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ガルバリウム屋根はメンテナンス不要?
ガルバリウム鋼板屋根はトタン屋根に比べて耐久性は高いですが、メンテナンスフリーではありません。
業者によっては、ガルバリウム鋼板屋根についてメンテナンスフリーをうたっていますが、どんな屋根材も多かれ少なかれメンテナンスは必須です。
ガルバリウム鋼板屋根の場合は、メンテナンスをすることで見た目をキレイに保つことができ、耐久性を維持することにつながります。
先ほど紹介しましたが、塗装ガルバリウム鋼板屋根は塗装メンテナンスもしくはカバー工法・葺き替えが必要となります。
10~15年で塗装メンテナンス、30年前後でカバー工法・葺き替えというメンテナンススケジュールとお考えください。
そもそもガルバリウムってどんな屋根材?
ガルバリウム鋼板とは、めっき鋼板の中の1つです。
「トタン」、「ぶりき」の仲間なのです。
分類名称としては、溶融55%アルミニウム‐亜鉛合金めっき鋼板です。
その中の日鉄住金鋼板(株)の商品名「ガルバリウム鋼板」が一般名称として、使われています。(短縮して「ガルバ」とも呼ばれます。)
アルミニウムの特徴である耐食性、加工性、耐熱性と亜鉛の特徴である犠牲防食機能により、トタンよりも3倍程度、耐久性が優れているめっき鋼板です。
つまり、ガルバリウム鋼板とはトタンを錆びにくくした、めっき鋼板のひとつです。
さらに、トタンと比べてコストアップがわずかなため、人気のめっき鋼板となっています。
ガルバリウム屋根のメリット
ガルバリウム屋根には、以下の4つのメリットがあります。
- サビに強い
- 耐久性が高い
- 軽い
- デザイン性が高い
今まで金属屋根材として使用していたトタン屋根(カラー鉄板)よりは、3倍以上はサビにくいです。
とくに、赤錆が発生しにくいので、見た目が劣化した雰囲気になりにくいです。
屋根材の中では、もっとも軽く、スレート屋根・樹脂繊維セメント屋根材と比較しても、1/4の重さです。(約5㎏/㎡)
ガルバリウム屋根の種類によっても異なりますが、緩い屋根勾配(5/100以上)でも対応可能な形状の屋根材もあります。
ガルバリウム屋根のメリットについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
どんな屋根材?知っておきたいガルバリウム鋼板のメリットとデメリット
ガルバリウム屋根はどうして耐久性が高いの?
ガルバリウム屋根が耐久性が高い理由について紹介します。
- ガルバリウム鋼板はアルミニウム55%、亜鉛43.4%、ケイ素1.6%の合金でできためっき層を持っている。
- アルミニウムがめっき層の表面に強力な「不動態被膜」を形成し、腐食作用に抵抗して表面を保護している。
- 亜鉛が犠牲腐食して生成物を形成し、アルミニウムの被膜と一緒に、めっき層の腐食を抑える効果を発揮する。
- アルミニウムと亜鉛の組み合わせにより、亜鉛だけのめっき層(トタン)よりもさらに優れた防食性を実現する。
この「アルミニウムと亜鉛のいいとこどり」により、ガルバリウム屋根は優れた耐久性を発揮し、トタンに比べて錆びにくい特性を持っています。
ガルバリウム屋根が耐久性が高い理由について詳しくはこちらの記事で解説しています。
どんな屋根材?知っておきたいガルバリウム鋼板のメリットとデメリット
ガルバリウム屋根のデメリット
ガルバリウム屋根のデメリットについて紹介します。
- 初期費用(イニシャルコスト)が高い
- メンテナンス費用が高い
- 雨音が響く
- 強風で飛散しやすい
- 保証のハードルが高い
- サビる可能性がある
ガルバリウム屋根の初期費用は種類によって大きな差がありますが、比較的に高価な屋根材となります。
メンテナンス費用もかかるので、ライフサイクルコストが安価な屋根材ではありません。
最大のデメリットは雨音が響くことです。
瓦屋根・スレート屋根からの葺き替え時には、雨音が気になる方がいらっしゃいますので、睡眠不足が気になる方はご注意ください。
ガルバリウム屋根のデメリットについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
どんな屋根材?知っておきたいガルバリウム鋼板のメリットとデメリット
ガルバリウム屋根が劣化する要因とは?
