目次
- ベランダ・バルコニーからの雨漏りは多い
- ベランダとバルコニーの違いは?
- ベランダ・バルコニーは瑕疵担保責任保険からはずれる?
- ベランダからの雨漏り修理費用の目安をご紹介します。
- 火災保険でベランダ・バルコニーの雨漏り修理は可能?
- 瑕疵保険が支払われたベランダ・バルコニーの主な雨漏り原因は?
- ベランダ・バルコニーの雨漏りの原因と応急処置の方法
- ベランダ・バルコニー雨漏りした役立つ応急処置グッズ
- 修理業者がベランダ・バルコニーの雨漏りを修理する方法
- 注意しておきたいベランダの雨漏りの初期症状
- 雨漏りによる主な二次被害
- ベランダの雨漏りの調査方法
- 住んでいるのがマンションなら管理会社に相談しよう
- ベランダの雨漏り調査・修理の事例を紹介します。
- ベランダ・バルコニーの雨漏りを予防する方法
- ベランダの雨漏りは、調査・修理がセットです!
ベランダ・バルコニーからの雨漏りは多い
普段、雨漏り修理を行っていて、「ベランダ・バルコニーからの雨漏りが多い。」という感覚があります。
それを裏付けるデータがありますのでご紹介します。
新築の瑕疵保険(かしほけん)が支払われた瑕疵(かし)の内容は、平成25年では、雨漏りは95%となっていて、新築の瑕疵=雨漏りとなっています。
その内分けは、屋根が約22%、外壁が約72%だそうです。(意外と屋根が少ないのです。)
外壁の詳細は、外壁面31%、外壁の窓廻り25%、バルコニー16%となっています。
外壁の中では、ベランダ・バルコニーは3番目ですが、
ベランダ・バルコニーは、全ての住宅に設置されているわけではなく、さらに、面積が小さいことを考えると、雨漏りしやすい場所だと言えます。
ベランダとバルコニーの違いは?
「ベランダとバルコニーの違いは?」と聞かれると、何となく使い分けているけど、正しい違いはわからなかったので、調べてみました。
「ベランダ」とは、2階以上で、建物から張り出した部分で、ひさし、軒下(のきした)、屋根がかかっているものを言います。
「バルコニー」とは、2階以上で、建物から張り出した手すりつきのスペースのことを言います。
屋根があるか、ないかの違いのようです。
また、「ルーフバルコニー」という呼び方もあります。
これは、「バルコニー」の下が居室で、バルコニーを屋根部分として使われるものを「ルーフバルコニー」と呼びます。
ベランダ・バルコニーは瑕疵担保責任保険からはずれる?
新築時の住宅瑕疵担保責任保険では、ベランダやバルコニーは適用外となります。
さっきのバルコニー16%と言っていたのは何?と思われた方もいらっしゃると思います。
住宅瑕疵担保責任保険では、バルコニーとは、「ルーフバルコニー」のことです。
下階の居室内へ雨漏りしないと、保険対象外になりますので、ご注意ください。
ベランダからの雨漏り修理費用の目安をご紹介します。
ベランダ・バルコニーの雨漏り修理費用の目安を以下の表に示します。
簡単な修理なら、5~20万円が目安です。
修理場所 | 修理内容 | 費用 |
---|---|---|
手すり・笠木 | 部分的な修理・シーリング | 5~15万円 |
床 | 床の防水層の修理・下地の改修 | 15~50万円 |
外壁 | 外壁材のシーリング・外壁材の交換・下地の改修 | 5~80万円 |
ベランダ・バルコニーの床・外壁の下地(木材)が腐朽・シロアリなどの被害が発生していた場合は、40万円~80万円が目安となります。
あたり前ですが、早めに雨漏り修理をすることが、費用を抑えることにつながります。
火災保険でベランダ・バルコニーの雨漏り修理は可能?
ベランダやバルコニーの雨漏りの原因が自然災害によるものであると認められた場合には、火災保険が適用される可能性があります。
台風の強風によって、ベランダやバルコニー部分の防水層や外壁等に破損が生じた場合などが自然災害と認められます。
明確な破損が原因の雨漏りは火災保険で雨漏り修理が可能となります。
一方で、明確な破損以外のヒビ割れ等が発生している場合、自然災害によるものか経年劣化によるものなのかの判断は一般の方ではとても難しいと思われます。
この場合は、専門業者に相談して、雨漏り原因からしっかりと調査してもらうことをオススメします。
火災保険を使って雨漏り修理を行うことについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨漏り修理に火災保険を使いたい!経年劣化によるものも可能なのかを解説
瑕疵保険が支払われたベランダ・バルコニーの主な雨漏り原因は?
