目次
日本瓦屋根の葺き替え費用の相場感と、屋根材を選ぶポイントを解説します。
本記事では日本瓦の葺き替え費用と、ご自分の生活設計に合う「新しい屋根材を選ぶ」ポイントとについて説明します。
まず最初に日本瓦屋根は「土葺き(どぶき)」と「引掛け桟葺き(ひっかけさんぶき)」の2つのタイプがあることはご存知でしょうか?
日本瓦の葺き替えは、「土葺き」と「引掛け桟葺き」の違いによって、「新しい屋根材を選ぶ」ポイントが変わります。
大切なことなので、後でわかりやすく解説します。
日本瓦の葺き替え費用の相場感を紹介します。
日本瓦の葺き替えを検討されている方は、築30年以上の日本瓦屋根にお住まいのことと思います。
葺き替えを検討されるようになった要因は、以下のものではないでしょうか?
・ときどき、雨漏りするようになったから。
・訪問リフォーム業者に、不具合の指摘を受けたから。
・自然災害のニュースを見て、屋根が心配になったから。
いままで、何十年と屋根のことは考えたこともない方がほとんどだと思います。
そのためか、瓦屋根のことに関しては、全く情報がなく、
「瓦屋根の葺き替えは、必要なのか?」
「瓦屋根の葺き替えは、いくらかかるのだろう?」
「葺き替えの相場が知りたい!」
など、検討もつかない費用に関して、ときどき、質問をいただきます。
まずは、瓦屋根の葺き替え費用の相場感を紹介します。
瓦屋根の葺き替え費用の相場感(単価表示)
一般的によく目にする瓦屋根の葺き替え費用をまとめてみました。
下記の表(瓦屋根の葺き替え費用の目安)を参考にしてください。
葺き替えパターン | 費用(円) | 単位 |
---|---|---|
日本瓦⇒日本瓦 | 17,000~ | /㎡ |
日本瓦⇒F形瓦 | 16,000~ | /㎡ |
日本瓦⇒スレート屋根 | 14,000~ | /㎡ |
日本瓦⇒ガルバリウム鋼板屋根 | 16,000~ | /㎡ |
日本瓦⇒ルーガ(軽量セメント屋根材) | 19,000~ | /㎡ |
※上記表は、標準的な住宅(立地、建坪、屋根勾配、敷地)での目安です。
瓦屋根の葺き替え費用の相場感(総額では)
建物の大きさがわからないと、単価では、総額がわかりにくいと思います。
日本瓦屋根の住宅は、比較的大きい屋根が多いです。
総額の目安としては、150~350万円ぐらいとお考えください。
日本瓦の葺き替えは、「土葺き」、「引掛け桟葺き」で異なります。
日本瓦には、「土葺き」、「引掛け桟葺き」があります。
日本瓦屋根の「土葺き」とは?
中部地方(愛知県より)以西の、築20年以上の日本瓦屋根は、「土葺き」仕様となっています。
(上の写真は土葺き屋根の葺き替え時です)
「土葺き」とは、瓦の下に葺き土(ふきつち)が入っている屋根のことです。
昔は、葺き土の「重さ」と「保水力」が台風対策(強風・雨漏り対策)になると考えられていて、ほとんどの日本瓦屋根で採用されていました。
また、瓦と葺き土は断熱性が高いとも考えられ、土葺き屋根では、天井上に断熱材が入っていない(無断熱)仕様がほとんどでした。
日本瓦屋根の「引掛け桟葺き」とは?
静岡より東の地域では、関東大震災以降、日本瓦屋根は、「引掛け桟葺き」仕様となっています。
(上の写真は引掛け桟葺きの施工時です)
「引掛け桟葺き」とは、瓦の下に葺き土がなく、瓦桟木に瓦を引掛けて施工しいる屋根のことです。
関東大震災で、屋根の重さが問題となり、地震対策として普及した仕様です。
「土葺き」と「引掛け桟葺き」では、葺き替え費用が、大きく異なります。
「土葺き」屋根では、瓦と同じ程度の重さの葺き土が入っています。
瓦だけでなく、葺き土もはがすため、労力・廃棄代とも倍近くになります。
「土葺き」と「引掛け桟葺き」の費用を比較した表を下記に示します。
めくり代(円) | 単位 | 野地合板補強代(円) | 単位 | |
---|---|---|---|---|
土葺き | 5,000~ | /㎡ | 2,000~ | /㎡ |
引掛け桟葺き | 3,000~ | /㎡ | ― | /㎡ |
※「土葺き」は野地がバラ板のため、通常、野地合板を増し張りします。
「引掛け桟葺き」は野地合板を使用しているので、増し張りは不要となります。
「土葺き」の場合は、先程の単価表にプラス4,000~円/㎡とお考えください。
総額では、プラス40万円とお考えください。
「土葺き」屋根を葺き替えするときは、「雨音」と「暑さ」が問題になることがあります。
先程、「土葺き」屋根は、天井上に断熱材が入っていないとお伝えしました。
天井の断熱材には、室内へ伝わる「雨音」・「暑さ」を減少させる効果があります。
