発言がありました。
新築されているので、何もお伝えしなかったのですが、
本当は、6寸勾配以下をおススメしたかったです。
屋根屋が考える屋根勾配について、ご紹介します!
屋根勾配の違いにより、劣化リスクも変ります!
屋根勾配の違いによりいくつかの劣化リスクがあります。
通常、各屋根材の種類ごとに使用可能な勾配が定めれています。(一般的には雨漏りしにくい勾配としています。)
その基準については各屋根材ごとの判断となりますので、一般的な考え方をご紹介いたします。
緩勾配(かんこうばい)屋根・・平らに近い勾配の屋根0.5寸~2.5寸勾配
①漏水リスク
緩勾配屋根では、屋根面の流下水の速度が遅いため水圧がかかりやすくなります。
エアコンの室外機や落ち葉など、少しの障害物などでも雨は滞留するので、漏水リスクとなります。
また、台風などの強風雨時には、風圧による雨の吹き込み量が多くなります。
緩勾配の屋根はほとんどが金属屋根(ガルバリウム鋼板屋根)の縦葺きが多いです。
各屋根材では、平部において、漏水試験などを行い適用範囲を定めています。
しかし、雨漏りしやすい、軒先・けらば・棟・取り合い部などの周辺部位では、厳密な試験などは行われていません。
つまり、平部では漏らなくても、棟部では雨漏りする可能性があります!
また、職人である施工者の技術によっても大きく左右されます!
緩勾配屋根は漏水リスクが高いことを承知ください!
最近、流行りのキューブ型住宅で考えてみます。
屋根が水平のフラットルーフでは、屋根は防水で雨漏りを防ぎます。
防水では、穴を開けることはNGです!
一方で、屋根が0.5寸の場合、緩勾配屋根となり、立平葺きとなります。
この場合は、防水シートにくぎ・ビスで穴を開けて、立平を留め付けます。
100cmで5cmの傾きがあるだけで、穴開けOkなのでは、とても心配です!
ポイントまとめ
・緩勾配は雨漏りのリスクが高い!
・なるべく緩勾配は避けましょう!
②換気不足となるリスク
緩勾配屋根では小屋裏空間の体積が少なく、軒先と棟での高低差も少なくなるため温度差換気力が小さくなり換気不足となり、結露リスクがあります。
棟換気などの開口面積を通常より多くとることや外壁通気層を小屋裏へ流入させて、高低差を確保して温度差換気を促進することが必要です。
ポイントまとめ
・緩勾配は小屋裏結露のリスクがある!
・外壁通気層を流入させ、棟換気を多く設置しよう!
急勾配(きゅうこうばい)屋根・・7寸勾配以上
①付属物の落下リスク
急勾配屋根では、屋根材や付属設置物の自重がせん断方向に大きくなるリスクがあります。
長期的に落下しないような付属物(太陽光パネルなど)設置に関わる材料強度の高いものにすることや留め付け躯体側の強度も高いものとする必要があります。
②維持管理が不足するリスク
維持管理のための点検を行うのに、屋根足場が必要となります。
7寸勾配以上では、屋根足場がないと屋根の上を移動できません。
急勾配屋根でなければ、足場なしで定期点検を行うことができます。
しかし、7寸勾配以上となると屋根足場が必要となり、30万円以上の費用が掛かります。
そのため、点検を行わなくなったり、精度の低い点検内容となります。
維持管理が低下することで、不具合の発見が遅れるという劣化リスクとなります。
加えて、工事費が割増にもなります。
小屋裏利用のために急勾配屋根とすることは通常の屋根勾配に比べて劣化リスクがあることを承知ください。
ポイントまとめ
・急勾配屋根は定期点検するにも足場代が必要となる!
・急勾配屋根は工事費が割増となる!
おススメの勾配は3寸~6寸です!
緩勾配、急勾配屋根のリスクを考えると何か特別な理由がなければ、3寸~6寸勾配がいいと思います。
3寸以上であれば、瓦、スレート、シングル、金属屋根と様々な屋根材から選ぶことができます!
30年後に、違う屋根材へ葺き替えることもできます。
しかし、緩勾配ですと、何か問題があっても立平葺きだけとなってしまいます。
選択肢がないのは、ちょっと心配になりますね!
屋根に関して、お悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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