屋根リフォーム情報はなぜ違う?正しい判断するポイントを徹底比較!

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先日、スレート屋根からの雨漏りに関して、お施主さまから相談をいただきました。

その時に、言われたのですが、

「屋根に関してwebで調べてみると書いてある内容がサイトによって、全然ちがうので、何を信じていいのか?困ってますよ。」

と率直なご意見をいただきました。

このような話は今まで、何度何度もいろいろな方から伺ってきました。

実際、屋根屋の私が見ると、間違っていること・わい曲されていることなどが目に余る状態です。

申し遅れましたが、「屋根から人の笑顔を作りたい!!!」をモットーとして活動している三州瓦老舗・創業150年の神清(かみせい)のDr.神谷です。

瓦系の屋根屋ではありますが、今日は、できるだけフラットな目線で、お施主さまにとって役立つ情報となるように、

プロの屋根屋が考える、「屋根リフォーム情報はなぜ違うのか?リフォーム業者サイトの徹底比較!」をまとめてみました。

お施主さまが屋根リフォームを検討されるときの参考にしていただければと思います!

 

屋根のリフォームはどういう業者がやるの?

リフォーム業者のホームページは4つに分類

リフォーム業者さんのホームページはどこも力が入っています。

「安心感」「安価」「笑顔」を売りにしており、一見しただけでは、大きな違いはないように感じます。

しかし、実際には、大きく異なっている業態の会社が入り乱れていますので、おおざっぱですが4つのパターンに整理してみます。

・専門工事業者のホームページ

地元の専門工事業者(屋根屋・塗装屋など)が自社のホームページ・サイトでリフォーム提案しています。

特徴として、価格は安価、会社規模は小さいが専門的って感じです。

・大手の営業会社のホームページ

ハウスメーカー、ホームセンター、家電量販店などがリフォームの集客するためのサイトです。

特徴として、価格は高価、会社規模は大きく、お施主さまと話をする営業マンはソフトですが、工事はすべて下請けとなるため、専門性は落ちます。

・フランチャイズ本部展開しているホームページ

全国展開しているブランドの看板で集客して、各地の加盟店が実際のリフォームを行うサイトです。

特徴として、価格は高価、加盟店の会社規模は小さくが専門的です。フランチャイズ料(加盟金、紹介料、中間マージン)がかかるため、その加盟店さんに直接依頼するよりもだいぶ割高になります。

・IT企業が運営するリフォーム業者を紹介するホームページ

IT企業が制作しているので、きれいなホームページです。

特徴としては、価格は高価、紹介された会社規模は小さく、専門性もまちまちです。サイト自体は全国対応、出てくる人物はモデルさんでかっこよくきれいな人、しかし、実際は誰が来るかわからないというものです。

 

ご自分で検索されたサイトは上の4分類のどれかにパターン分けできると思うのですが、なかなかわからないですよね。

ここでのお役立ちポイントは、

比較的安価にリフォームしたいなら、専門工事業者のホームページを探すこと!

となります。

 

屋根の専門工事業者は3つに分類

webでのリフォーム業者の業態は上記4分類となりますが、実際に、屋根で工事する業者は大きく分けると3つに整理できます。

◆瓦屋根工事業者

もともと瓦屋根を工事してきた会社。屋号に瓦が付くところも多い。現在は、スレート屋根、金属屋根も工事するところもある。屋根が専門である。

◆板金工事業者

もともと板金工事をしてきた会社。板金が専門ではあるが、スレート屋根も工事する。屋根だけではなく、壁・といも工事する。

◆塗装工事業者

塗装を専門的に行っている会社。屋根だけではなく、壁・とい・その他も塗装する。

 

それぞれ得意分野がちがう

3つの専門工事業者が屋根リフォームにおいて、それぞれの専門的な意見として、違う内容の発言をするので、屋根リフォームの情報は混乱しています。

それぞれの得意分野は当たり前ですが、瓦屋根工事業者=「瓦」、板金工事業者=「板金」、塗装工事業者=「塗装」となっています。

ここでさらに、理解してほしいのは、メインの仕事場所の違いです。

瓦屋根工事業者は「屋根」です。

板金工事業者は「屋根」・「壁」・「とい」です。

塗装工事業者は「壁」・「屋根」・「とい」です。

瓦屋根工事業者は屋根屋さんと呼ばれているのですが、メインが「屋根」だけなので、「屋根」については真剣です!

