金属屋根の通気工法 エアーギャップシートのご紹介!

Dr.神谷
Dr.神谷
  • みなさま。こんにちは。
    屋根から人の笑顔を作りたい!!!神清(かみせい)のDr.神谷です。

    弊社は、高浜市・半田市にある創業150年老舗三州瓦の生産・販売・工事を行っている会社です。
    年間200棟以上の雨漏り調査・修理を行っています。
    建築業界誌「日経ホームビルダー」の連載記事「新次元!雨漏り対策」を執筆しています。

本記事はこんな人にお勧めします。

ガルバリウム鋼板立平葺きの屋根を検討している人。

長寿命の屋根を検討している人。

新築の屋根を検討している人。

この記事で伝えたいこと

屋根の長寿命化として、通気工法を採用した屋根があります。

瓦屋根・スレート屋根・金属屋根に対して、縦桟・横桟を組み合わせた通気下地屋根構法が国総研の共同研究で検討されてきました。

瓦屋根は昔から縦残・横桟の通気工法があります。

今年の春には、スレート屋根でも通気工法が発表されました。

ときどき、「金属屋根の通気工法はありますか?」とご質問をいただきます。

実は、金属屋根の立平葺きには、約10年以上前からエアーギャップシートを使用した通気工法が実用化されています。

この記事では、金属屋根立平葺きの通気工法・エアーギャップシートをご紹介します。

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金属屋根の通気工法 エアーギャップシートのご紹介!

屋根の長寿命化として、通気工法を採用した屋根があります。

瓦屋根・スレート屋根・金属屋根に対して、縦桟・横桟を組み合わせた通気下地屋根構法が国総研の共同研究で検討されてきました。

瓦屋根は昔から縦残・横桟の通気工法があります。

今年の春には、スレート屋根でも通気工法が発表されました。

 

ときどき、「金属屋根の通気工法はありますか?」とご質問をいただきます。

実は、金属屋根の立平葺きには、約10年以上前からエアーギャップシートを使用した通気工法が実用化されています。

この記事では、金属屋根立平葺きの通気工法・エアーギャップシートをご紹介します。

 

エアーギャップシートとは?

エアーギャップシートは、屋根材と野地板との間に10mmの空気層を確保することができる透湿ルーフィングです。

透湿ルーフィングに網状体のスペーサーが付いたものです。

↑野地板に施工した状態のエアーギャップシート(ルーフィング)です。

このタイプの透湿ルーフィングは、ヨーロッパでは20年以上前から金属屋根のルーフィングとして使用されています。

↑ドイツでの金属屋根の施工風景です。(黒色が網状体スペーサー)

それを国内の基準・仕様に適合させるべく、国産された商品です。

 

エアーギャップシートの特徴

商品構成としては、白いシート状の透湿ルーフィング(タイベックルーフライナー)の上面に黒い立体網状体を熱接着してあります。

サイズとしては、幅1m×長さ15m(働き13.5㎡/本)で、ロール状になっています。

立体網状体の材質はポリプロピレン製、形状は3次元の複雑な網状体となっていて、その厚さは10mmです。

網状体の特徴は以下となります。

①対面圧力に優れている。(圧縮性能:200kg/㎡)

⇒金属屋根の上を歩いてもへこまない。

②屋根で使用する上で、耐熱性・耐久性がある。

⇒経年で、金属屋根が沈み込むことがない。

③網状体の空間内は透湿・通気性がある。

⇒金属屋根の下で野地面通気が可能となる。

これらの特徴は、金属屋根材の下地材に適していて、金属屋根をより高性能なものとすることができます。

遅くなりましたが、ここで、エアーギャップシートのもう1つの重要な要素となっている白いシート状の透湿ルーフィングについて説明いたします。

屋根面において、屋根材の下で使用するルーフィング(防水材)の一種で、水は通さず(防水)、湿気は通す(透湿性のある)ルーフィングのことです。

詳しくは、こちらをご覧ください!

