目次
動画でも解説しています。
赤外線サーモグラフィー調査は雨漏りの原因を知る手段のひとつ
雨漏り調査では主に4つの方法が行われます。
- 目視調査・画像解析(雨漏り部分を目視・写真撮影して原因箇所を探す)
- 赤外線サーモグラフィーによる調査(赤外線カメラを使用して、表面温度の違いで雨漏り箇所を探す)
- 散水による調査(実際に水を流して雨漏りの原因箇所を探す)
- 注水量測定による調査(流した水の量の変化により雨漏りの原因箇所を探す)
赤外線サーモグラフィーによる調査は、万能の調査方法のようにイメージされている方もいらっしゃいますが、いくつかある調査方法のひとつです。
状況により様々な調査方法を使い分けて雨漏り調査の精度を高めています。
赤外線サーモグラフィーによる雨漏り調査とは?
赤外線サーモグラフィーによる雨漏り調査を詳しく解説しておきます。
建物の中・外を赤外線カメラで撮影して、その熱画像を解析します。
上の写真は建物の外壁を撮影した熱画像で、白丸の部分が温度低下していて、雨水による影響を示しています。
建物をサーモグラフィー装置で撮影するとその建物の表面温度が表示された熱画像を得ることができます。(色の差は温度の違いを示しています。)
熱画像はあくまでもその表面温度を示していて、建物内部の温度まではわかりません。
建物の同じ壁面は外的要因が無ければ同じ温度となりますが、実際にはそのような均一な温度にはなりません。
赤外線サーモグラフィーによる雨漏り調査では、建物構造、外部・内部の温度環境、材料特性などを総合的に判断して、建物表面を撮影した熱画像の温度差の原因が雨水によるものか判断します。
建物の撮影するときにも天候、日射量、撮影面の方位、時間帯などが熱画像に影響を与えますので、専門の調査員が行う必要があります。
赤外線サーモグラフィ―に使用する赤外線カメラは昔のビデオカメラ程度の大きさで、簡単に持ち運びできます。
巨大な装置ではないので、特別な準備することなく雨漏り調査を行うことができます。
ただし、解析するときに外的要因による温度差を排除するため、いろいろな角度で撮影を行うので、調査時間は意外とかかり、1時間以上となる場合が多いです。
赤外線サーモグラフィーの原理
赤外線サーモグラフィーの原理を簡単にご説明いたします。
赤外線はすべての物質から放射されている電磁波のことで、目には見えない光です。
その電磁波のエネルギーは、温度に比例して大きくなります。
赤外線カメラは、物体から放射される赤外線を見える化するためのカメラです。
サーモグラフィーは物体から放射される赤外線を温度に換算して図として表した画像、装置のことです。
画面に表示する温度分布を変化させることができ、温度差、温度領域を変更することで、雨漏りによる水分の影響を解析することができます。
赤外線サーモグラフィーによる雨漏り調査のメリット
赤外線サーモグラフィーによる雨漏り調査のメリットをご紹介します。
- 天井・壁などの破壊なしで調査できる
- 足場が必ずしも必要ではなく、その分費用が安価となる
- 調査に必要な時間が比較的短い
- 水分が見える化されるのでわかりやすい
水滴が落下するような雨漏りではなくても、天井・壁に水分が含んでいる場合でも見える化できるので、お客様にもわかりやすく、雨漏り調査の信頼性が高まります。
赤外線サーモグラフィーによる雨漏り調査のデメリット
赤外線サーモグラフィーによる雨漏り調査のデメリットをご紹介します。
- 赤外線カメラが高額なため、費用が高価となる
- 雨が降っているときは使用できない
- 調査できない建築材料がある
- 正確な調査には建築知識も必要
- 調査にはかなりの経験が必要であり、調査員の技量差が大きい
赤外線サーモグラフィー調査は熱画像を撮影するだけでは不十分です。
建物の構造や撮影環境を考慮した解析が必要で、調査員の技量差が出ます。
解析をしっかりできないと誤診につながりやすい調査とも言えますので、業者・調査員選びが重要です。
赤外線サーモグラフィー調査に向いていない建物ってあるの?