逆に、塗装工事業者は「屋根」の専門家ではありません。

ここでのお役立ちポイントは、

得意分野を知っておこう!

瓦屋根工事業者=「瓦・屋根」、板金工事業者=「板金」、塗装工事業者=「塗装」。

となります。

 

屋根リフォーム情報で混乱している部分は?

こんな対立点があります!

屋根に対する考え方の対立ポイントを以下の表にまとめました!

既存の屋根材ごとに、対立ポイントが異なっています。

それぞれの対立ポイントについて、後でわかりやすく説明します!

IT企業が運営するホームページはどうしているの?

先程、紹介したIT企業が運営しているサイトは、基本的には、建築に関しては専門家ではありません。

そのため、webで検索して、もっともらしい技術内容を自社のサイトにアップしています。

対立ポイントに関して、優勢な方だと思う技術内容を紹介しています。

ただ、正しい知識はないため、間違っている内容でも堂々とアップしているので、ご注意ください。

 

それでは、各屋根ごとに、対立ポイントを紹介します。

お施主さまの業者選びの参考にしてください!

瓦屋根のリフォームに関して

対立点:古い建物の耐震改修

古い建物(S56年以前)は巨大地震に耐えうる建物強度がない建物が多いです。

古い建物とは瓦屋根だけの話ではないのですが、現在残っている古い建物の多くが瓦屋根であり、阪神大震災では瓦屋根の建物の被害が目立ったため、古い建物の耐震改修=瓦屋根のリフォームととらえているサイトが多いようです。

古い建物の耐震改修について、各業者の主な意見を取り上げます。

◆瓦屋根工事業者

・S56年に建築基準法の改定があり、耐震性を満たすために建物の強度は約2倍に引き上げられた。

・同じ建物に求められる強度は建物(屋根)が軽い方がその分だけ小さくなる。

・しかし、瓦屋根を軽い屋根(金属屋根)に葺き替えるだけでは、まだ強度が不足している。(耐震性を満たさない)

・古い建物(S56年以前)は耐震診断(各自治体の補助金があり無料)を受けて、壁・基礎など建物全体の耐震補強計画のもとに、屋根の耐震補強も検討すべき。

・屋根の軽量化による耐震改修は費用対効果が悪いので、最後の手段。(壁の補強が優先)

◆板金工事業者&塗装工事業者

・とにかく、瓦屋根を金属屋根に葺き替えることで耐震性能がよくなる。

・旧耐震基準(S56年以前)で建築された瓦屋根の住宅は、金属屋根に葺き替えることをすすめる。

・言うまでもないが、屋根を軽くすることで耐震性能が改善する。

・「構造計算と屋根の重さ」とか、専門的な言葉を使いながらも、耐震診断の必要性には触れていない。

・静岡県、岩手県、奈良県などの自治体の耐震診断に絡む「屋根の葺き替えによる屋根の軽量化」は紹介しているものの、その前提となる耐震診断には触れていない。

・耐震改修とは、耐震基準を満たすことという基本的な考え方が記載されていない。

 

以下の部分はもっとも対立している部分と言えます!

対立点:瓦の地震対策

古い瓦屋根の問題点として、巨大地震で瓦屋根の棟部が崩れるという被害があります。

この瓦屋根の地震対策も各業者によって、意見が異なります。

◆瓦屋根工事業者

・古い日本瓦屋根の棟部は、耐震性のない旧工法となっている。

・耐震性が確認されているガイドライン工法へ棟部を葺き直しするようにすすめている。

・棟部だけを葺き直しした方が安価である。

・予算に余裕があれば、屋根全体の葺き替えをすすめる。

◆板金工事業者

・瓦屋根は地震に弱いので、とにかく、屋根全体を軽い屋根材(金属屋根)での葺き替えをすすめている。

◆塗装工事業者

・古い日本瓦屋根は地震に弱いので、瓦と瓦を接着剤で連結するラバーロックでの耐震補強をすすめている。

 

