瓦屋根の谷部銅板穴開きは、釉薬瓦特有の現象ではありません。
先日、瓦屋根の谷部銅板穴開きは、釉薬瓦の釉薬成分が雨で溶けだしているからだと指摘をうけました。
しかし、釉薬瓦は高温で焼成されていて、雨では、釉薬の成分が溶出することはありません。
過去の写真から、釉薬瓦以外の瓦屋根でも、谷部銅板に穴が開いている事例を紹介します。
釉薬瓦の谷部銅板の穴開きとは?
釉薬瓦の谷部銅板の穴開きは、瓦屋根の雨漏り原因で、もっとも多い事例です。
上の写真は、日本瓦の谷部の写真です。
瓦は釉薬瓦で、朱色(しゅういろ)の瓦生地の上に、銀色の釉薬で、着色した瓦です。
真ん中の薄緑色が銅製の谷板金で、薄緑色は銅が酸化して、緑青色になっています。
赤丸の部分は半分、瓦の下に入っていますが、銅板に穴が開いて、黒色に見えます。
谷からの雨漏りを補修する途中の写真です。
瓦のピッチに合わうように、銅板の穴が開いています。
写真の右側は穴が大きく、逆に左側に行くほど、穴は小さくなります。
これは、瓦の列の枚数が多いと穴が大きく、枚数が少ないと穴が小さくなる現象のことを示しています。
列の枚数が多くなるとその分、水量が増え、谷板金に流れ落ちる水量も増えることを意味します。
一般的には、水の滴下する衝撃で、経年で銅板に穴が開くと言われています。
釉薬の影響ではないことを示すために、釉薬瓦以外の谷部を示します。
釉薬瓦以外の瓦の谷部も開いている。
いぶし瓦の谷部
いぶし瓦の谷部も銅板の穴開きが生じています。
上の写真はいぶし瓦の谷部です。
赤丸の部分に穴が開いているか、開きそうな部分です。
いぶし瓦は瓦を焼くときに、炭素被膜で生地から銀色に着色されています。
釉薬は、全く使用していません。
穴をアップで見ると、穴の周辺は銅色になっています。
衝撃が酸化被膜を破り、生の銅に直接水滴が当たるので、やわらかい銅が削られて、穴が開いてしまいます。
塩焼き瓦の谷部
塩焼き瓦の谷部も同様に穴が開いています。
上の写真の赤色の瓦が塩焼き瓦と言います。
塩焼き瓦は、焼くときに、塩を窯の中に入れて、赤色に着色したものです。
こちらも釉薬は使用していません。
塩焼き瓦も同様に穴開きが見られます。
これら、3種類の瓦のどれも同様に銅板に穴が開くことから、釉薬から雨で溶けだしている説は、当てはまらないことになります。
比較してわかったこと。
釉薬の有無は、銅板の穴開きに関係ないことがわかりました。
現在では、屋根のデザインによって、銅製・ガルバリウム鋼板製・ステンレス製の谷板金を使い分けています。
銅製はやわらかく、加工しやすいのですが、衝撃には弱いとも言えます。
瓦屋根には、ステンレス製の谷板金を使用することも増えています。
谷部は、雨漏りしやすいので、瓦に近い耐久性のある材料を選ぶとメンテナンス費用を抑えることができます。
屋根・雨漏りに関して、お悩みの方はお気軽にご相談ください。
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