目次
雨漏りによる迷惑料とは?
雨漏りによる迷惑料とは、雨漏りが原因で賃貸物件などの入居者が被った精神的苦痛や生活上の不便に対して支払われる慣習的な補償のことです。
迷惑料が発生する可能性があるケースを紹介します。
- 財産への損害
- 生活上の不便
- 大家さんの契約違反
●財産への損害
雨漏りによって家具や家電、衣類などが濡れて損傷した場合にその修理費用や買い替え費用などです。
●生活上の不便
雨漏りによって部屋が使えず、入居者の生活に支障があると精神的なストレスが発生します。
このような場合に、迷惑料として補償されます。
●大家さんの契約違反
賃貸借契約書では、大家さんには物件を健全な状態で維持する義務がうたわれています。
雨漏りが長期間続いている場合には、この義務に違反している可能性があり、迷惑料として補償されることがあります。
雨漏りの期間によって異なる迷惑料の相場
雨漏りの期間によって迷惑料は異なります。
雨漏りを放置して入居者に迷惑をかける期間が長くなるほど、迷惑料の相場は高くなります。
修理までにかかった期間 | 迷惑料 |
---|---|
数日以内 | 菓子折りなど |
1週間程度 | 約1~3万円 |
1週間以上 | 雨漏りした期間の家賃保証 |
数日以内に修理できた場合は、迷惑料というお金ではなく、菓子折りなどでお詫びすることが一般的です。
修理期間が長くなった場合は、お金を支払うのではなく、雨漏りした期間分の家賃を受け取らない場合が多いようです。
雨漏りによる慰謝料は必要?迷惑料とは違う?
「迷惑料」とは、迷惑をかけたことに対する謝罪の意味合いや誠意のしるしとして渡す類のお金です。
そのため、「迷惑料」を請求することはできません。
大家さんが提案した「迷惑料」に対して、必要以上に求めることはできない性質のお金と言えます。
一方で、よく似ているように感じる「慰謝料」とは異なります。
「慰謝料」とは、相手に与えた精神的ダメージを金銭に換算し、その損害を償うために払うお金のことです。
雨漏りの被害では、基本的に「慰謝料」を支払う必要はないと言われています。
雨漏りは「物損事故」として扱われるため、破損した物を賠償すれば精神的な苦痛も保証したものと考えられるためです。
家財等は時価保証で計算される
「物損事故」の賠償は時価保証が一般的です。
そのため、被害のあった家財等は時価保証で計算されるため、家具や家電の賠償は新品価格を支払う必要はないとされています。
時価とは、損害を与えた対象と同等の物を再購入するのに必要な金額から、使用による消耗分を差し引いた金額のことです。
家具や家電などには、対応年数と呼ばれる使用可能期間がそれぞれ決められており、対応年数から使用による消耗分を差し引いて計算して算出されます。
参考事例を紹介します。
4年前に16万円で買ったソファを賠償する場合、ソファの対応年数は8年と決められてため、
16万円÷8年×(8-4)年=8万円(時価)
このようにして時価を求めることができます。
雨漏りによる家賃の減額は可能なのか?