対立点:ラバーロック

瓦屋根の耐震・耐風性能を上げるというPRをして、瓦と瓦を接着剤で連結するラバーロックに関しても、その効果について意見が対立しています。

◆瓦屋根工事業者

・瓦と瓦を接着剤で連結させても、建物本体と連結していないので、必要とされる耐震性能・耐風性能を期待することはできない。

・実際に、ラバーロックで補強した瓦屋根の耐震試験・耐風試験を行ったが、ともに不合格。

・ラバーロックで屋根リフォームするなら、それほど費用はかわらないので、ガイドライン工法での葺き直しをすすめている。

◆板金工事業者

・瓦屋根は地震に弱いので、とにかく、屋根全体を軽い屋根材(金属屋根)での葺き替えをすすめている。

◆塗装工事業者

・古い日本瓦屋根は地震に弱いので、瓦と瓦を接着剤で連結するラバーロックでの耐震補強をすすめている。

・瓦と瓦を連結するので、耐震性能、耐風性能、雨漏りを防ぐことができる。

 

対立点:棟のしっくい

古い日本瓦屋根の棟部は、のし瓦と桟瓦間の葺き土の表面をしっくいで仕上げてあります。

しっくいは葺き土に比べて、水に強いので、防水材として使われてきました。

しっくいがはがれているといって、不用なリフォームを提案する業者が横行して問題になっています。

◆瓦屋根工事業者

・棟のしっくいが少しはがれたからと言って、すぐに雨漏りすることはない。

・耐震性のない旧工法であれば、棟のしっくいだけを塗り直しするよりもガイドライン工法での耐震改修を併せて行う方がよい。

・改修の際は、(葺き土+しっくい)ではなく、なんばんしっくいの1発仕上げをすすめている。

◆板金工事業者

・瓦屋根は地震に弱いので、とにかく、屋根全体を軽い屋根材(金属屋根)での葺き替えをすすめている。

◆塗装工事業者

・しっくいがはがれると雨漏りのリスクが高くなるので、外壁塗装のついでに、しっくいを重ね塗りしよう。足場代が浮くので、安価となる。

 

以上が、瓦屋根で主に対立している内容となります。

普段、1つ1つ別々に調べていると、どの内容を信じればいいのか?わからないと思います。

しかし、このように対立点をまとめてみると、どの業者さんが言っていることが瓦屋根では正しいのか、見えてくるかも?です。

是非、瓦屋根リフォームの参考にしてください。

 

スレート屋根のリフォームに関して

続いて、スレート屋根のリフォームに関する対立ポイントをまとめます。

私が考えるには、スレート屋根工事業者という専門業者はないため、各業者から得意なリフォーム提案があり、もっとも悩ましい状況になっていると思われます。

対立点:経年劣化したスレート屋根のリフォーム

スレート屋根は塗装商品のため、紫外線、日射、放射冷却、温度変化、雨、結露などの外部要因により、塗装部分が経年劣化します。

塗装部分が劣化すると表面の吸水性も高くなり、コケなども成長します。

この経年劣化による変化をどのようにメンテナンスするのか、大きな対立ポイントと言えます。

◆瓦屋根工事業者

・スレート屋根の塗装は意匠的な問題で、塗装したからと言って、スレート屋根の寿命が延びることはない。

・変色、褪色(たいしょく)、コケが生えてもそのまま塗装せずに、20年以上経過後、余裕があるときに葺き替えをすることをすすめている。

・特に、現在古いスレート屋根はアスベスト混入材料なので、葺き替えをすすめている。

・葺き替えする屋根材としては、再度・スレート屋根(安価)か金属横葺きが多い。

・費用的には再度・スレート屋根に葺き替えするのも、金属横葺きでカバー工法するのも費用的にはほとんど変わらない。

・どうしても、要望されれば、金属横葺きのカバー工法も提案するが、けらばなど野地板が雨漏りで劣化している可能もあるので、将来のメンテナンス・解体時の費用を考えると極力、カバー工法はすすめない。

