みなさま。こんにちは~。
屋根から人の笑顔を作りたい!!!
神清(かみせい)のDr.神谷です。
スレート屋根の3つの弱点は以下のものです。
①踏み割れ ②褪色 ③けらばの劣化
とくに、③けらばの劣化はあまり知られていませんが、長寿命な住宅の屋根を考える上では無視できない弱点と言えます。
そこで、けらばの劣化について、以前、私が日本建築学会大会で発表した内容をもとに、原因とその対策をご紹介いたします。
学会ですので、ちょっと硬い内容となっています!
化粧スレート・けらば部から雨水浸入するということだけ知ってもらえれば、幸いです!
目次
スレート屋根のけらばから雨水が浸入する原因
スレート屋根のけらばからの雨水浸入する仕組みを検討しました!
築後15年経過するとけらばが劣化している!土ほこりが原因です。
築年が経過したスレート屋根のけらば部を調査すると、写真のように繊維質が混入した土ほこりが堆積しています。(数多くの物件で発生しています。)
上の写真は築15年・都内の現場です。
けらば部のスレート屋根・防水シートを剥がしてみると野地合板がけらば部のみ劣化していました。
けらば部に土ほこりが堆積した場合、雨水浸入により野地劣化を引き起こす仕組みはこれです!
①けらば部捨て水切りへの雨水が浸入
②けらば部捨て水切りの堆積部分から雨水のオーバーフローが発生
③オーバーフロー水がスレートの緊結釘孔から防水シートを通過して、野地合板へ浸水
④野地合板の高含水の持続により、野地合板劣化
土ほこりとオーバーフローの関係性を実験で調べました。
オーバーフローする要因として、
★けらば部捨て水切りへの浸水量
★土埃堆積量
★土埃堆積箇所数
★ルーフィング上での土埃堆積の有無
が考えられるため、実験により関係性を明確にしました。
しかし、内容に関しては難しいので、省略します。
実験結果の概略です。
1)通常の雨では土ほこりが無ければオーバーフローしません。
2)土ほこりが堆積した場合でも小雨ではオーバーフローはしません。
3)土ほこりが堆積した場合、時間当たり雨量10㎜、けらば流れ長さ3m以上だとオーバーフローします。
時間当たり雨量10㎜以上は年間20~30日以上発生しますので、頻繁にオーバーフローしていることになります。
4)土ほこり堆積箇所数が増加するに連れて、オーバーフロー水量も増加しました。
3箇所では、注水総量の9割がオーバーフローしました。
片流れ屋根のような流れ長さが長い屋根では、オーバーフローが大量に発生することがわかりました。
5)ルーフィング上に堆積した土埃の影響について調べました。
オーバーフロー水はスレート尻部で横走りしました。
青⇒に沿って、雨水が流れることがわかりました。
けらば部から910㎜離れた軒先から雨水が流れ出すことがわかりました。
実験では1か所の尻部での土埃を想定しましたが、実際の屋根では何カ所も尻部に堆積しているので、さらにけらば部から離れた屋根の中心部まで横走りします。
スレートの尻部に沿って雨水は横走りします。
スレート屋根のけらばの劣化を防ぐ対策はシール付き水切りを使用することです!
スレート屋根のけらばの劣化は土ほこりの堆積が原因であることがわかりました。
土ほこりの堆積を防ぐ対策としては、シール付き水切りを使用することです!
シール付き水切りを使用することで、土ほこりは水切り全体には発生しなくなります。
水切り上に土ほこりが堆積しないバイパスを準備することで、オーバーフローを抑制し、けらばの劣化を防ぐことができます。
まとめ:スレート屋根・けらばの劣化の原因とその対策(シール付き水切りの使用)を示すことができた!
まとめとして、スレート屋根のけらば部捨て水切りにおいて、土埃堆積が進行すると一般的な風雨条件においても浸入雨水が広範囲にわたって野地合板にオーバーフローが生じ得ることがわかりました。
この実験は、国土技術政策総合研究所が主催した5年間の共同研究において、石川名誉教授にご指導いただきながら実施した実験です。
送風散水試験もつくばの(独)建築研究所において実施しました。
また、その対策としてシール付き水切りを使用することが有効であることも確認しました。
この実験が少しでも現状の化粧スレート・けらば部の不具合が改善し、住宅屋根の長寿命化につながれば幸いです!
専門用語もあり、わかりにくい所もあったかと思います。
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