ベランダ・バルコニーの雨漏りしやすい場所とは?
新築の瑕疵保険が支払われた主な原因は、
◎防水層の施工不良
◎ドレン廻りの施工不良
◎手すり笠木まわりの施工不良
の3つと言われています。
どの部分か下のバルコニーの写真で示します。
なぜ?雨漏りしやすいの?
ベランダ・バルコニーが雨漏りしやすい理由をいくつか紹介します。
①直接、雨がかかる場所だからです。
建物から張り出しているため、雨を受けやすくなっています。
②取り合い部(壁と手すり、防水層と窓まわり、防水層と排水ドレン、壁と窓まわり、笠木と壁など)が多い場所です。
取り合い部は防水シートなどの連続性や職種の連携が必要となります。
作業の順番などのミスは、雨漏りの原因になり得ます。
③強風雨を受けやすい場所です。
笠木の下端などは、強風雨が浸入しやすくなっています。
ベランダの雨漏りはなかなか直らない。
ベランダからの雨漏りは必ず調査して、修理しましょう!
ベランダの雨漏りはなかなか直らない場合が多いです。
雨漏りの浸入部となり得る場所が多いから、職人の勘だけでは、浸入口をあてるのは、むずかしいと思われます。
ベランダに何色かのシーリング痕が残っている現場もときどき見かけます。
複数の業者が直そうとトライした形跡です。
雨漏り調査して、修理することができる業者を選ぶようにしましょう。
ベランダ・バルコニーの雨漏りの原因と応急処置の方法
ベランダ・バルコニーで代表的な雨漏りの原因と応急処置の方法を紹介します。
- ベランダの排水溝の詰まり
- 防水層の劣化
- 笠木の劣化
- ベランダの壁の破損
①ベランダの排水溝の詰まり
ベランダの排水溝は落ち葉や土ぼこり、劣化した洗濯干しグッズなどが詰まりやすいです。
排水溝が詰まると大雨時ベランダに雨水が溜まり、防水層からオーバーフローして雨漏りがするリスクがあります。
応急処置としては、排水溝に詰まったゴミを撤去することです。
②防水層の劣化
防水層の劣化すると防水層の下に雨水が浸入します。
浸入量が多くなると下地の継ぎ目などから雨漏りすることがあります。
応急処置としては、劣化した防水層のあなの部分を防水テープなどでふさぐことができます。
③笠木の劣化
笠木の留め付け部分が劣化すると雨水浸入しやすくなり、やがて雨漏りにつながります。
応急処置としては、笠木の留め付け部分をコーキングして、雨水が入りにくくすることができます。
④ベランダの壁の破損
ベランダにある外壁面の破損やサッシまわり周辺の隙間から雨水浸入して雨漏りになることが多いです。
応急処置としては、破損部分や隙間に防水テープなどでふさぐことができます。
ベランダ・バルコニー雨漏りした役立つ応急処置グッズ
ベランダやバルコニーで雨漏りが起こったときに役立つ応急処置グッズを紹介します。
- バケツ
- 防水シート
- 防水テープ
- コーキング材
①バケツ
バケツは雨漏りした水が床や家具に飛び散って、被害を拡大させないように雨漏りを受けるために使用します。
バケツの底にあたって、水滴が飛び散ることもあるので、バケツの中にタオルを入れておくと防ぐことができます。
②防水シート
あまり大きくないベランダ・バルコニーなら雨漏りの原因箇所付近に防水シートをかぶせて、雨が当たらないようにすることができます。
それで雨漏りが止まれば、その防水シートの下が原因箇所となります。
③防水テープ
目視で明らかなあなや隙間が発生している場合、防水テープを貼ることで雨漏りを防ぐことができます。
防水テープにはいろいろな種類があり、ブチル系などははがした時に黒い痕が残る可能性があるので注意してください。
④コーキング材
防水テープを貼りにくい立体的な隙間はコーキング材が有効です。
プライマー塗布したり、ヘラを使ったりして隙間の中に入るようにしましょう。
雨漏りの応急処置について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨漏りの直し方!あなたにもできる5つの応急処置【プロが解説】
修理業者がベランダ・バルコニーの雨漏りを修理する方法
修理業者がベランダ・バルコニーの雨漏りを修理する方法を紹介します。
- ベランダ床の修理
- ベランダ笠木・腰壁の修理
- ベランダ掃き出し窓の修理
- ベランダ排水溝の修理
それぞれの修理の方法について簡単に解説していきます。