◆板金工事業者

・予算があるお客様には「葺き替え」をすすめている。

・しかし、カバー工法に比べて1.3倍から1.5倍程度、高額になるので、結果、カバー工法をすすめている。

・葺き替えは剥がす手間があるため、工期も長くなるし、アスベスト入りであった場合、アスベスト対策を行う必要がある。

・これらのデメリットを考えるとカバー工法は合理的なのですすめている。

◆塗装工事業者

・スレート屋根は褪色(たいしょく)すると劣化していくので、再塗装でスレートの材料を保護することが必要である。

・塗装がもっとも安価なメンテナンスで、屋根もよみがえりますのですすめている。

・10年ごとに塗装が必要となる。

 

葺き替えvsカバー工法vs塗装とそれぞれの主張は食い違っています。

スレート屋根は屋根材メーカーのメンテナンス計画も策定されているのですが、曖昧な表現になっているので、さらに、混沌としています。

ひとつの判断材料としては、屋根材をどうするかの判断ではなく、屋根(野地板)を健全に保つにはどうするかという別の視点で比較してもいいかも?です。

 

対立点:縁切り不足等・雨漏りのリフォーム

化粧スレートのリフォームとして、もう1つ対立するポイントがスレート屋根から雨漏りした場合のリフォームです。

スレート屋根の雨漏りに関しては、スレート屋根を塗装してから、雨漏りするようになったという話もよく聞きます。(塗装時の縁切り不足)

雨漏りしたスレート屋根をどうするか?も対立しています。

◆瓦屋根工事業者

・雨漏りした場合、葺き替えをすすめる。

・雨漏りによって野地板が劣化している可能性がある。まず、古いスレート屋根をはがし、野地板を確認して、劣化した部分は交換して、新しい屋根材を施工する。

・新しい屋根材としては、費用を抑えるならスレート屋根、予算に余裕があるなら金属横葺きもある。

◆板金工事業者

・雨漏りした場合、カバー工法をすすめる。

・雨漏りしていても金属屋根でカバーすることで、雨漏り防止につながる。

・カバー工法することで、費用を抑えることができる。

◆塗装工事業者

・雨漏りしているスレート屋根に関して、特別、記載がない。

 

スレート屋根に関するメンテナンスは3業者で、全く対立していますので、どのメンテナンス方法にするか、比較された方がいいと思います。

この先、何年間住むのかによっても、リフォームの内容が変わると思いますので、一概にどれがいいとは言い切れないような気がします。

 

金属屋根のリフォームに関して

対立点:ない

不思議なことに金属屋根のリフォームに関しては、あまり対立していません。

初期のメンテナンスは塗装、後期になると金属屋根でカバー工法となります。

対立しない理由

瓦屋根工事業者は、金属屋根のリフォームに関して特別記載していません。

金属屋根を否定もしていませんし、実際、自分達も工事するからだと思います。

板金工事業者&塗装工事業者は、初期は塗装、劣化が酷くなると金属屋根でカバー工法と同じ内容です。

金属で施工された屋根は、屋根材の重量や屋根勾配(こうばい)から他の屋根材で葺き替えする選択肢がほとんどないことも対立点がない大きな理由だと思います。

強いて言えば、板金工事業者は金属屋根の工事は瓦屋根工事業者ではなく、板金工事業者へ依頼してくださいとなっています。

 

まとめ:屋根リフォームの対立点をまとめてみました。業者さんを探す参考にしてください!

屋根リフォームの内容がバラバラな理由について考えてみました。

・屋根リフォームに関する業者が3つあり、瓦vs金属屋根vs塗装と敵対している。

・板金工事業者は専門外の瓦屋根に対して、瓦の重量をもとに、金属屋根への葺き替えを強くPRしている。

・スレート屋根に関しては、専門の工事業態がなく、屋根材メーカーもはっきりしたメンテナンス計画を示していないことが混乱を助長している。

・塗装工事業者は屋根が専門ではないので、強いPRはあまりないが、他のメンテナンスに比べ、塗装費用は安価なため、多く採用されている。(しかし、屋根に関しては、瓦とスレートは塗装する必要がない屋根材であることは、明確にしておきたい。)

・金属屋根は瓦屋根工事業者・板金工事業者・塗装工事業者とも自分の仕事になるので、金属屋根に関して批判的な内容はあまりない。

屋根リフォームの業者選び・仕様選びの参考になればと屋根リフォーム情報の違いをまとめてみました。

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