赤外線サーモグラフィー調査に向いていない建物をご紹介します。
- ガルバリウム鋼板などの金属系の屋根・壁の建物
- 光沢のある屋根・壁の建物
- 屋根材・壁材と建物本体の間に空間がある建物
- 隣地の距離が4m未満の建物
反対に赤外線サーモグラフィ―調査に向いている建物はこちらです。
- 外壁がモルタル・ALCの建物
- 屋根材・壁材が建物本体に直貼りとなっている建物
- すべての面が道路に面している建物
- 隣地の距離が5m以上の建物
建物の向き・不向きをあらかじめ業者・調査員に確認しておくことが誤診を防ぐポイントとなります。
雨漏り以外で赤外線サーモグラフィー調査でわかること
赤外線サーモグラフィー調査で、雨漏りの原因箇所以外に把握できることがあります。
- 断熱材の欠損の有無
- 壁内の筋交いの有無
- 表面結露の有無
建物内外で温度差がある場合、断熱材が入っていない部分は他の部分と異なる温度となり、熱画像に現れます。
壁内の構造・断熱性能によっては、筋交い部分がわずかな温度差を生じさせるので、筋交いの有無を確認することができます。
表面結露はその部分が水の温度となるため、温度差が生じて結露の有無を確認できます。
結露は窓ガラスにできてもサッシ部分が濡れるだけで、大きな問題にはなりませんが、小屋裏や壁などに結露が生じる場合、木部が腐朽する可能性が高くなりますので放置はやめておきましょう。
赤外線サーモグラフィーによる雨漏り調査で必要な費用とは
赤外線サーモグラフィーなど弊社で行っている雨漏り調査の費用についてご紹介します。
調査方法 | 費用の目安 | 調査内容 |
---|---|---|
目視調査 | 0円 | 雨漏り部分を目視・写真撮影して、調査する方法です。 |
散水調査 | 0~10万円 | 水道の蛇口にホースをつないで、浸入口に散水をして、雨漏りを再現する調査方法です。 |
赤外線サーモグラフィ調査 | 0~10万円 | 赤外線カメラを使い、建物内外の熱画像を撮影して、雨水の浸入経路を調査する方法です。 |
ドローン撮影調査 | 0~5万円 | 屋根などの高所部分で目視できない所をドローンにより写真撮影して調査する方法です。 |
赤外線サーモグラフィ―調査の目安は0~10万円となっています。
雨漏り修理の御見積を作成するための調査は無料(0円)で行っています。
雨漏り修理を行うには原因把握が必須であり、そのための赤外線サーモグラフィ―調査なので無料となります。
10万円は他の業者さんから雨漏り調査の依頼を受けた場合の金額です。
この場合は純粋に調査して報告することが目的ですので、その調査費用をいただいております。
赤外線サーモグラフィー調査で雨漏りの原因がわかった事例
弊社の雨漏り調査は、通常は目視調査・赤外線サーモグラフィ―調査・散水調査をセットで行っています。
雨漏りしてから、日数が経過しても雨漏り調査を行うため、散水調査で降雨を再現するからです。
雨漏り調査事例を簡単にご紹介します。
●上部がベランダの1階天井に雨染みがある建物の雨漏り調査
雨漏りしている1階天井部分を赤外線サーモグラフィ―で撮影します。
天井の雨染み部分は乾燥していて温度低下は見られません。
上部のベランダ付近を散水します。
水下側から順番に散水します。
数か所散水をして、原因箇所を見つけ出します。
散水箇所を変えるたびに、雨漏り箇所を赤外線サーモグラフィ―で撮影します。
ベランダでは雨漏りせず、ベランダの外壁側を散水しました。
すると、1階天井部分に漏水による温度低下を赤外線サーモグラフィ―で確認しました。
このように、目視・赤外線サーモグラフィ―・散水調査を組み合わせて、精度の高い調査を行っています。(これらをしても、原因がわからない雨漏りもまれにあります。)
【まとめ】正確な赤外線サーモグラフィー調査は建築知識も必要です
赤外線サーモグラフィーによる調査は、万能の調査方法のようにイメージされている方もいらっしゃいますが、いくつかある調査方法のひとつです。
赤外線サーモグラフィーによる雨漏り調査では、建物構造、外部・内部の温度環境、材料特性などを総合的に判断して、建物表面を撮影した熱画像の温度差の原因が雨水によるものか判断します。
建物の撮影するときにも天候、日射量、撮影面の方位、時間帯などが熱画像に影響を与えますので、専門の調査員が行う必要があります。
赤外線サーモグラフィー調査は熱画像を撮影するだけでは不十分です。
建物の構造・建築知識や撮影環境を考慮した解析が必要で、調査員の技量差が出ます。
解析をしっかりできないと誤診につながりやすい調査とも言えますので、業者・調査員選びが重要です。
雨漏りに関してお悩みの方はお気軽にご相談・お問合せください。
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