ガルバリウム屋根が劣化する要因について紹介します。
次のような条件下では、トタン同様にガルバリウム屋根も早期に腐食する可能性があります。
- 雨水や結露水等の水たまり
- ほこり・ちり・木材・金属粉などの固形物との接触
- 水蒸気、腐食性ガス
ガルバリウム屋根を劣化させる要因は水と異物がメインとなります。
ガルバリウム屋根の表面に異物(ほこり、木材、異金属、鳥などの糞尿など)が付着しているとその部分の劣化を促進させます。
ガルバリウム屋根が劣化する要因について詳しくはこちらの記事で解説しています。
ガルバリウム屋根の耐久年数は?経年で予想されるの劣化症状
ガルバリウム屋根の耐久年数と想定される経年劣化の状態について紹介します。
ガルバリウム屋根はトタン屋根にくらべてサビが発生しにくく、耐久年数は15~20年と長持ちします。
異物などで劣化が早まると、経年でサビや穴あきが発生する可能性があります。
また、ガルバリウム屋根の裏面に雨水が浸入すると裏面からも腐食が進行します。
具体的な劣化の状態については、次の章から詳しく解説していきます。
ガルバリウム屋根の20年後はどうなるの?実際の事例を紹介
条件の悪い所では、ガルバリウム屋根でも20年後に劣化が想定されます。
- 水溜り部の腐食
- 塩害によるサビ、穴あき
- 木材接触によるサビ
- 電食によるサビ
水溜り部の腐食
(引用元:日本金属屋根協会の技術資料)
ガルバリウム鋼板立平葺きは0.5寸勾配からと緩い傾斜の屋根でも、唯一、対応できる屋根材です。
しかし、経年の建物の動きや屋根面における立平葺きのひずみ・少しの凹凸などで、水溜まり部ができてしまうと、腐食が進んで赤錆が発生します。
また、内樋などで水勾配がうまくいかないと水溜り部が腐食してしまいます。
塩害によるサビ、穴あき
(引用元:日本金属屋根協会の技術資料)
塩害とは、海岸地域で、波浪によるしぶきが発生し、風により飛散し、建築物等への付着して、腐食が早まることをいいます。
塩害は、海岸からの距離が大きく関係しています。
そのため、ガルバリウム鋼板の保証の免責事項には、海岸からの距離(500mなど)が記載されているのでご注意ください。
木材接触によるサビ
(引用元:日本金属屋根協会の技術資料)
上の写真は、ガルバリウム鋼板屋根と木材との接触により赤錆が発生した事例です。
木材が湿ると、木酢液(木材中に含まれる酢酸が主成分)が染み出て、水分が酸性となるので、ガルバリウムめっき層が腐食し、その内側の鋼板が錆びてしまいます。
電食によるサビ
(引用元:日本金属屋根協会の技術資料)
鉄くぎからのもらい錆びでも腐食が進行します。
その他、ステンレス鋼板製雪止金具やステンレス鋼くぎ・ビスとガルバリウム鋼板との間では、水が介在すると電食により、ガルバリウム鋼板に錆びが発生します。
施工時に付着した切粉、加工屑や切断面からも錆びが発生します。
ガルバリウム屋根は本当にメンテナンスフリー?
ガルバリウム屋根も定期点検や簡易メンテナンスを屋根材メーカーは求めています。
●定期点検
日常点検では、確認できる範囲での目視点検となります。
業者点検では、5年に1回を目安に、専門業者による点検が推奨されています。
●簡易メンテナンス
年に数回、水洗いをすることで、屋根の美観を保つことできます。
屋根面に落ち葉、動物の排泄物や粉じんなどが堆積した場合、水洗いにより落としてください。
以上の定期点検、簡易メンテナンスを求められているので、ガルバリウム屋根がメンテナンスフリーというのは間違いです。
ガルバリウム屋根の4つメンテナンス方法
ガルバリウム屋根のメンテナンス方法については次の4つがあります。
- 定期的に水をかけて洗う
- 塗り替え
- カバー工法
- 葺き替え
先ほどもご紹介しましたが、水をかけて洗うことで、ガルバリウム屋根の表面の塩分やほこりを除去することができます。
ガルバリウム屋根にコケやチョーキング(白亜化)、色あせ、白錆が発生している場合、塗り替えすることで赤錆の発生を防ぐことができます。
赤錆などが発生してしまったら、雨漏りしていない場合はカバー工法によるメンテナンスが有効です。
雨漏りしている場合は、葺き替えが必要です。
ガルバリウム屋根のメンテナンス方法について詳しくはこちらの記事で解説しています。
ガルバリウム屋根のメンテナンスのタイミングは?
ガルバリウム屋根のメンテナンスのタイミングについて紹介します。
以下のメンテナンススケジュールが推奨されています。
- 塗装メンテナンス→10~15年
- カバー工法・葺き替え→30年前後
塗装メンテナンスはチョーキングが発生する築後10~15年のタイミングとなります。
カバー工法・葺き替えのメンテナンスはガルバリウム屋根の下に入っている防水シートの耐用年数である築後30年前後のタイミングとなります。
ガルバリウム屋根の平部の止水性は高いですが、屋根周辺などからガルバリウム屋根の裏側に浸入するからです。
防水シートが劣化すると雨漏りリスクが高くなりますし、ガルバリウム屋根の裏面から腐食が進行するので、塗装メンテナンスでは対応できません。
大規模改修となるカバー工法・葺き替えは30年でメンテナンス計画を立てておきましょう。
【まとめ】ガルバリウム屋根は定期的なメンテナンスが必要!
ガルバリウム鋼板屋根はトタン屋根に比べて耐久性は高いですが、メンテナンスフリーではありません。
10~15年で塗装メンテナンス、30年前後でカバー工法・葺き替えというメンテナンススケジュールとお考えください。
専門業者と相談しながら、20年後も美しい状態を保つためには、定期点検と簡易メンテナンス(年に数回の水洗い)などの適切なケアを行いましょう!
屋根に関してお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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