目次
縁切りって何?
縁切りとは、化粧スレートを再塗装したときに、上下の重なり部分が塗料で貼り付いて隙間を埋めることを防ぐために、塗料が完全に乾く前にカッター・スクレーパーなどを差し込んで、塗料を切る作業のことです。
屋根=雨漏りというイメージがあるため、一般の方は屋根材同士の見た目の隙間を塗料でふさぐことがよりいい仕上がりだと思う人がほとんどです。
しかし、この屋根塗装で隙間をふさぐと防水性が高まるという考え方は完全に間違っています。
塗料乾燥後にふさいでいる塗膜を切って、雨水の排水経路となる上下の隙間を確保する必要があります。
屋根塗装後に縁切りしないとどうなる?
屋根塗装後に縁切りしないと数年後、屋根全体で広範囲に雨漏りします。
屋根塗装後に縁切りしないと雨漏りする仕組みを解説します。
スレートには横同士の継ぎ目やスレートの意匠性を高めるスリットという縦方向の隙間があります。
縦方向の隙間が塗料で完全にふさがれることはなく、雨が降ると雨水がその隙間に浸入し、毛細管現象で奥へ拡がっていきます。
上下の隙間を縁切りしていないと塗料が貼り付いており、浸入した雨水は排水されずに溜まってしまいます。
スレートを留め付けているくぎがあり、そこから屋根下地へ伝わり、経年で雨漏りしてしまいます。
スレートのスリットがないタイプでは、上写真のようにスレート継ぎ目から浸入して毛細管現象で拡がっていきます。(元々赤色に黒色の屋根塗装したスレート屋根)
一方、屋根塗装していないスレートの継ぎ目部分の雨水浸入痕は拡がっていません。
上下の隙間がふさがっていなければ、そのまま排水できるので、毛細管現象で拡がってもスレートくぎまでは雨水が滞留しないので、雨漏りは発生しません。
スレート屋根塗装後の縁切り作業の様子を動画で紹介しています。
縁切りが行われるタイミングは?
縁切りは、屋根塗装工事が終わって塗料が乾いてその上を歩行できるようになってから行います。
ただし、長期間経過して塗料が完全に硬化した段階で行うと塗料が硬く、縁切り作業が大変になってしまいます。
足場が設置している間に行うので、塗装後数日の間に行うことが一般的です。
季節によって、塗料の上を歩行できるタイミングが変わります。
乾きが悪い季節で、翌日に屋根に上がって歩行すると塗膜を傷つけてしまうので注意しましょう。
縁切り作業は屋根全面で行う必要があり、手作業で行うため時間がかかります。
屋根塗装における2種類の縁切り
屋根塗装の縁切りには、一般的には2種類のタイプがありますので、それぞれの方法について紹介します。
- 手作業による縁切り工法
- タスペーサーによる縁切り工法
①手作業による縁切り工法
手作業による縁切り工法がスレート製造メーカーから推奨されています。
大手ハウスメーカーの塗装メンテナンスでも手作業の縁切りが行われています。
手作業による縁切り工法は、スレート屋根の塗装前の状態を維持できるので、その後に不具合が発生することはありません。
ただし、塗装職人は塗装後に、もう1日縁切り作業を行いに来る必要があり、面倒ととらえ、見積もりに入れていない可能性があるので確認しましょう。
②タスペーサーによる縁切り工法
塗装職人が塗装後に縁切り作業を行なわなくてもいいように、予め、スレート屋根の上下にスペーサーを入れて、隙間を大きくして、塗装したときに塗料がくっつかないようにする工法です。
タスペーサーは入れっぱなしとなり、常にスレート屋根が数ミリ浮いている状態となります。
スレート製造メーカーは、タスペーサーを入れておくと踏み割れのリスクがあるため、推奨せず、注意喚起を行っています。
屋根を健全にするために屋根塗装のメンテナンスを行うのに、スレート屋根が踏み割れしやすくなる工法はかえって、屋根が悪くなるので、やめておきましょう。
屋根塗装における縁切り費用
屋根塗装における縁切り作業は、1棟あたり5~6万円前後が相場となります。
ちなみにタスペーサーも同じ程度の費用です。
カッターやスクレーパーなどの道具を使って、スレート1枚1枚を手作業で縁切りするので、時間や費用がかかりますが、雨漏りをふせぐ大切な作業です。
縁切り費用を惜しんで雨漏りしたら、補修費用は10倍以上になるので必ず依頼しましょう。
屋根塗装後の縁切り不足は大きな雨漏りの原因
屋根塗装の縁切り不足は、スレート屋根のもっとも多い雨漏りの原因になっています。
雨漏りの特徴としては、屋根全体に雨漏りが発生することが多いです。
小屋裏に入って確認すると野地合板に雨染みが発生し、ボロボロに劣化していることがあります。
部分補修では対応できず、葺き替えする必要がありますので、絶対に避けたい雨漏りです。
縁切り作業が工程に入っているのか確認しよう
縁切りでトラブルを避けるためには、縁切り作業が工程に入っているのかを確認しておきましょう。
口約束だけでなく、見積書に記載されていることを確認すべきです。
見積書に「縁切り」と記載されていても、タスペーサーを使用する業者もいますので、作業後に屋根を確認したり、施工写真を提出してもらいましょう。
縁切りが不必要な屋根もあります
屋根の再塗装を行った場合、基本的には縁切りが必要です。
ただし、スレート屋根の状態によっては、縁切りが不要なケースがまれにあります。
- 経年劣化でスレート屋根が反っている屋根
ただし、屋根全体のスレート屋根が反っていることはほとんどないので、基本的には縁切りを依頼しましょう。
縁切りされているのか不安に感じたら業者に相談しよう
もしも縁切りされているのかどうかが不安になった場合は、専門業者に依頼して点検をしてもらうようにオススメします。
屋根の点検で縁切りされていない場合は、小屋裏を点検してもらいましょう。
ただし、小屋裏への雨漏り痕が発生するのは、塗装後すぐではないこともあります。
塗装後、間もない点検の場合は、その後に再度、屋根点検してもらいましょう。
弊社では、写真等による判断も行っており、気軽に相談を受け付けているのでお問い合わせください。
【まとめ】屋根塗装後は基本的に縁切りが必要です
縁切りとは、化粧スレートを再塗装したときに、上下の重なり部分が塗料で貼り付いて隙間を埋めることを防ぐために、塗料が完全に乾く前にカッター・スクレーパーなどを差し込んで、塗料を切る作業のことです。
屋根塗装後に縁切りしないと数年後、屋根全体で広範囲に雨漏りします。
スレート製造メーカーは、タスペーサーを入れておくと踏み割れのリスクがあるため、推奨せず、注意喚起を行っています。
屋根を健全にするために屋根塗装のメンテナンスを行うのに、スレート屋根が踏み割れしやすくなる工法はかえって、屋根が悪くなるので、やめておきましょう。
弊社では、写真等による判断も行っており、気軽に相談を受け付けているのでお問い合わせください。
神清からのお願い
記事を最後まで読んでいただきありがとうございます。
お客様の率直な感想をいただくため「役にたった」「役に立たなかった」ボタンを設置しました。
私たちは、日々屋根にお困りのお客様にとって必要な情報をお伝えしたいと考えております。今後のご参考にさせて頂きますのでご協力よろしくお願いいたします。