屋根が結露してお困りの住宅を補修しました!
みなさま。こんにちは。
屋根から人の笑顔を作りたい!!!
神清(カミセイ)のDr.神谷です。
屋根が結露してお困りの方からご相談をいただきました。
結露調査~補修工事~終了点検の一連の流れを簡単にご紹介します。
屋根での結露はあまり知られていないので、ご参考にしてください。
ちなみに、屋根の結露が発見される場合は、結露がひどくて雨漏りのように室内へ流れ発見される場合と屋根の点検時に発見される場合があります。
最近では、太陽光設置後の定期点検が冬場に行われた場合に、野地合板の濡れ・結露が見つかるケースも耳にします。
雨漏りと結露の区別はむずかしいので、微妙な場合は屋根の専門家に相談してくださいね。
どんな屋根が結露しやすいの?
結露しやすい屋根は、ザックリいうと2パターンあります。
①天井が傾斜している屋根
②水平な天井の家の中で、一部分、天井が傾斜している屋根(ロフトがある屋根)
①天井が傾斜している屋根は屋根断熱仕様となっています。
つまり、屋根断熱仕様は結露しやすいと言えます。
屋根断熱仕様の結露対策について詳しくは、こちらをご覧ください!
今日は、②の屋根における結露事例について説明します。
②の屋根は天井断熱仕様と屋根断熱仕様が両方ともある住宅となります。
天井断熱&屋根断熱の併用
まずは、こちらをご覧ください!
この写真は天井上の小屋裏を撮影したものです。
左側は天井断熱となっていて、右側は部屋がロフトとなっていて、屋根断熱となっています。
このように、一つの住宅の中で、両方存在している場合は要注意です。
屋根断熱部分
これは屋根断熱部分の写真です。
下側が部屋・天井となっていて、その上に断熱材、通気層、野地合板、屋根となる断面部分です。
この野地合板が結露していました。
野地合板は結露水でびしょびしょになっていました。
野地合板の含水率を測定してみますと40%以上となっていて、このままの状態が続くと野地合板が腐朽劣化して、強度低下してしまいます。
さらに、結露水により、小屋裏全体も高湿化が進みます。
天井断熱部分
天井断熱部分でも結露がありました。
これは小屋裏側から屋根の棟部(屋根の頂点)を見たところですが、野地合板には結露水はなかったのですが、アスファルトルーフィングの裏面に結露水がありました。
小屋裏換気が設置されていないのか、確認したところ、軒天換気孔は設置されていました。
小屋裏から軒天換気孔を撮影すると真っ暗の中で換気部分に光が見えます。
外からみると、こんな感じです。
軒天に有孔ボードが使用されていました。
よく見ると、結露水痕が有孔ボードに見られました。
軒天換気孔があるのに、なぜ結露?
通常の天井断熱だけの住宅では、軒天換気が設置されていれば、結露することはほとんどありません。
しかし、天井断熱と屋根断熱の併用の場合、軒天換気孔だけでは不十分なのです。
屋根断熱の通気層の排気孔を棟部に設置する必要があります。
そこで、棟部に棟換気を設置する補修工事を行いました。
棟換気を設置する改修工事
屋根の棟部分をはがして、棟換気を開口しました。
すると、棟の野地合板でおもしろい現象が見られました。
この写真は北面野地合板で、屋根の防水材であるアスファルトルーフィングを少しめくってみた状態です。
野地合板表面はびしょびしょに濡れていて、ルーフィングの裏面も結露水が確認とれました。
どちらかというと、野地合板の小屋裏側よりもルーフィング側の方が結露水がひどいように見えました。
一方、この棟越しの南面野地合板を見ると、
野地合板の表面には結露水痕は見られませんでした。
同じ小屋裏空間に面した野地合板ですが、北面と南面で全く異なる状況でした。
つまり、北面野地合板だけがひどく結露していました。
この結露現象を改善させるために、棟換気を設置しました。
棟換気としては、アンダーコンポ換気棟を設置しました。
この住宅では、天井断熱・屋根断熱が入り組んでいましたので、5体の換気棟を設置しました。
棟換気の設置改修工事費は目安としては、50,000円/1体~となっています。
アンダーコンポ換気棟のご購入はこちらからどうぞ!
棟換気の設置には関して、詳しくはこちらをご覧ください!
終了点検
棟換気を設置して、2週間程度経過してから、終了点検を行いました。
棟換気を設置するのが目的ではなく、屋根の結露を防ぐのが目的であるため、棟換気が有効に働いて、小屋裏が改善しているか点検しました。
改修工事前はびしょびしょに濡れていた野地合板ですが、結露水は見られませんでした。
結露痕の部分も乾燥していました。
確認のために、野地合板の含水率を測定したところ、40%以上あった含水率が21%になっていました。
木材が腐朽しない含水率は28%以下とされていますので、2週間で十分クリアするほどに乾燥していました。
小屋裏の温度・湿度も改善されていたので、棟換気の設置がこの住宅の小屋裏を低湿化させる効果があったと確認できました。
お伝えしたいポイント
少し内容を理解するにはむずかしかったと思いますが、お伝えしたいポイントを整理いたします。
ポイント1:棟換気を設置しましょう!
天井断熱では、軒天換気孔だけでもいいことになっています。
しかし、屋根断熱・ロフトが併用される場合は、棟換気が必須となります。
屋根断熱は軒天吸気・通気層・棟排気の3点セットが必須となっています。
天井断熱・屋根断熱併用の場合は、安全側となる屋根断熱の基準で、棟換気を設置しましょう!
ポイント2:透湿ルーフィングは有効です!
この現場では、野地合板の屋根面側がひどく結露していました。
この結露対策としては、透湿ルーフィングを使用することです。
アスファルトルーフィングは透湿性能がないため、屋根側に湿気を排出することができません。
透湿ルーフィングは透湿性が高いため、屋根側に湿気を排出することができ、野地合板表面での結露は発生しません。
天井断熱・屋根断熱の併用では、より安全となる透湿ルーフィングをお勧めいたします。
ルーフィングについて詳しくは、こちらをご覧ください!
まとめ:屋根の結露は棟換気で改善しました!
屋根の結露が発生しやすい天井断熱・屋根断熱の併用事例をご紹介しました!
結露の原因は、屋根断熱部分に棟換気が設置されていなかったことが大きいと言えます。
棟換気を屋根全体にバランスよく設置することで、小屋裏を低湿化させ、野地合板も乾燥させることができました。
棟換気を設置するだけではなく、この屋根の結露発生が防止できたこともしっかりと確認しました!
ここで、余談ですが、屋根の結露はもともと別の業者が点検時に発見していました。
その業者はその現象を直すためには、屋根の葺き替えが必要といい、かなり高額の見積を提出したそうです。
お施主さまが不安に思い、ご相談をいただいたので良かったのですが、そのまま葺き替えをしていたら、補修費用は10倍で、結果、結露は直らないという最悪な状況に陥っていました。
また、屋根の点検が夏場だったら、屋根の結露現象自体が発見されていなかったと思います。
残念ながら、屋根・壁に関しては、無知な悪徳リフォーム業者が横行していますので、是非、ご注意してください。
何か不安なことを感じたら、お気軽にお問い合わせください。
ご相談だけでも大丈夫ですよ~!
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