目次
- 屋根の「勾配」とは?
- 屋根の勾配は何に影響を及ぼすの?
- 片流れ屋根のおすすめの勾配は、目的や用途によって異なります
- 片流れ屋根のおすすめの勾配:太陽光パネルを設置する場合
- 片流れ屋根のおすすめの勾配:解放感のある外観にしたい場合
- 片流れ屋根のおすすめの勾配:雨漏りのリスクを軽減したい場合
- 片流れ屋根のおすすめの勾配:デザイン・トータルコストを考慮したい場合
- 片流れ屋根の勾配設定で迷ったら?おすすめの基準を解説【緩勾配】
- 片流れ屋根の勾配設定で迷ったら?おすすめの基準を解説【急勾配】
- 片流れ屋根の勾配設定で迷ったら?おすすめの基準を解説【並勾配】
- 一般的には、片流れ屋根にはどの勾配がおすすめ?
- 【まとめ】片流れ屋根には並勾配がおすすめ
屋根の「勾配」とは?
屋根の勾配(こうばい)とは、屋根の傾きの大きさを表すものです。
勾配(こうばい)とは、傾斜の傾きの大きさのことで「寸(1寸=約30.303mm)」という単位で表示されることが一般的です。
上記の屋根の傾きを4寸(すん)勾配と呼びます。
水平寸法に10に対して、立上がり寸法4となる傾きのことで、4/10と分数で表示することもあります。
また、この傾きを角度で表すと4寸勾配=21°48′05″となります。
屋根の勾配は、建築物の用途や外観、屋根材の種類や形状、地域の気象条件などによって決められることが一般的です。
屋根の勾配は何に影響を及ぼすの?
屋根の勾配は何に影響するのかについて紹介します。
屋根の勾配によって、使用できる屋根材やその工法や施工費用に影響を与えます。
また、屋根勾配の特徴は以下となります。
ゆるい場合(緩勾配/かんこうばい):雨漏りリスクが高い
屋根勾配がゆるいと以下の理由により雨漏りに影響を与えます。
- 屋根勾配が0.5寸~2.5寸程度を緩勾配と言います。
- 0.5~2.5寸は対応できる屋根材が金属屋根の縦葺き(立平葺き、瓦棒葺き、折板屋根)に限定されます。
- 屋根勾配がゆるいと雨水の流れる速度が遅くなり、屋根材の上に水が留まりやすくなります。
- 排水が遅いと屋根材の継ぎ目や接合部分に水が浸入しやすくなり、雨漏りのリスクが高まります。
きつい場合(急勾配/きゅうこうばい):施工費用が高い
屋根勾配がきついと以下の理由により施工費用に影響を与えます。
- 勾配が6寸以上を急勾配と言い、作業員の安全確保のために屋根面への足場が余分に必要となり、足場費用が増加します。
- 勾配が急な屋根では滑落リスクが高く作業が難しくなるため、施工スピードが遅くなり、人件費が増加します。
- 勾配が急な屋根は足場設置なしでの点検や修理が困難なため、通常よりも高額なメンテナンス費用が必要です。
勾配の影響について詳しくはこちらの記事で解説しています。
片流れ屋根のおすすめの勾配は、目的や用途によって異なります
屋根の勾配は、建築物の用途・外観・梁間の大きさ・屋根材の種類と形状・寸法・性質・その土地の風速・雨量・積雪量などの気象条件によって決められています。
片流れ屋根のおすすめの勾配は、次のような目的や用途によっても変わってきます。
- 太陽光パネルを設置したい
- 解放感のある外観にしたい
- 雨漏りのリスクを軽減したい
- コスト面を考慮したい
次の章から詳しく解説していきます。
片流れ屋根のおすすめの勾配:太陽光パネルを設置する場合
太陽光パネルを設置する場合の片流れ屋根のおすすめの勾配について紹介します。
太陽光パネルの発電効率がもっとも高くなるのは、南向き30°と言われています。
30°は約6寸勾配となるため、南向きの片流れであれば5~6寸勾配屋根がオススメとなります。
一方で、東向き・西向き・北向きの片流れであれば、緩い勾配(0.5寸~2.5寸)の方が発電効率は高くなります。
片流れ屋根の向きでオススメの勾配は変わるので注意してください。
片流れ屋根のおすすめの勾配:解放感のある外観にしたい場合
解放感のある外観にしたい場合の片流れ屋根のおすすめの勾配について紹介します。
解放感のある外観にしたいなら、5~6寸勾配以上 (約26°~30°)がオススメとなります。
傾斜天井とすることで、勾配が大きくなるほど水上側が高くなり、開放感のある空間になります。
ただし、6寸~の勾配では、施工費用・メンテナンス費用のアップが顕著になるので、特別な用途がなければ、やめておきましょう。
片流れ屋根のおすすめの勾配:雨漏りのリスクを軽減したい場合
雨漏りのリスクを軽減したい場合の片流れ屋根のおすすめの勾配について紹介します。
雨漏りリスクを軽減したいなら3寸~6寸勾配(約16°~30°)がオススメとなります。
0.5~2.5寸勾配までは、金属屋根の縦葺きしか対応していません。