入居者の部屋の一部が雨漏りによって使用できなくなった場合、その割合に応じて家賃を減額するように民法611条により定められています。
【民法第611条】
賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。
雨漏りで部屋の約半分のスペースが1ヶ月使えない状況では、家賃を半分に減額するというわかりやすい事例です。
また、お風呂やトイレが使えないなど、場所が限定的な場合は、「日本賃貸住宅管理協会」が示した「賃料減額と免責日数の目安」が参考になると思います。
状況 | 家賃減額割合 | 免責日数 |
---|---|---|
トイレが使えない | 20% | 1日 |
風呂が使えない | 10% | 3日 |
エアコンが使えない | 5,000円(1か月) | 3日 |
テレビが使えない | 10% | 3日 |
雨漏りによる利用制限 | 5~50% | 7日 |
例えば、「家賃10万円」で「トイレが3日間使えなかった」場合の家賃減額費用は、
10万円×20%×(3日‐1日)÷30日=1333円となります。
雨漏りによる迷惑料を請求するための流れ
雨漏りによる迷惑料・慰謝料を請求するための流れを紹介します。
- 報告
- 証拠の確保
- 請求書の作成
- 家主との交渉
- 専門家への相談
- 調停・訴訟
①報告
雨漏りが発生したら、速やかに大家さんまたは管理会社に報告しましょう。
口頭だけでなく、メールや書面など記録が残る方法で連絡しておきましょう。
発生場所、被害状況も詳細に伝えることが必要です。
②証拠の確保
雨漏りの状況を写真や動画で記録し、被害を受けた家具や家電などの状況も記録しておきましょう。
写真や動画はアップだけではなく、部屋全体のどの部分なのかわかるように撮影してください。
③請求書の作成
被害の内容と請求金額を明記した請求書を作成します。
請求書には、被害金額の算出根拠などを具体的に記載しておきましょう。
④家主との交渉
請求書を大家さんに送付して、交渉を開始します。
⑤専門家への相談
大家さんとの交渉が難航する場合や法的な知識が必要な場合は、弁護士などの専門家に相談しましょう。
弁護士会等で行っている無料相談なども活用しましょう。
⑥調停・訴訟
交渉や示談で解決できない場合は、調停や訴訟を検討することもできます。
調停・訴訟まで行くと時間と労力を要することになるので、感情に任せるのではなく、損害が大きい場合に検討してください。
賃貸契約前に確認しておきたいこと
賃貸契約書に雨漏りに関する条項があるか確認し、修繕責任や費用負担について事前に確認しておくべきです。
条項の記載のない場合は、必要に応じて追加の条文を設けてもらうことを検討してください。
入居前に、物件の状態をしっかりと確認し、雨漏りにつながりそうな場所や気になる点があれば管理会社や大家さんに質問や指摘をしておきましょう。
雨漏り痕があった場合、雨漏りが直っているのかを記録が残る形で回答してもらいましょう。
自分でできる雨漏りの点検方法やチェック方法について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨漏りによる迷惑料を請求できないケース
雨漏りによる迷惑料を請求できないケースについて紹介します。
- 原因が複数の人にある場合(大家さんや住人、引っ越し業者にも責任がある場合など)
- 生活に支障があることを証明することが難しい(雨漏りによる精神的なショックなど)
- 賃貸契約書に迷惑料や慰謝料を払わないことが記載されている
- 雨漏りを放置せずに、すぐに雨漏り調査・修理を行っている場合
雨漏りが発生しても家財等に被害が発生していない場合、クロスが少し濡れる場合などは迷惑料は請求できないと考えましょう。
迷惑料や損害賠償請求に対応してもらえないときは?
迷惑料や損害賠償請求に対応してもらえないときの対処方法を紹介します。
対応してもらえないときは、弁護士や国民生活センターといった専門家がいる窓口へ相談してみましょう。
国民生活センターや全国の消費生活センターでは消費者ホットライン「188」での電話相談を行っています。(相談は無料ですが、通話料金の負担が発生します。)
建物の関係ですぐに雨漏り修理できない場合は、契約している部屋の変更をしてもらう手段もあります。
【まとめ】雨漏りが発生したら迅速に対応しよう
賃貸物件で雨漏りが発生したら迅速に対応するようにしてください。
大家さんや管理会社へ雨漏りの状態、被害状況を伝えるとともに、証拠の写真・動画も撮影しておきましょう。
雨漏りは大家さんが直す義務があるからと言って、大家さんや管理会社へ雨漏りの発生を伝えずに雨漏りを放置しておくこともNGです。
雨漏りの精神的な苦痛に対する迷惑料よりも雨漏りを早期に直してもらうことを目的として対応し、雨漏りが続くようであれば、国民生活センターなどに相談してください。
雨漏りに関してお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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