目次
防水塗料が使える屋根とは
すべての屋根で防水塗料が使えるわけではなく、防水塗料が使える屋根は「陸屋根」か「屋上」です。
屋根が水平なので雨が溜まる前提で、表面を「防水」する必要があります。
傾斜のついた瓦屋根やスレート屋根は、屋根材の重なりで雨漏りを防ぐ「雨仕舞」という考え方で、「防水」とは異なります。
そのため、屋根材同士の隙間を埋めることは、かえって雨漏りの原因となるため、隙間を埋めるような高い防水性の塗料は使用しません。
そもそも防水塗料とは
防水塗料は、特定の種類の塗料やカテゴリーを指す言葉ではありません。
防水性の高い塗料やヒビ割れに追随できる弾性塗料のことを一般に「防水塗料」と呼んでいます。
陸屋根や屋上では、その表面に連続した防水層を形成することで雨漏りを防ぐ仕様となっています。
あなはもちろんNGですが、防水層のヒビ割れも雨漏りする可能性があります。
そのため、あなが開きにくい厚みのある防水性の高い塗料や建物のわずかな動きにも追随できる弾性の高い塗料が使用されています。
屋根に使う防水塗料の種類
屋根に使う防水塗料は主に2つの種類があります。
- FRP（エフアールピー）
- ウレタン
①FRP（エフアールピー）
FRPとは、繊維強化プラスチックの略称で、表面がガラスのような仕上がりになる防水塗料です。
ガラス繊維を補強材として液体の不飽和ポリエステル樹脂を塗り重ねて継ぎ目のない防水層を形成します。
FRPは、軽量かつ強靭で耐熱性・耐候性にも優れており、サビたり腐ったりすることがありません。
また、水を貯めておく浴槽、プール、貯水槽やマリンボートの船体にも使われており、水が溜まりやすい形状の屋根にも適しています。
FRPは紫外線劣化するため、耐用年数は10〜13年程度です。
②ウレタン
ウレタンとは、固まるとゴム弾性となる特殊な塗料で、下地の動きに追随できます。
ウレタン防水は液状の防水材料を塗布して硬化させ重ね塗りする工法なので、継ぎ目のない連続した防水層を形成することができます。
複雑な形状や架台や立上りなので立体形状でも、連続塗膜となり容易に防水工事が可能となります。
他の防水塗料の上からでも重ね塗りできるので改修工事に広く使われています。
ウレタンの耐用年数は、FRPと同様に10〜13年程度です。
屋根の防水塗料の種類について詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根の防水塗料はどっちがいいの？
屋根の改修工事で使用する防水塗料は、既存の防水層の種類や状態によって変わります。
既存の防水がFRP防水であれば、屋根下地が劣化していなければFRP防水がオススメします。
既存の防水がFRP防水以外であれば、ウレタン防水をオススメします。
屋上ではエアコンの室外機や太陽光パネルなどの付帯設備が数多く設置されているので、屋上防水の改修時はそれらを対処しなければなりません。
ウレタン防水であれば塗布するだけなので、付帯設備にも対応しやすいです。
また、費用を安価に抑えるにもウレタン防水となります。
トップコートだけで良いのかを見極めよう
トップコートは防水層を保護する機能があって、防水層が劣化していなければ防水層まで改修せずに、表面だけの「トップコート」を塗り替えるメンテナンスもあります。
費用は安価となり、10〜30万円程度で済みます。
トップコートは防水層の表面に塗布され、防水層の摩耗や紫外線劣化を防ぐ役割があります。
約5年ごとにトップコートを塗り替えることで、防水層の劣化をふせぎトータルのメンテナンス費用を軽減させることも可能です。
ただし、トップコートには防水機能がないため、防水層が劣化してしまっている状態でトップコートを塗布しても効果がなく、防水層からのメンテナンスが必要となります。
トップコートだけすむ屋根の劣化症状を紹介します。
●チョーキング現象
表面のトップコートが劣化して、指で触ると白い粉が付く現象です。
●カビ・コケ
日当たりが悪い部分にカビ・コケが発生します。
●摩耗
トップコートが摩耗すると色ムラが発生します。
屋根に使う防水塗料の費用
トップコートのみを塗り替える費用相場は以下となります。
| 防水塗料の種類 | トップコートの塗り替え費用 |
|---|---|
| FRP | 2,000～3,000円/㎡ |
| ウレタン | 1,500～2,500円/㎡ |
トップコートの塗り替えの目安は5年ごととなります。
防水層から塗り替える費用相場は以下となります。
| 防水塗料の種類 | 塗り替え費用 |
|---|---|
| FRP | 6,000～8,000円/㎡ |
| ウレタン | 5,000～7,000円/㎡ |
防水層から塗り替える場合は最後にトップコートも塗ります。
屋根の防水塗装の種類について詳しくはこちらの記事で解説しています。
防水塗料で対処できる劣化症状
防水塗料で対処できる劣化症状について紹介します。
防水層からの塗り替えが必要となります。
●ヒビ割れ
●表面の色あせ
色あせしているときにしっかりと直したいときには、トップコートだけではなく、防水塗料を塗布することもありです。
●チョーキング
チョーキングしているときにしっかりと直したいときには、トップコートだけではなく、防水塗料を塗布することもありです。
防水塗料で対処できない劣化症状
防水塗料では対処できない劣化症状について紹介します。
既存の防水層の部分撤去・下地処理、排水ドレンの補修などが必要となります。
●雨漏り
屋上からの雨漏りは防水層の劣化以外も考えられるため、雨漏り調査した上で補修することをオススメします。
●防水層の寿命（上からの塗装だけで対処できない）
防水層がはがれたり、下から草等がはえてきたりしている場合は、既存の防水層を撤去し、下地を補修する必要があります。
●ふくれ
防水層がふくれていると下地と既存防水層の間がはがれてしまっています。
表面を塗装するだけでは直りませんので、ふくれている部分をカットして補修することが必要です。
●水たまり
水たまりができていると排水ドレンからの補修が必要です。
DIYで屋根に防水塗料を使うときの注意点
DIYで屋根に防水塗料を使うときの注意点について紹介します。
- 材料に水が入らないようにする
- 火を使うものを近くにおかない
- 乾燥に必要な時間は確保する
- 耐用年数や性能を確認しておく
- 作業中に目に入らないように保護具を使用する
- 各工程では長期間開けないようにする
- 使い切りで作業する
ホームセンターで販売している防水塗料は、いろいろな種類があるため、使用方法をよく読んで準備しましょう。
【まとめ】メンテナンスで屋根を長持ちさせよう
すべての屋根で防水塗料が使えるわけではなく、防水塗料が使える屋根は「陸屋根」か「屋上」です。
既存の防水がFRP防水であれば、屋根下地が劣化していなければFRP防水がオススメします。
既存の防水がFRP防水以外であれば、ウレタン防水をオススメします。
約5年ごとにトップコートを塗り替えることで、防水層の劣化をふせぎトータルのメンテナンス費用を軽減させることも可能です。
また、防水塗料で対処できる劣化症状（ヒビ割れ、色あせ、チョーキング）が発生したら早めにメンテナンスして防水層を長持ちさせましょう。
屋根・雨漏りに関してお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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