ベランダ床の修理
ベランダ床の防水層にヒビ割れなどが発生している場合は、防水層の補修を行います。
基本的には、ベランダ床全面の防水層をやり替えします。
ベランダ床の下地材まで劣化がみられるときは、防水層の下地を張り替え・カバーして、新たに防水層を設置する修理となります。
ベランダ笠木・腰壁の修理
ベランダ笠木が劣化している場合は、笠木の交換や笠木ジョイント部のシーリング処理などを行います。
ベランダ腰壁が劣化している場合、軽度であれば外壁材のシーリング補修や塗装などを行います。
腰壁の下地まで劣化しているような重症であれば、腰壁を撤去して、その下地から補修し、腰壁の外壁材を新たに設置する修理となります。
ベランダ掃き出し窓の修理
ベランダ掃き出し窓が原因の雨漏りは、窓まわりのシーリング修理、窓下と防水層の取り合い部のシーリング処理などを行います。
また、窓まわりの外壁材のヒビ割れや外壁目地のヒビ割れなどもシーリング補修で対応することが多いです。
ベランダ掃き出し窓まわりをしっかり直したい場合は、外壁材を撤去して、壁内の防水シートの張り替えを行うこともあります。
ベランダ排水溝の修理
ベランダ排水溝の周辺の防水層が劣化している場合は、改修ドレンを設置することがあります。
排水溝の防水層が劣化している場合は、ベランダ全体の防水層をやり替えする場合があります。
注意しておきたいベランダの雨漏りの初期症状
べランダで雨漏りが起こっているときは、初期症状がみられる場合があるので、ベランダの雨漏りの初期症状を紹介します。
- ベランダの下の部屋にシミ
- クロスの剥がれや浮き
- ベランダの軒天井にシミ
- 軒下の塗装のはがれ
雨漏りとして水滴や水溜まりがなくても、天井や壁のシミが発生することがあります。
雨漏りの初期症状の可能性が高いので、早めに雨漏り修理を行いましょう。
雨漏りによる主な二次被害
雨漏りによる二次被害や雨漏りを放置して起こる弊害を紹介します。
- シミが発生する
- 木材は腐って金属はサビる
- カビやシロアリが発生する
- 漏電で火災が発生する
- 家の寿命が減る
それぞれについて簡単に解説します。
シミが発生する
ベランダ・バルコニーの雨漏りの二次被害として、下の部屋の天井や壁にシミが発生します。
頻繁に雨漏りするとシミがひどくなり、クロスや天井材を交換することになります。
木材は腐って金属はサビる
雨漏りを放置するとベランダ・バルコニー下の構造材である木材は腐って、金物や金属材はサビが進行します。
ベランダ・バルコニーからの雨漏りは頻繁に発生している場合が多く、気が付いたときには大規模な改修が必要となることが多いので注意してください。
カビやシロアリが発生する
ベランダ・バルコニー下の雨漏りは頻繫に発生することが多く、カビやシロアリが発生する要因となります。
ベランダ・バルコニーの防水層は水を受ける場所であるため、降雨のたびに雨水浸入するからです。
漏電で火災が発生する
ベランダ・バルコニー下の雨漏りはコンセントボックスや分電盤、配線などが濡れることにつながり、漏電するリスクがあります。
悪条件が重なると漏電によって火災が発生することもあります。
家の寿命が減る
建物の木材の腐り、金属の腐食、シロアリ被害などは建物の強度を低下させます。
家の床鳴りが発生したり、床が傾いたりするだけでなく、建物の耐震性の低下にもつながります。
雨漏りを放置する弊害について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨漏りを放置すると待っている5つの弊害とは?屋根屋が徹底解説
ベランダの雨漏りの調査方法
ベランダの雨漏りの調査方法について紹介します。
- 目視調査
- 散水調査
- 赤外線サーモグラフィ調査
目視調査
ベランダの状態を目視・写真撮影して、雨漏りの浸入箇所の可能性がある部分を探します。
費用は0円ですが、あやしい箇所を探すだけなので、原因箇所の特定に至らない場合も多いです。
散水調査
目視調査で目星をつけたあやしい箇所を順番に散水して、漏水の有無を確認します。
散水調査は建築知識、経験が必要であり、作業者の技量の違いで結果が異なる場合もあります。
費用は0~30万円が多いようです。
赤外線サーモグラフィ調査
赤外線カメラを使い、建物内外の熱画像を撮影して、雨水の浸入経路を調べます。