【新築時に役立つ】ルーフィング種類別メリット・デメリットを屋根プロが徹底比較しました!

 

エアーギャップシートのメリット

金属屋根の下葺材として、エアーギャップシートを使用した場合のメリットを示します。

屋根の温熱環境が向上する

弊社実験棟(監修:西日本工業大学・小野研究室)において、屋根・小屋裏の温度・湿度を測定して、立て平葺き(エアーギャップシートの有無)、スレート屋根との比較実験を行いました。

↑弊社実験棟での実験の様子です。

↑改質アスファルトルーフィングを使用して、通常通り立て平葺きを施工。

↑エアーギャップシートを使用して、立て平葺きを施工。

①遮熱性能が高い。

夏季、エアーギャップシートが有ることで小屋裏温度が約5℃低下しました。(青線)

 

野地板の腐朽を防ぐ

冬季、放射冷却による野地板の低温化を防ぎます。

小屋裏温度低下を防ぎ、小屋裏湿度は低湿化します。

結果、野地板の結露リスクが低下します。

②野地板の湿気を排出できる。(乾燥できる)

透湿ルーフィングは野地板の湿気を空気層へ通すことができます。

その湿気を軒先から棟へ通気・排出できるので、野地上を低湿化できます。(緑色)

これは野地板の腐朽を防ぐことができます。

さらに、金属裏面の結露防止に効果があり、金属屋根材裏面の腐食を軽減できます。

 

金属屋根の耐久性が向上する

③金属屋根内に入った水を排水できる。

網状体の空間により、金属屋根内に入り込んだ水は軒先まで流れ、排水できます。

ルーフィング上で滞留することがないので、金属屋根裏面の錆を防ぎます。

 

遮音性が向上する

④遮音性能が高い。

金属屋根の弱点である雨音を小さくします。実験(東洋大学・藤井研究室)で測定した結果、約5デシベル下がることがわかりました。

金属屋根材とエアーギャップシートが全面に接触することで、耳障りのする高音が低音にもなり、金属特有の気になる雨音、金属鳴りを改善できます。

 

以上、エアーギャップシートは今まで金属屋根の弱点とされていた4つのポイントを改善する効果があります!

 

エアーギャップシートのデメリット

イニシャルコストが上がる

エアーギャップシートのデメリットはイニシャルコストが大幅に上がることです。

通常の立平葺きと比べて、約1.5~2倍となります。

一方で、雨漏りや結露のリスクが減少し、野地板の劣化を防ぎ、メンテナンス費を削減することはできます。

 

エアーギャップシートの施工例

エアーギャップシートのような空間があると金属屋根がベコベコするのでは?と不安に思われる方もいらっしょるのですが、実際の施工例をご覧ください!

ご安心ください、このようなアーチ状の屋根でもきれいに施工できます。

 

まとめ:エアーギャップシートは金属屋根の弱点を克服できます!

金属屋根の通気構法として、エアーギャップシートをご紹介しました。

特に、野地板の腐朽防止と金属屋根裏面の腐食防止が実現でき、長寿命住宅の屋根にはピッタリと言えます。

また、最近、屋根断熱における野地板の結露事故を目にすることがあります。

透湿ルーフィング+通気は屋根断熱における野地板の結露防止にも効果がありますので、屋根断熱住宅の金属屋根にもお勧めです!

逆に、太陽光パネル設置を検討されているのであれば、太陽光発電システムメーカーに設置可能か確認してください。

太陽光メーカーによっては、網状体の経年での沈み込みによる漏水を危惧して、NGとしているところもあるようです。

また、エアーギャップシート以外にも、同じような機能がある商品としては、「イーストルーフ通気マット」がありますので、ご参考にしてください。

通気層を確保する網状体だけの仕様となっています。

そのため、アスファルトルーフィングとの組み合わせでも使用可能となります!

詳しくは、こちらをご覧ください!

イーストルーフ通気マット

 

専門用語もあり、わかりにくい所もあったかと思います。

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