いままでは、「土葺き」屋根が、「雨音」・「暑さ」をさえぎっていました。
お客様から、
金属屋根材などに葺き替えしてから、 「雨音」・「暑さ」が気になって、眠れない。
というご相談をいただくことがあります。
葺き替えしてからの対策は、費用が余分にかかってしまいますので、ご注意ください。
屋根材別の葺き替え費用と選ぶポイント
現在、「土葺き」の日本瓦屋根の葺き替えで主流な4つ屋根材(日本瓦、F形瓦、スレート屋根、金属屋根)について、費用と選ぶポイントをご紹介します。
「土葺き」日本瓦屋根⇒「引掛け桟葺き」日本瓦屋根 (21,000~円/㎡)
「土葺き」の日本瓦屋根から「引掛け桟葺き」の日本瓦屋根への葺き替えは、よくあります。
日本瓦屋根を再び選ぶ家は、敷地・住宅のデザインが和風で、家の造り自体が立派な場合が多いです。
葺き土を取り除いているので、屋根の重量は半部程度に軽量化されています。
葺き替えでは、屋根下地(野地合板)の不陸(ふりく:高さの違い)の調整が必要です。
瓦屋根では、瓦桟木の下に不陸調整材を入れることで、簡単に調整できますので、コストはかかりません。
また、葺き土を取り除くために、夏の暑さを心配される方には、
ご要望いただけば、上の写真のように、遮熱性のあるルーフィング(防水シート)(プラス500~円/㎡)を使用して、夏の暑さ対策仕様とすることもできます。
耐風・耐震・高耐久の施工で葺き替えられるため、次回のメンテナンスまでは、数十年持ち、メンテナンスコストがかからず、経済的です。
「土葺き」日本瓦屋根⇒F形瓦屋根(20,000~円/㎡)
「土葺き」の日本瓦屋根からF形瓦屋根への葺き替えは、もっとも多いです。
F形瓦屋根を選ぶ方は、
・デザインをスッキリしたい。
・この後、当分、メンテナンスしたくない。
・なるべく、安価にしたい。
などのポイントを重視されています。
F形瓦屋根も葺き土を取り除いているので、半分程度に軽量化されています。
F形瓦屋根でも、ご要望いただけば、遮熱(夏の暑さ対策)仕様が可能です。
次回のメンテナンスまでのコストパフォーマンスがもっとも高い屋根と言えます。
「土葺き」日本瓦屋根⇒スレート屋根(17,000~円/㎡)
「土葺き」の日本瓦屋根からスレート屋根への葺き替えは、たまにあります。
スレート屋根を選ぶ方は、
・葺き替え費用を、もっとも安価にしたい。
・屋根を軽くしたい。
などのポイントを重視されています。
葺き替え費用に関して、総2階の建物では、もっとも安価となります。
しかし、1階屋根があると2階壁との取り合い部分の瓦のあった隙間を板金などでふさぐ処理が必要となり、結果、F形瓦屋根と同じ程度の費用になってしまいます。
また、屋根下地(野地合板)の不陸(ふりく:高さの違い)を調整するコスト必要となります。(不陸調整しないとスレート屋根に踏み割れが発生します。)
その後のメンテナンス費(10~15年での塗装費用)を考えると割高となるため、結果、あまり選ばれていません。
「土葺き」日本瓦屋根⇒金属屋根(20,000~円/㎡)
「土葺き」の日本瓦屋根から金属屋根への葺き替えは、たまに見ます。
訪問リフォーム業者がよく提案しています。
金属屋根を選ぶ方は、
・訪問リフォーム業者からススメられたから。
・屋根を軽くしたい。
・メンテナンスフリーと言われたから。
などのポイントを重視されています。
葺き替え費用は、F形瓦屋根と同等です。(総2階の場合)
1階屋根があるとスレート屋根と同様の処理が必要で、F形瓦屋根よりも、高価となります。
また、屋根下地(野地合板)の不陸(ふりく:高さの違い)を調整するコスト必要となります。(不陸調整しないと金属屋根に変形が発生します。)
ガルバリウム鋼板(金属屋根)は塗装品なので、メンテナンス(再塗装)は必ず必要です。
さらに、「雨音」・「暑さ」問題もあります。
この内容を伝えると、金属屋根は選ばれないようです。
まとめ:瓦屋根の葺き替え費用の相場は、150~400万円です。コスパが高いのは、日本瓦屋根⇒F形瓦屋根です。
瓦屋根の葺き替え費用の相場は、150~400万円です。
「土葺き」の瓦屋根は、「引掛け桟葺き」の瓦屋根よりもプラス40万円です。
1階屋根があるスレート屋根や金属屋根は、壁との取り合い部の処理に費用がかかります。
結果、コストパフォーマンスが高い葺き替えは、F形瓦屋根への葺き替えです。
瓦屋根の葺き替えに関して、お悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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