赤外線サーモグラフィ調査はかなり熟練が必要であり、結果が異なるため、赤外線サーモグラフィ調査のみで判断することはオススメしません。
費用は0~20万円が多いようです。
雨漏りの原因調査について詳しくはこちらの記事で解説しています。
【雨漏りの特定方法】原因を調査するための5つの方法を徹底解説
住んでいるのがマンションなら管理会社に相談しよう
住んでいるのがマンションであれば、ベランダはマンションの共有部分になるため、許可なく修理をすることは避けましょう。
管理会社や大家さんに相談して補修してもらいましょう。
上階のベランダから雨漏りしてくることもあります。
上階の人と話をする必要がある場合も、管理会社や大家を通して話をするべきです。
近隣トラブルとならないように、慎重に相談することをオススメします。
ベランダの雨漏り調査・修理の事例を紹介します。
ベランダからの雨漏りに対する調査・修理の事例をいくつか、簡単に紹介します。
バルコニーの内壁と手すり・笠木の取り合い部から雨漏りした事例
長期間にわたり、バルコニーから雨漏りしていたために、バルコニーの下地となる木部が腐朽していました。
笠木と壁の取合部から浸入しており、中の木材が完全に腐っていました。
内壁・下地・床と大掛かりな修理が必要で、費用は約80万円程でした。
バルコニーの雨漏り バルコニー内壁交換による修理【愛知県稲沢市】
バルコニーの床のFRP防水層が劣化して、防水層のき裂から雨漏りしていた事例
バルコニーの床の下面(軒天・のきてん)に黒染みが発生して、雨漏りが発覚しました。
防水層の亀裂を応急処置していたのですが、その隙間から雨水が浸入していました。
防水層であるFRP防水をやり直して、修理しました。
ルーフバルコニーの雨漏り FRP防水による修理【愛知県東海市】
バルコニーと壁の取り合い部からの雨漏り事例
バルコニーと壁の取り合い部からの雨漏りは比較的多い事例です。
手すり・笠木の下に隠れている防水シートと壁の防水シートの間を防水テープ等でしっかりと手順通り防水する必要があります。
この物件では、さらに、防水シートの劣化も発生していました。
バルコニーからの雨漏り補修 防水シートの劣化【愛知県岡崎市】
バルコニーの雨漏りは塗装しても直らない事例
バルコニーから雨漏りしていたのですが、塗装すれば直ると言われ、塗装したけど直らなかった事例です。
雨漏りは塗装では、基本止まりません。
塗装する前に雨漏り調査して、併せて補修することが重要です。
なかなか止まらない雨漏り 塗装する前の雨漏り調査が有効です!【愛知県瀬戸市】
ベランダ・バルコニーの雨漏りを予防する方法
ベランダ・バルコニーの雨漏りを予防するには、定期的なメンテナンスにつきます。
10年おきに、しっかりと点検することが重要です。
防水層のヒビ割れや防水シートのはがれなどの雨漏りの原因となり得る不具合・劣化を発見することができ、早めに対処できるからです。
防水層のメンテナンス期間は10年程度であり、放置して20年以上持つことはほとんどありません。
雨漏りして二次被害を補修するのであれば、割り切って定期メンテナンスする方が安価となります。
定期点検以外の雨漏りを予防するためのコツを紹介します。
- 排水溝に溜まっているゴミをこまめに取り除く
- バルコニー・ベランダには極力ものを置かない
- こまめにバルコニー・ベランダを掃除する
- 庇(ひさし)を設置する
ベランダ・バルコニーを掃除することは雨をスムーズに排水することにつながり、雨漏りの予防となります。
また、掃き出し窓からの雨漏り予防として、庇(ひさし)を設置することも効果的です。
ベランダの雨漏りは、調査・修理がセットです!
ベランダの雨漏りは調査・修理はセットをお考えください。
ベランダからの雨漏りの原因となりやすい浸入箇所が、狭い面積の中で、いくつもあります。
取り合い部(壁と手すり、防水層と窓まわり、防水層と排水ドレン、壁と窓まわり、笠木と壁など)が浸入箇所となります。
ベランダの下地が腐朽する前に、雨漏り修理することが、費用を安価に抑えるポイントです。
ベランダからの雨漏りが心配な方はお気軽にお問い合わせください。
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