築180年の瓦屋根/180年前の瓦師に感謝です!
こんにちは~。
屋根・雨漏りの調査員、神谷昭範です。
由緒ある専修坊様の屋根シリーズの最後です。
天保五年(1835)
本堂の鬼瓦はとても大きい鬼瓦のため、何重にも銅線で留め付けられています。
全体像も大きすぎて、写真に入りません。
鬼瓦の1か所に文字が入っていました。
「天保五年?日 寄進 横濱 瓦師 ・・・・」と鬼瓦に掘り込んであります。
天保五年(1835年)に造られた巨大鬼瓦が現役で、屋根を飾っています。
瓦師の名前が判別できません。
〇右衛門かな?と思いますが、最初の文字がよくわかりません。
立派な瓦屋根・鬼瓦なので、製造者の瓦師が約180年前に名前を残したのでしょう!
幕末の歴史はあまり強くないのですが、日本史で習ったペルー来航よりも前のものです。
その屋根に手を入れるのは、とても興奮しました。
立派な棟
鬼瓦も大きいのであたりまえですが、棟もとても高い棟でした。
少し離れていますが、人の大きさと棟の大きさが同じくらいです。
通常の家では、棟(高くても30cm程度)を跨いで反対側に移動できます。
この棟は跳び箱のように高く、とても反対側へは移動できません。
棟に使われている、のし瓦の厚みも1枚6cmと厚く、現在ののし瓦の倍以上です。
大きな屋根には、大きな瓦でバランスがとれているのかな?
軒先には、しゃちほこが飾られていました。
瓦のメンテナンス
約180年の間には、数回のメンテナンスが行われてきたと思います。
例えば、平瓦が割れている部分がありました。
今回の補修では、銅板とシーリングで補修しました。
瓦を交換するという補修もあるでしょうが、180年前の瓦を生かしながら雨漏りを防ぐには、このような補修も必要です。
実際に、同様の考え方で昔に補修された部分もありました。
上丸と上丸の間が空いてしまった部分の補修として、モルタルをその隙間に入れてあります。
その当時はモルタルが止水する材料だったのでしょう。
また、ところどころに表面剥離している上丸がありました。
凍害による剥離と思われます。
しかし、瓦として使用できないほどの剥離ではありません。
下から屋根を見上げても違和感は感じません。
180年も経つと一部にはこのような瓦があっても不思議ではない気がします。
この程度ですと逆に、180年前の瓦の製造技術がすごいな~と驚きです。
この赤丸部分のメンテナンスは比較的最近作られた瓦で行われています。
瓦屋根のメンテナンスの特徴は部分補修が可能であることです。
問題があった部分に新しい瓦を入れ替えても施工できますし、違和感もありません。
互換性ができるように復元の瓦も作ることができます。
そのため、日本で現在最古の現役の瓦は1400年前の瓦が元興寺の屋根で、建物を守っています。
180年前の瓦師に感謝です!
木材と石と瓦だけは適正に使用すれば、ずーと使用できると言われています。
ずっと使えるということは、もっとも安価な材料とも言えます。
180年前の瓦師が丈夫な瓦を作ってくれたことに感謝いたします。
また、それを気付かせてくれた補修工事を行うことができた縁に感謝でございます!!
神清からのお願い
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