将来、葺き替えなどのメンテナンス時に他の屋根材へ変更できる可能性を残すには、3寸以上となります。
とくに、屋上防水(0.1寸勾配)なら防水シートにくぎ・ビス打ちはNGとなっているので、わずか0.5寸勾配なら防水シートにビス打ちをOKとして、金属屋根の縦葺きを施工するのは、大きな雨漏りリスクとなります。
雨水の流れがスムーズになり、片流れ屋根の雨漏りリスクを軽減させるには、3寸以上としておきましょう。
片流れ屋根のおすすめの勾配:デザイン・トータルコストを考慮したい場合
デザイン・トータルコストを考慮したい場合の片流れ屋根のおすすめの勾配について紹介します。
水はけ・デザイン性・コスト面などで利点があるのは3~5寸勾配と言われています。
工事費用も標準的でメンテナンス性も良いため、勾配違いによる割増などもありません。
屋根材の種類別でオススメするなら、金属屋根なら3寸、瓦なら4~5寸、スレート・シングルなら3~5寸となります。
片流れ屋根の勾配設定で迷ったら?おすすめの基準を解説【緩勾配】
片流れ屋根の勾配設定で迷ったら?緩勾配(0.5寸~2.5寸)屋根のメリット・デメリットを紹介します。
以下で緩勾配のメリット・デメリットについてまとめてみました。
緩勾配・メリット | 緩勾配・デメリット |
---|---|
・人気の箱型住宅のデザインとなる ・屋根面積が少なくなる(コストダウンになる) ・台風や強風の影響を受けにくい ・落雪被害が少ない | ・傾斜が緩いため、雨漏りリスクが高い ・小屋裏に高さが取れない ・汚れがたまりやすい ・ほとんどの屋根材が施工できない |
箱型住宅のデザインとなる片流れ屋根の緩勾配は人気となっています。
ただし、将来後悔しないように雨漏りリスクが高くなることを理解しておきましょう。
片流れ屋根の勾配設定で迷ったら?おすすめの基準を解説【急勾配】
片流れ屋根の勾配設定で迷ったら?急勾配(6寸~)屋根のメリット・デメリットを紹介します。
以下で急勾配のメリット・デメリットについてまとめてみました。
急勾配・メリット | 急勾配・デメリット |
---|---|
・北側斜線制限に対応することができる ・小屋裏空間が高く取れる ・雨水と一緒に汚れが流れ落ちやすい ・積雪時に雪が積もりにくい | ・施工時・メンテナンス時に屋根足場が必須である ・屋根面積が大きくなる ・施工時・メンテナンス時の作業性がわるく、費用が割高となる ・台風や強風によるダメージを受けやすい |
急勾配は北側斜線制限の対応だけにしておきましょう。
片流れ屋根の勾配設定で迷ったら?おすすめの基準を解説【並勾配】
片流れ屋根の勾配設定で迷ったら?並勾配(3寸~5寸)屋根のメリット・デメリットを紹介します。
以下の並勾配のメリット・デメリットについてまとめてみました。
並勾配・メリット | 並勾配・デメリット |
---|---|
・屋根材の使用制限がない ・工事費用や手間に割高はない ・雨漏りリスクが軽減する | ・特になし |
メリットはありますが、とくに、デメリットはありません。
屋根勾配の決め方について詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根勾配の決め方!急勾配と緩勾配のメリットとデメリットとは?
一般的には、片流れ屋根にはどの勾配がおすすめ?
一般的には、片流れ屋根にはどの勾配がおすすめ?について紹介します。
何か特別な理由がなければ、並勾配である3~5寸勾配がおすすめとなります。
デザイン的として箱型住宅とするために、限りなく陸屋根に近くしたい場合を除くと、並勾配でいいと思います。
その他、太陽光発電効率を重視するなら南向き6寸勾配です。
北側斜線制限に対応するなら北向き急勾配となります。
3寸以上であれば、瓦・スレート・アスファルトシングル・金属屋根など、さまざまな屋根材から選べるので、将来のメンテナンスの選択肢も豊富にあります。
【まとめ】片流れ屋根には並勾配がおすすめ
片流れ屋根は特別な理由がなければ、並勾配(3~5寸)がオススメです。
特別な理由としては、デザイン、太陽光効率、北側斜線制限などがありますので、その場合はそのデメリットも考慮して勾配を選択しましょう。
片流れ屋根はコスト面で緩勾配屋根となるケースが多いようです。
自分のイメージに合うかどうか検討して、気にいらないようであれば雨漏りリスクが軽減する並勾配へ変更してもらいましょう。
「屋根から笑顔をつくる。」をモットーとする当社は、多くの片流れ屋根施工実績がありますので、ぜひお気軽にご相談ください!
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