目次
片流れ・屋根断熱・ガルバリウム鋼板の3点セットは危険な屋根なんです!
みなさま。こんにちは。
ここ数年で、増加傾向にある屋根仕様があります。
「片流れ」「屋根断熱」「ガルバリウム鋼板立平葺き」を採用した屋根です!
モデルハウスを見ても多いのではないでしょうか?
しかし、屋根プロからすると心配な屋根仕様なんです。
先日、この将来が心配な屋根の3点セットと言える「片流れ」「屋根断熱」「ガルバリウム鋼板立平葺き」の屋根で、雨漏り調査した物件がありました。
なぜ、この3点セットが心配なのか、簡単にご紹介します!
平成29年度、3点セットの割合(金融支援機構調査結果より)
「片流れ」系屋根は40%超え(片流れ30.5%+段違い9.8%)
片流れ系屋根とは、片流れ屋根と段違い屋根(片流れ屋根が2段になっているもの)を指しています。
15年前の平成14年では、わずか1.8%しかなかった片流れ屋根が急増しているのです。
しかし、片流れ屋根は新築時の雨漏りが多いと問題になっています。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
「屋根断熱」は37%超え(10年間で16%増加)
屋根断熱は37%を超えています。(新築の1/3以上が屋根断熱)
その内、71%は硬質ウレタンフォームの断熱材となっています。
15年前の平成14年では、わずか3.7%しかなく、10倍位に急増しています。
しかし、屋根断熱・硬質ウレタンフォームの通気・防湿に関する施工が正しく行われているか、心配しています。
「ガルバリウム鋼板立平葺き」は片流れ屋根の約75%
ガルバリウム鋼板等は片流れ屋根の約75%に採用されています。
つまり、新築時に雨漏りが多い屋根である片流れ屋根の3/4はガルバリウム鋼板立平葺きなのです。
立平葺きは雨漏りが少ないと思われがちなのですが、実は間違っているのです。
15年前の平成14年では14%、平成29年では37%とこちらも急増。
「片流れ」「屋根断熱」「ガルバリウム鋼板立平葺き」の急増ぶりとその心配事をあげましたが、この3つが合体するとさらに危険度が増すことを説明します。
3点セット「片流れ」「屋根断熱」「ガルバリウム鋼板立平葺き」で雨漏り
屋根からの雨漏り
3点セットの築2年の住宅で雨漏り。
散水調査をして、屋根からの雨漏りを確認しました。
調査をする上で、この3点セットの屋根はとても心配になりました。
この屋根の問題点
屋根の断面はこんな感じです。
上からガルバリウム鋼板、アスファルトルーフィング、野地合板、硬質ウレタン断熱材、小屋裏となっていました。
通気層がない(結露対策)
屋根断熱では、通気層が必要となっているのですが、この屋根は通気層がありませんでした。
念のため、硬質ウレタン断熱材メーカーさん((株)日本アクア)の施工マニュアルを調べてみました。
すると、通気層の確保はしっかり記載されていました。
野地合板と硬質ウレタン断熱材の間で、通気ができるように通気スペーサーやシートを設置するように図までありました。
しかし、小屋裏をよく見たのですが、通気層は確認できませんでした。
仮に通気スペーサーがウレタンの奥に入っていたとしたら、OKなのでしょうか?
いいえ、それだけではダメなのです。
通気層には入口と出口が必要なのです。
ガルバリウム鋼板立平葺きの棟部分を確認しましたが、出口となる排気孔はありませんでした。
この屋根では仮にスペーサーが入っていたとしても、通気層としては働いていないのです。
つまり、断熱材メーカーの施工マニュアル通りに屋根ができていないのです。
そうなると問題はあるの?
もちろん問題があります。
先ほど、雨漏りしたと説明しました。
雨漏りして野地合板が濡れます。
この濡れた野地合板は上にはガルバリウム鋼板・アスファルトルーフィングがあって、乾きません。
下は硬質ウレタン断熱材に覆われていて、乾きません。
つまり、野地合板の水分は逃げ場がなく、長時間含水が続くと野地合板が腐朽するリスクとなります。
また、施工ミスはもう1つありました。
防湿層がない(結露対策)
防湿層も小屋裏の天井にはありませんでした。
断熱材メーカーさん((株)日本アクア)のマニュアルでは、通気層・防湿層の設置が記載されていました。
3点セットの問題点は短期間に急増していて、納まりの検証が不十分です。
3点セットの問題点はそれぞれが急増したことだと思います。
「片流れ」屋根は雨漏り対策が不十分です。
「片流れ・ガルバリウム鋼板立平葺き」は換気・通気の方法がしっかりと確立されていません。
これは軒の出の有無によっても大きく異なります。
「屋根断熱・硬質ウレタン断熱材」は防湿層・通気層の細部までしっかりと確立されていません。
この不十分な屋根仕様で、今後、長期に渡って健全な屋根であるか、判断つかないと思います。
3点セットの対策は?
3点セットの対策は、この3点セットを採用しないことだと思います。
例えば、片流れ・屋根断熱を優先するなら、屋根を瓦かスレート屋根にする。
片流れ・ガルバリウム鋼板立平葺きを優先するなら、天井断熱とする。
どうしても3点セットをしたいなら、通気する屋根とする。(「通気野地」・「透湿ルーフィング」・「通気工法」にする。)
屋根の通気に関しては、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
まとめ:急増している3点セット「片流れ」「屋根断熱」「ガルバリウム鋼板立平葺き」はやめておきましょう!
ここ数年、「片流れ」「屋根断熱」「ガルバリウム鋼板立平葺き」の3点セット仕様が急増しています。
雨漏りや結露対策がまだ不十分な場合も多くありそうです。
お客様がこの3点セットの屋根としたいのか、よく考えてください。
こだわりがないなら、何か1つ変更することをおススメします!
屋根に関しては、お悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
神清からのお願い
記事を最後まで読んでいただきありがとうございます。
お客様の率直な感想をいただくため「役にたった」「役に立たなかった」ボタンを設置しました。
私たちは、日々屋根にお困りのお客様にとって必要な情報をお伝えしたいと考えております。今後のご参考にさせて頂きますのでご協力よろしくお願いいたします。