目次
新築で片流れ屋根が選ばれる理由と特徴とは?
片流れ屋根とは、一枚の屋根面が一方向に傾斜している屋根形状のことです。
最近の新築では採用率が高く、人気な屋根形状となっています。
片流れ屋根が選ばれる理由としては、新築では総二階などのキュービック状の箱型住宅が人気となっており、その屋根に適しているからです。
今までの箱型住宅の屋根として定番だった陸屋根(屋上防水)に比べて、片流れ屋根にすることで、シンプルでスタイリッシュなデザインとなります。
また、片流れ屋根の特徴は以下のものがあります。
- 陸屋根に比べてスタイリッシュなデザインとなる
- 陸屋根に比べて建築費用・メンテナンス費用が下がる
- 南向きの片流れ屋根は大容量の太陽光パネルを設置しやすい
住宅の高性能化(耐震性・断熱性)に取り組みやすい、箱型住宅が人気となっており、それに伴い片流れ屋根も多く選ばれています。
新築で片流れ屋根にする際によくある失敗とは?
新築で片流れ屋根にする際によくある失敗について紹介します。
- 雨漏りしやすい
- 屋根や外壁の取合部が傷みやすい
- 換気性能が低い
- 結露の発生
- 強風や台風に弱い
それぞれについて、次章から詳しく解説していきます。
新築で片流れ屋根を選ぶ失敗例①:雨漏りリスクが高い
新築で片流れ屋根を選ぶ失敗例➀として、雨漏りすることがあります。
片流れ屋根の棟部(屋根の頂部)では、野地板と破風板が鈍角(90°より大きい)となっています。
野地板と破風板の取合部から強風雨が野地板の裏面を伝い、伝い水となって建物内側へ浸入するリスクがあります。
屋根の棟部が鈍角となるのは、片流れ屋根特有の構造であり、強風雨で浸入しないような防水対策が必要です。
また、片流れ屋根の流れ方向の長さは、同じ敷地面積の切妻屋根と比較して2倍となります。
屋根の水下側となる軒先部・角部に流れる雨水量も切妻屋根の2倍となり、その分雨漏りリスクも2倍に高まります。
片流れ屋根のけらば部の水下側も2倍の雨水量となり、けらば部においてもしっかりとした防水対策が必要です。
新築で片流れ屋根を選ぶ失敗例②:屋根や外壁の取合部が傷みやすい
新築で片流れ屋根を選ぶ失敗例②として、屋根と外壁の取合部が傷みやすいことがあります。
片流れ屋根の棟部では屋根の軒天と外壁が鈍角となっています。
屋根と外壁の取合部はシーリング処理している場合が多く、その部分に日射・紫外線が当たりやすくなります。
棟部は屋根で一番高い位置となるため、強風雨がもっとも強く吹き込みます。
日射・紫外線や強風雨によっても屋根や外壁の取合部は劣化しやすくなり、そのまま放置してシーリングに隙間ができるとそこからの雨漏りリスクが増加します。
新築で片流れ屋根を選ぶ失敗例③:換気性能が低い
新築で片流れ屋根を選ぶ失敗例③として、小屋裏の換気性能が低いことがあります。
屋根の換気性能は、風力による換気と温度差による換気によって決まります。
片流れ屋根では、軒天換気口と棟換気口が同じ風向を受けることになり、風力による換気能力が低下します。
片流れ屋根では、緩い屋根勾配となる場合が多く、この場合は温度差による換気能力も低下します。
また、傾斜天井(屋根断熱仕様)の片流れ屋根も多く、屋根面での通気層も重要です。
片流れ屋根では、通気層の長さも切妻屋根の2倍となり、通気しずらくなり不具合が発生するリスクがあります。
新築で片流れ屋根を選ぶ失敗例④:結露が発生することも
新築で片流れ屋根を選ぶ失敗例④として、屋根面で結露が発生することがあります。
屋根の換気性能や通気性能が低下すると屋根面で結露事故が発生するリスクとなります。
また、北側斜線制限などで北面に向かって傾斜している片流れ屋根では、勾配が急になると屋根面への冬季日当たりが低下し、温度が低いままとなる屋根面に湿気が集まり、結露が発生することもあります。
結露が発生し、野地合板が湿潤した状態が続くと野地合板が腐ってしまう被害も発生します。
新築で片流れ屋根を選ぶ失敗例⑤:強風や台風に弱い構造
新築で片流れ屋根を選ぶ失敗例⑤として、強風や台風に弱い構造でもあります。
屋根でもっとも高い位置となる棟部では、軒天と外壁が鈍角となり、強風を受けやすい構造です。
強雨や巨大台風では、軒天が破損する事例も発生しています。
軒天が破損すると屋根面の下へ強風が入り込み、屋根面を破壊してしまうことがあります。
また、軒の出ない(軒ゼロ)の片流れ屋根では、強風や台風で屋根と壁の取合部に強風雨が吹き込みやすくなるので、雨漏りリスクが高まります。
新築で片流れ屋根の失敗を防ぐためのポイント
新築で片流れ屋根の失敗を防ぐためのポイントを紹介します。
雨漏り対策としては以下のことがあります。
- 屋根と壁の取合部で屋根と壁の防水ラインを連続させる
- けらばから雨水浸入を防ぐ特別な措置をする
- 軒先からの雨水浸入を防ぐ特別な措置をする
片流れ屋根の周辺部において、屋根の防水シートと壁の防水シートがラップするようにして、室内側への雨水浸入を防ぐことが有効です。
結露対策としては以下のことがあります。
- 換気棟を多く設置させる
- 屋根周辺部全周で換気させる
- 屋根断熱通気層は軒先吸気口と棟排気口に連通させる
- 屋根の断熱材下に防湿層を設置する
片流れ屋根の屋根断熱は結露リスクが高いので、通気層の確保と吸気口・排気口の連通を確実に行うことが重要です。
片流れ屋根の雨漏り対策について詳しくはこちらの記事で解説しています。
片流れ屋根のメリット・デメリット。心配な雨漏り対策もご紹介します!
新築で片流れ屋根の失敗を防ぐための【魔法の呪文】
新築で片流れ屋根の失敗を防ぐための【魔法の呪文】を紹介します。
以下の【魔法の呪文】を唱えると、雨漏りリスクを大幅に軽減できることができます。
- 「透湿ルーフィングを棟に巻いてください」
- 「けらばはシール材付きけらば水切りを使ってください」
片流れ屋根の棟部では、棟の端部に透湿ルーフィングを巻くことで野地板と破風板の取合部からの伝い水を防ぐことができます。
片流れ屋根のけらば部では、けらば捨て水切りからのオーバーフローリスクがあり、その対策として、シール付きけらば水切りを設置することが有効です。
呪文を唱えることで、全く同じ対策でなくても、建設会社が何かしらの有効な対策を行ってもらえるはずです。
新築の片流れ屋根が一言で雨漏りしなくなることについて動画で詳しく解説しています。
【まとめ】片流れ屋根はプロのアドバイスで失敗を防げる
新築で片流れ屋根にする際によくある失敗について紹介しました。
片流れ屋根の失敗としては、雨漏りと結露による不具合となります。
雨漏り対策と結露対策について具体的な案を紹介しました。
経験豊富な業者に相談すれば、片流れ屋根のリスクを軽減できます。
屋根から人の笑顔を作りたい!!!をモットーとして活動している、三州瓦老舗・創業150年の神清(かみせい)のDr.神谷にぜひお気軽にご相談ください。
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